脳性麻痺、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、脳血管障害、高次脳機能障害、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、これらの疾患の中には、相手とのコミュニケーションがうまくとれないこともある。
言語障害にはたくさんの種類があるが、大雑把に分けて二つになる。
@ 唇や舌、呼気をコントロールできない構音障害。
A 機能的には正常だが、言語中枢などの神経回路への損傷。
身体的障害が軽度、または言語中枢の一部が損傷を負った場合は、筆談が有効になる。筆談と言っても、ペンや鉛筆とは限らず、パソコン、携帯電話、音声付き文字盤などもある。また、文字を獲得していない子どもや知的に障害があるものに対しては、シンボライズされた絵文字を使うことも試みられている。
重度、重複、進行性の場合は、現在はパソコンへソフトを入れて一つまたは複数のスイッチを使っての意思疎通や音声付き文字盤に補助装置をつけて方法もある。
これらのものがないときは、以下の方法をとることがある。
1,相手のサインを見つける。
これは、その人から送られてくる「はい」「いいえ」の合図です。
初対面で急を要する場合は、こちらでできそうなことを見つけて、
サインを決めます。たとえば目を閉じる、指を動かす、舌を出す。
2,サインが決まれば、あとは簡単です。
小学校のときに習った50音表を思い浮かべて下さい。
相手に、「自分が思っている言葉の文字に来たら、合図してね」と
いいます。
つづいて訳者は50表の最上段、平たく言えば「あ、か、さ…わ」
と声を出して行きます。相手から合図があれば次へ進みます。
相手からの合図がなければ、繰り返します。
3,合図があったら今度はその行を下がって行きます。
具体的に言うと「は」で合図があった場合、「は、ひ、ふ、へ、ほ」と
ききます。ここで合図がないときは、濁音、半濁音とすすめていきます。
4,結構根気がいる作業ですので、焦らず、できるだけ相手の目の高さになって、
構えずにふつうに話しているときのようにして聞いてあげて下さい。
紙と鉛筆があったほうが便利でしょう。
あくまでもこのやり方がすべてに使えるわけではなく、構文ができることが前提です。ある種の失語症では、相手の言葉が理解はできていても構文ができない場合があります。また、自分で発声したことのない人は、文字の脱落や逆転が見られます。これは声によるフィードバックができないためにおこります。
意思伝達装置あれこれ
@ 携帯が簡単にでき、あらかじめ登録(登録数は2〜16)された短い
(最大10秒ほど)語句を選ぶもの。
A 50音の文字と補助機能が一つの文字盤に配され、一文字ずつ入力でき、音声
合成で発声できるもの。こちらも携帯できるものが多く発売されている。
B パソコンにソフトを入れて使うもの。障害者用ソフトと言うだけで1本
6万円もする。キーボードが操作できないので、1〜5コの外部スイッチをつなげて、画面上の文字盤を操作する。
これらの装置には、外部スイッチがつけることができ、最重度の人もコミュニケーションをとることができるようになってきている。スイッチには多種多様なセンサーが使われて、数ミリの指の動きを感じ取ったり、ビデオカメラで目の動きを捉えて画面に映し出されている文字を読み取るものもある。
進行性の疾患になって眼球も動かせなくなっても、心配はいらないようである。脳波の「怒る」「興奮する」というのをセンサーで読み取り、上記の装置を操作できる。
コミュニケーションがとれると、生きてることを実感したり、考えを相手に伝えることができる。
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