[懶惰]



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【おれに関する噂】
|筒井康隆 | 新潮社 | 文庫 | 1978(1974)|


独特のユーモアが詰め込まれて思わずにんまり笑ってしまう短編集です。
所収作品は、
「蝶」 「おれに関する噂」 「養豚の実際」
「熊の木本線」 「怪奇たたみ男」 「だばだば杉」
「幸福の限界」 「YAH!」 「講演旅行」
「通いの軍隊」 「心臓に悪い」

ショートショートっぽくて面白かったのは「だばだば杉」、 そこはかとなく面白かったのは「YAH!」、 いきなりのハジけっぷりが問答無用に面白かったのは「心臓に悪い」でした。
「蝶」が見開き2ページだけで終わってたのは、それはそれで面白かったですけど(w

ところで、己はたぶん、筒井康隆が何故日本を代表する小説家といわれているかっていう理由や、 その変遷となる作品にまだぜんぜん触れていないと思うのです。
こればっかりは、作品の流れを追って確かめるしかないから、まだまだ時間がかかりそうかな。

あとこの本読んだら、なんだか無性に星新一が読みたくなってきました。





【グリーン家殺人事件】
|ヴァン・ダイン | 創元推理文庫 | 文庫 | 1959(1928)|


もういつ読んだか覚えてないくらい前に読んだので、今ちょっと手元の文庫をパラパラと めくってみてもほとんど何も覚えて無いというフォーゲットっぷりに、すでに潔さすら覚えるという、 そんな古典作品です。(紹介になってないよ

そろそろ古典に挑戦してみようかと思って読んでみました。
おそらくヴァン・ダイン作品では、これか「僧正殺人事件」が一番好まれているんだろうと 思いますが、もう、なんというか、とにかく『読みづらい』の一言で、読了するのにかなりの エネルギアを消費したのはよく覚えてます。
翻訳のせいなのか、もともとの話の作りがそうさせるのかはちょっと解りません。

推理における要素の数、つまり推理の材料や出来事の多さが昨今の推理小説よりも格段に多く、 それらが緻密な計算の元に絡み合わさって事件を構成しているのは確かなので、 そういった材料を自分の中で把握して維持・消化する努力と、細部から全体を再構成する作業が 「読みづらさ」を促進したのかもしれないです。
とかまた適当ぶっこいてみたり。

でもそれだと、『じゃあ古典なんて読めねーじゃん』って話になっちゃうんですけどね……。
それはさすがにまずかろうと。もっと努力しやさんせと。

ほんのり覚えている内容について触れると、古風な屋敷の中で次々と家人が殺されてゆき 結局最後の二人になってしまうという展開に、『なるほど、これは逆に二人のどっちかが 犯人ってのは無いな。じゃあ誰なんだ……』と思っていたら実はそのどっちかだったという、 いわばど真ん中ストライク見逃し三振してびっくりしました(w
さすが古典、あなどれません(?)。

できれば僧正にも挑戦してみたいけれど、ネタバレを知ってしまったというのと、読みづらい というイメージが強く残ってしまったというのもあって、いつのことになるのやら……。
それまでに読む力をもっとつけとかないといけませむ。





【りら荘事件】
|鮎川哲也 | 講談社 | 文庫 | 1992(1956)|


巻末解説の引用文にあるような「ゲーム性が露骨過ぎて、古めかしく感じられる」ことも なく、大いに楽しめました。
全体のおぼろげな構図だけはなんとか見当がついて、そのへんを想像しつつ、 緻密に組み立てられた伏線と発覚のプロセスを堪能。これぞ本格って感じで、いいね。

多少特殊な条件を必要とするけれど、○○○○○に関するトリックはとくに面白いなと 思う。危ういパズルほど見た目は美しい、って感じですか。
あと、全般的に、鮎川老は文章力があって読むこと自体が楽しいというのも あるかな。
もちろん、どんな作品でもネタありきだとは思うのですが、文章が 読みにくいのはとにかく読んでて苦痛で、内容も頭に入ってきにくいので……。

