小城羊羹

        佐賀の人情にほろろで、リュックは重く・・・・。

 

  吉野ヶ里公園駅から、再びおしゃれなJR九州

 の列車で、今夜の宿(娘の下宿)のある佐賀へ。

 つまり、娘の下宿を利用して、安上がりの旅を

 もくろむ・・・。これは世の遊びたいお母さんの常であり、

 そういうやからは、子どもが家から遠くに行けば行くほど

  内緒だが、ほひほひひ・・・・なのじゃ。

 佐賀駅について、

   電車を降りようとすると、どばっと高校生が

    乗り込んでくる。

      おいおい、ちょっと待て!!

       なんだ、そのマナーは!! 

          降りるんが先だぃ!!

    ( と、実は、小さい声でぼやく。)

  まったく、電車は上等でもマナーは劣る。

   それから、ノラも私も疲れたので、喫茶店を探して佐賀駅前をうろうろ。

     角の和菓子屋の前で、ノラが「小城羊羹」という看板の文字を 「こじょうようかん

  と、声に出して読んだ。すると、突然、「それは、おぎようかん と読むんですよ。」と言いながら

    背後から初老の紳士が現れて、「まぁどうぞ!」と言いながら店の中へ入っていく。

  ノラと私も釣られるように入っていくと、「初めての方はみなさん、間違われます。これは佐賀名物の羊羹で

 おぎ、は地名です。それから、もうひとつの佐賀名物、丸ぼうろを差し上げます。召し上がれ。いま、お茶を!

  そのお店の奥は茶房兼お食事処になっていた。疲れていたふたりは、竜宮城の浦島太郎の気分で、

 そのおもてなしを受けたのはいうまでもない。小城羊羹の抹茶味と、新茶をふるまわれ、さっそく丸ぼうろ

 も、はふはふはふ。(感激で声にならん)

  「ついでに、この道をまっすぐいくと、佐賀城址があり、きれいですよ。そばの県庁の最上階は展望台

に開放されていて、佐賀市全体が見渡せます。吉野ヶ里遺跡有明海も見えますよ。地図をあげましょう。」

   駅前の増田屋さん、ご親切ありがとう。

 我々は、佐賀の若者のマナーは悪いが、熟年は親切で情に厚い、という結論に達した。

  陶器市に行く前にもう、我々のリュックが、羊羹でずっしりと重くなったのは、

           うれし、悲しや、ああ人情のなせるわざ!!

      

          佐賀県庁最上階展望台より

 

 観光に力を入れる佐賀県庁、展望台は人影もなく別れ話に泣くアベックが・・・。

  「お〜い、ノラァ!こっちのほうがよく見えるよぉ!!」 だれもいないことをいいことにして大声で叫ぶと、

 角を曲がって現れたのはアベック。 決まり悪くて穴を探していると、むこうのほうが穴を探していた。

 女はうるうる泣いていて、男はなだめている。佐賀県庁の最上階展望台は、5時過ぎた県庁職員の

 別れ話のできる静かなスポットであった・・・・・・・・。

  ところで・・・、

  今回、リュックに軍手、帽子にスニーカーといういでたちなのには、わけがあった。

 それは、有田陶器市に参加するための望ましい服装なのである。 さて、いよいよ

                        有田陶器市