大野威研究室へようこそ  Welcome to the HP of Takeshi Ohno 本文へジャンプ

日米英の自動車産業を中心に労働・生産組織、賃金・雇用制度、雇用政策、労使関係の国際比較研究をしています。
また女性雇用、育児政策についても研究をしています。








右 米国における産業革命の発祥地マサチューセッツには、今も多くの工場跡が残っています。右は、米国最初の近代的紡織一貫工場が建設されたLowell の風景。英国マンチェスターの光景と似ているのはもちろん偶然ではありません。




2024年4月17日 

 統計データの一部を更新しました。



2024年2月13日

 現在、サンフランシスコ市ではアルファベット(google)の子会社Waymoが無人タクシーの24時間運航をおこなっているが、2月6日、乗客を乗せたWaymoの無人タクシーが自転車と接触するという事故があった。
 報道によると、無人タクシーは交差点で曲がるとき、対向する大型トラックの後ろにいた自転車を認識するのが遅れ、自転車と接触した。被害者のけがは軽いものだったということだが、無人タクシーへの懸念が高まっている。昨日には、サンフランシスコ市で乗客を乗せていないWaymoの無人タクシーが、有人タクシーなら入らない祭りがおこなわれている区域に入り込み、その後、多数の人に囲まれ破壊、放火されるという事件もおこっている。
 現在、カリフォルニア州議会では自動運転タクシーの許可権を州から地元自治体に移すSB915という法律が審議されている。これが可決され、知事が拒否権を行使しなければ、サンフランシスコ市では無人タクシーの運行に大きな制約が課せられる可能性が高い。今後の推移が注目される。



2024年1月5日

 短時間の充電時間ですむ全固体電池の開発に世界中の自動車メーカーが取り組んでいるが、VWとクワンタム・スケープ(米)が難題となっていた耐久性のある全固体電池の開発に成功したようだ。
 VWの開発した全固体電池は、1000回以上の充放電を繰り返したあとでも5%の充電能力ロスしか発生しないという。現在の業界の開発目標は700回の充放電後、20%以下の充電能力ロスに抑えるというもの。VWの開発した全固体電池はこの基準を大きく上回っている。次の課題は大量生産化とコストの引き下げということになる。
 現在のEVブームは、リチウム電池が高価なことから高級車からはじまった。全固体電池はリチウム電池よりさらに高価なため当然、高級車から導入が進む。VWの場合、ポルシェとアウディから導入が進みそう。
 日系メーカーも全固体電池の開発を進めているが、レクサスを除けば高級車セグメントが弱い。全固体電池で優位に立つには高級車ブランドを確立していることが不可欠と思うが、メディアではそのような指摘をあまり見ない。気がかりである。

追記
 クワンタム・スケープの開発した電池は、電解質が固体ではないようで、完全な全固体電池の開発はまだその途上にある模様。



2023年12月28日

 「1130-1212年 イングランドにおける職人ギルドの誕生とロンドンの賃金規制条例」という論文を書きました。ほかの仕事もはさみながら約3年かかりました。
 これまで最低賃金制度の起源は、労働者の賃金上限を定めた1349年のイングランド労働者勅令だと考えられてきました。この論文は、それより前、1212年のロンドン条例で建設職人の賃金上限が定められていることを明らかにしています。適用がロンドンに限定されていますが、こちらが最低賃金制度の起源なのではないかと考えています。
 論文では職人ギルドがいつ、どのような権利を持って誕生したのかについても整理しています。ウェッブ夫妻は、職人ギルドは親方の団体で雇用側の性格が強く、親方に雇われた労働者(ジャーニーマン)の団体こそ労働組合の起源だと主張し、それが一般的に受け入れられています。ただ、よく調べてみると、職人ギルドと欧米の労働組合の間には多くの共通点があります。日本と欧米の労働組合にはたくさんの違いがありますが、職人ギルドがあったかなかったによって説明できる部分もありそうです(日本にも座や株仲間といった同職団体がありましたが、欧米の職人ギルドのようには発展できませんでした)。この点については、これからさらに研究を進めていきたいと考えています。



2023年10月28日




 昨日、9月の米PCEが発表されたが、インフレ再加熱?と少し心配になる傾向が出ている。
 上のグラフにあるように、モノの物価は今年6月を底にふたたび上昇をはじめている。サービスの物価は低下傾向にあるものの、高止まりが続いている。
 ダラス連銀が発表しているトリム平均PCE(上位約25%、下位約20%を除いたPCE)も6月の2.49%を底に上昇をはじめており、9月の数値は3.99%まで上昇している。
 2023年Q3の実質GDPが年率4.9%アップ(名目だと8.5%アップ)となったこともあいまって米10年債の利回りは上昇(価格は低下)、2年債とのギャップが急速に縮まっている。
 