惜しむらくは、WEBでも賞賛の声高く、誉めそやされることが多いため、 多分に予断を持った状態で読んでしまったことです。
こればっかりは、しょうがないんだけどね……賞賛の声を見つけなきゃこの作品も 知らなかったわけだし。とかいうジレンマがたいていの「名作」と呼ばれる 作品にはあるので、すでに半ば慣れっこ状態にて候。

(*1956.9~1957.12に「探偵実話」に連載、1958に光風社より初刊、以後様々な出版社から 刊行され、1968の大幅な改稿を経て、この講談社文庫は1992刊行です)





【緋色の囁き】
|綾辻行人 | 祥伝社 | 文庫 | 1988|


聖白百合……じゃなかった、聖真女学園で起こる奇怪な殺人事件と、 魔女伝説の話。

うーん……紹介文とかでは「長編本格推理小説」ってなってるけど、 どちらかといえば「サスペンス」に近いような気がしないでもないです。
伏線らしい伏線もあまりみあたらないし、ネタ自体はなかなか面白いけれど、 それに関する"事実"が、すでに推理の範囲を制限しているような 感じなので……。

そこまで人が殺されたら普通は休校にするだろうっ! という無粋な突っ込みは 僕の心の中だけにそっとしまっておきます。ニツコリ。

(*1993の文庫判(己が読んだもの)で加筆・訂正がされています)





【連続殺人事件】
|ディクスン・カー | 創元社 | 文庫 | 1941|


古典もしくは比較的古い作品を読むとき、用いられたトリックが、それが書かれた時点で 陳腐化していなかったのかどうか、判断がつかずに悩むことがあります。
最近の作品だと、よく『糸と滑車でできあがった密室なんて、くだらない』という類の セリフが作中にでてくるんですけどね。

そういうのを差し引いても、この作品は、伏線をしっかりひいてあって 解決時のカタルシスも快く面白かったです。
なるほどこういう作品が、今の推理小説の源流になっているんだな、と 勝手に想像。
個人的には、こんな感じの『あ〜っそうか。ちょっと深く考えたら判るよな』という やつに面白みを感じる傾向にあるようです。本当は深く考えても 判らないなんて気づかずに……。幸せな野郎だナ。(自嘲)

それにしても、「ギデオン・フェル博士」って、なんだか 何体か合体してそうな名前だなぁ(w)。





【ABC殺人事件】
|アガサ・クリスティ | 創元社 | 文庫 | 1935|


名前の頭文字Aの人物がAで始まる地名の場所で殺害され、続いてBが……という話。
設定が設定だけに、トンデモなオチしかつけられんのじゃないか? と危惧していたものの、 思っていたよりずっと整合性と論理性のある真相でちょっとビクーリ。
ただ・・・個人的な好みとは、少し、外れてたかな。

アガサ・クリスティの作品って、代表的なものは哀しいことにほとんどネタバレしてるから、 どれ読んだらいいか迷うんだよね……。
今からオリエント急行を読んで楽しめるのか、ゲハ〜しく謎(哀笑





【倒錯のロンド】
|折原一 | 講談社 | 文庫 | 1989|


う〜〜〜〜ん……。
この人の小説って、たとえば推理小説に於けるプロットだとかトリックっていうのは現実世界に 照らすと総じて有り得ないようなもんであると承知しそれを前提として読んでいても、 それでもなお、『いや、それ、どうなん』と云いたくなるってところが あるんだよね……。
どう評価して良いのかビミョ〜。ってな感じで。





【御手洗潔の挨拶】
|島田荘司 | 講談社 | 文庫 | 1987|


短編集。

[数字錠]
数字錠に関する説明の所で『あれ?』と思って最後までずっと『そんなはずはないのだが』と 気になっていたのに、真相へはまるでたどり着けなかった。鬱……。
最後はちょっとセンチメンタル。

