予約していた林田小学校の『開校百年』の記念誌が届いたので、さっそく開いてみた。明治三十四年(一九〇一)に開校なので、区切りよく二十世紀がそのまま林田小学校の歴史ということになる
 貴重な写真が丹念に集められているのにまず驚いた。生徒のクラス写真が、わずか五年分が欠けるのみで百年を通して見られるのは圧巻というしかない。男子の服装は大正の半ばごろまでは和服、後半は和服と学生服の混在、昭和に入るとみんな学生服に、女子は昭和四年ごろまでみんな和服で、あとセーラー服と混在になり、昭和八年にはセーラー服一色となっている
 足元をみると和服時代は下駄、学生服とセーラー服になって靴になったことがわかる。戦時中の写真では、多くの生徒も先生も戦闘帽を着用している。戦中から戦後にかけてはとりどりの服装で、物不足で苦難の時代であることがよく読み取れる。また明治から大正半ばまでは生徒の中央ではなく端に、校長や担任の先生が写っている
 百年間の在校生と先生の名前がぜんぶ載せられていること、百年の「沿革史」と「出来事」が編年ごとに要領よくまとめられていること、各期ごとに代表した人の「思い出」の記があって、その時代の経験が手にとるように分かること、上手なレイアウトで読みやすいことなど、ともかく感心させられる。記念誌であるのみならず、具体的で貴重な二十世紀百年の教育冊子ともいえる労作であろう
 明治時代の生徒への休暇中の心得として「朝は早く起き、必ず差示されたる体操をなすべし。九時には就寝するをよしとす」「朝成るべく深呼吸せよ」と微笑ましいものがある。昭和の戦時下では「毎朝の宮城遥(よう)拝や団体行進など実施」の記載もあるが、東を向いて最敬礼(遥拝)のあとグラウンドから軍隊式の行進で教室に入っていた当時がふと思い出される
 卒業写真を捜す作業が延々と続いたこと、昔の名前がわかりにくく判読に苦労したことと編集後記にあるが、拝見していて、ボランティアでこんな立派な大仕事を完成させた関係者に頭が下がる。