2023年10月25日

 昨日、カリフォルニア州自動車局は、サンフランシスコでおこなわれていたGMクルーズの完全自動運転タクシーを停止処分とした。
 GMクルーズの完全自動タクシーは、今年8月10日にサンフランシスコ市で24時間の運航をはじめたが、それ以降、消防車との接触事故をおこしたほか、今月2日には他の車に引かれた歩行者をはねてその上で停止したあと、ふたたび動き出し、その歩行者を6mほどひきずって道端に停止するという事故をおこしている。
 これらの事故をうけて昨日、カリフォルニア州自動車局は、同社の運航を停止した。
 運航許可を出す権限はカリフォルニア州にあるようだが、サンフランシスコ市の交通局、警察、消防はもともと完全自動運転タクシーに24時間の運航許可を出すことに強く反対していた。
 同市では、自動タクシーのボンネット上にカラーコーンを載せて運航を停止させる「ラダイト」を名乗る運動もおこなわれている。


イギリスの博物館にあったラダイト運動の展示写真

同上



2023年9月24日

 カナダでUnifor(カナダ一般労組)はフォードと3年間の労働協約締結で合意した。9月25日(月)から、新規採用者の時給は、過去の物価調整分(COLA)の基本給組み入れを含め22%アップし現在の24.26カナダドル(2600円:1カナダドル=107円で計算)から29.67ドル(3170円)に上がる。もっとも賃金の高い者の時給も、37.33カナダドル(4200円)から43.39カナダドル(4640円)に13%アップする。
 さらに来年は全労働者の賃金が2%、再来年は3%アップする。
 また全員に1万カナダドル(107万円)のボーナスが支給される。
 大きな争点だった賃金の2層化是正も前進した。現在は、新規採用時の時給から最高の時給に到達するのに8年かかっているものが、今後は4年に短縮される。
 円安の影響で、市場の為替レートで計算するとアメリカやカナダの自動車労働者の年収は1000万円を超えることが珍しくなく、日本との差が広がっている。



2023年8月23日
 今月10日にサンフランシスコで完全自動運転のタクシーが24時間解禁となったが、すでに2件の事故がおこっている。
 うち1件は緊急走行していた消防車との接触事故。事故をおこなしたGMクルーズは自動運転システムとしてはもっとも信頼性が高いもののひとつと言われているが、消防車の回転灯を認知しなかった可能性が指摘されている。
 私は高速でよく自動運転を使う。ほとんど操作なしに目的地まで行けるので疲れが減ってとても助かっている。しかし、ときどきドキッとすることがある。ひとつは、隣の車線の車が割込みのためウインカーを出してもシステムがまったく減速しないこと。ウインカーを認識し反応する仕組みになっていないのだろう。どんな急カーブでもまったく減速しないことに不安を感じることもある。
 一般道での完全自動運転実現には解決すべき問題がまだたくさん残されていそうだ。



2023年8月11日 
 EV(電気自動車)の売れ行きはメーカー、モデルにより大きく異なっている。テスラのようにたくさんの人が納車を待っているEVがある一方で、売れずに在庫が膨らんでいるEVも少なくない
 アメリカにおける現在のEVの平均在庫は103日分。ガソリン車の約2倍。もっとも在庫が多いのは某日系メーカーのEVで180日分を超えているそうだ。
 とにかくEVを作れば売れるということではなく、業界スタンダードとなったテスラのモデル3、モデルYを超える魅力(価格、性能、ブランド力)がなければ、作っても売れない。当分、テスラの独走が続きそうだ。



2023年7月21日
 テスラのテキサス工場でサイバートラックの生産(ロールアウト)が始まった。本格的な量産スタートは年末以降とされている。



2023年6月11日
 統計データに平均賃金の国際比較、日本における実質賃金上昇率、一人当たり消費支出の推移を追加しました。



2023年6月1日
 2023年第1四半期、テスラのモデルYの販売台数が26万7千台となりトヨタのカローラにかわって世界販売第1位となった。テスラ・モデルYは標準モデルで航続距離が約450キロ。価格は米国で4万7千ドル(約650万円)から。
 なお世界販売第2位から5位はトヨタ車が占めている(2位カローラ、3位ハイラックス、4位RAV4、5位カムリ)。



2023年5月21日
 中国のBYDがスタート価格が約1万ドル(約140万円)の電気自動車シーガルを発売した。普及モデルは、74馬力(軽自動車は64馬力以下)、航続距離300キロ。上位モデルは、81馬力、航続距離405キロ。30分で30%から80%への急速充電が可能。デザインは、ランボルギーニなどのデザインを担当したことのある有名デザイナーが担当している。電気自動車の廉価モデルは、シーガルが今後のベンチマークとなるのではなかろうか。今後、希少で高価なリチウムとコバルトを使わない次世代電池ナトリウムイオンバッテリー搭載車(主要メーカでは世界初)がラインアップに加わる予定。
 なおBYDは今年末には、航続距離555キロ電気自動車シールも発売予定。こちらは2万8千ドル(約400万円)からとあって、高いレベルの質に仕上がっている。テスラ・モデル3(約4万ドル〜)の強力なライバルになりそう。



2023年1月26日
 アメリカとヨーロッパにおけるメーカ別自動車販売台数 を更新しました。



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