[疾走する死者]
トリックについて、だいたい当たりはついていたものの、 またもピシャっとあてることはできず。アグァ。
しかし、『いつから私を怪しいと思っていたのですか』『○○のときからですよ』という 展開は、今じゃもう陳腐化してるのかもしれないけれど、やっぱ良いね。
御手洗がかなり早い段階で気付いていたというのも面白かった。

[紫電改保存研究会]
ちょっとした小話のような感じ。
零戦は最強です(謎

[ギリシャの犬]
「読者への挑戦状」も挿記されている中編じみた短編。
本当にあからさまな形で伏線が提示されているにもかかわらず、真相が明らかにされて 『あっそうか』と思い出す小動物並の脳には自分ながら毎回メランコリックになってしまいまふ。
ちょっとサスペンスちっくな展開でごわす。






【斜め屋敷の犯罪】
|島田荘司 | 講談社 | 文庫 | 1982|


変人・御手洗潔の推理が冴える長編。
一作目には負けるかも知れないけど、こちらもかなり大がかり(w)なトリックを 駆使しています。ネタがネタだけに、まぁまぁかな……といったところ。
けど、こういう、探偵役が爽快に読者の溜飲を下げてくれるような作品は、 読んでいて面白いね。





【占星術殺人事件】
|島田荘司 | 講談社 | 文庫 | 1981|


ひとりの画家の遺書、その内容は6人の処女の肉体から各部を切り取り、 「アゾート」と呼ばれる理想の人間を創り出すというものだった。
しかし画家は密室で殺害され、実際に6人の女性が行方不明になる……という筋。

いやぁ……素晴らしいです。まさに傑作。
すべての伏線と解決のための条件をすべて「あからさまな形で」読者の前に 突きつけておきながら、まるでステレオグラムの模様を浮かび上がらせるように、 真相を見せつける様が、本当に面白い。
こんな……発想が……人が創り出したものだと思うと、おら楽しくてワクワクしちまうぞ。

名探偵・御手洗潔は、なんだか京極堂シリーズの榎木津に似ていますね。京極が 参考にしたのかな。それと島田荘司は綾辻の師匠らしいので、 [島田] + [潔] で「島田潔」(綾辻・館シリーズの探偵役)ですね。
しかし躁鬱病の探偵っていうのもすごいな(w)。

ん〜〜む、、、巷の一般的な話としては、多くの作家にありがちなように、 島田荘司も最近はめっきり「読める」作品を書いていないそうですが、 しかしながらミステリ界で重鎮としての地位を得ているのも、 この作品を読むと大いに納得できます。
もっと早い時期に読みたかった……というのは決して贅沢な願いではないはずっ。はずっ!
と、泣きながら云ってみるテスト。






【沈黙の函】
|鮎川哲也 | 光文社 | 文庫 | 1979|


ネタ的には一つだけで、長編というよりは中編かなという気もします。そこそこ面白い。
「ネタありき」という作品は、良くも悪くもそのネタに左右されますが。鮎川老の作品は プラスアルファの部分は少ないような印象があるけれど、そこが素朴で良いとも いえるのかな。





【悪意】
|東野圭吾 | 講談社 | 文庫 | 1996|


比較的早い段階でアレがナニするという一風変わった展開ですが、 そのあとはトリックも含めてホワイダニットをつきつめてゆくという異色の作品。
記述形式も、複数視点からの手記のようになっており、ちょっとかわってます。

なかなか面白いですね。
加賀恭一郎の、足で稼いでいるようでいて明晰さが光る推理はけっこう良いと思ふ。
淡々としているようだけれど、ズビャっと切り込んでいて鋭い。キャラクタ的に イケてると思いますです。

真相も、虚実入り混ぜつつ、理で割り切れる部分と割り切れない部分をミクスチュアした感じで 良。アリかナシか微妙なラインか? とも思ったのだけど、これは現実問題に即して考えると アリだよね……。どす黒いけれど。
「悪意」。





【妖しい人びと】
|東野圭吾 | 光文社 | 文庫 | 1994|


短編集。
なにぶん、「五つの時計」のあとに読んでしまったので……(苦笑)。
なんか、文体が若いような気がしたのは気のせいでしょうか。気のせいですね。ンゴ。





【五つの時計】
|鮎川哲也 | 創元推理 | 文庫 | 1999|


ミステリ界の最長老と呼ばれる鮎川哲也の短編集。

[五つの時計]
この人の作品は時刻表トリックに代表されるようなアリバイものにその特徴があるそうです。
ん〜む、よくできてる。一見すると堅固にみえるアリバイを、いかに崩すかというのがなかなかに 面白い。
もともと僕は「アリバイもの」がそんなに好きなわけではないですが、こういうアイデア電波を 照射されると、やはり面白いなと感じてしまいます。

ただ……XXXが、事後にアノことに気付いたはずなんだけど、それはどう処理したんだろう?  というのがちょいと疑問かな。

[白い密室]
これも面白い。
たとえば機械的なトリックで密室をつくるのとはひと味もふた味も違って、 子供のおもちゃにあるような立体的なパズルを、一定の順序で組み合わせることで できあがる密室は、脆いようで外から見ると強固なのがアンバランスで いいね。

[早春に死す]
アリバイもの。
XXトリックなのでストライクゾーンではないけれど、ギリギリまで 引っぱる展開がドラマティクで良い。
それにしても強固なアリバイだ……(w

[愛に朽ちなん]
乱歩のルーブリックや巻末の対談にもあるように、現代では一般的ではない知識が 前提になっているので、ちょっと普通には読めないかな。惜しひ。

[道化師の檻]
この短編集の中で一番面白いと思った。
入り口と出口に監視者が居るトンネルを、道化師はいかにくぐり抜けたか? という命題は なにやら怪奇趣味的で、なにが源流かは判らないけれど己の琴線を刺激するのです。
巻末対談によるとこういうのは「乱歩テイスト」らしい。
設定もさることながら、トリックもすこぶる面白い。この、密室をxxで解く、という発想は 他(鮎川以外)の作品でもままみられるけれど、この作品は短編とは思えないほど ギュッと詰まってザクっと斬ってパァっと散って後味すっきり、なのです。
良いね。

[薔薇荘殺人事件]
「本格のお手本のような」作品。
ホントに、なんで短編なの? と云いたくなります(w)。
面白いけど、もったいない。もったいないけど、面白い。

[二ノ宮心中]
列車もの。
接吻……。

[悪魔はここに]
「さかさ」。
少し毛色の違うトリック(?)ですが、良いね。

[不完全犯罪]
列車もの。
倒叙形式だけれど、最後にあっと思わせるオチを用意していて○。
これ、「完全版」だったら、破れるのかなぁ。

[急行出雲]
列車もの。
この人って列車トリックに関しては無尽蔵に生みだしてるらしいのですが、 よくこんなに思いつきますな〜。スゴ。


読んでいて、「ああ、推理小説が、面白い」と思える時間を過ごせるという、 非常に美味しい短編集でした。
素朴というか、「ネタありき」って感じで。ミステリというよりは推理小説を 読んでいる感じで。
こういうの読むと、根っからミステリ好きの人が昨今の新本格を批判しているのも 解るような気がします。僕は好きですけど……。

鮎川老、良いですね。


(*短編集の発刊は1999ですが例えば[五つの時計]などは昭和32年初出であるなど、 各作品はかなり古いものです。んが、各作品の正確な初出年はよく判りません。カッフン!)





【人形館の殺人】
|綾辻行人 | 講談社 | 文庫 | 1989|


こっちネタは個人的に(WEBでも同様の声は多いが)ビーンボールなので、 ちょっとストライクの判定を下すことは出来ません……。ん〜〜〜ん、残念。
次作に期待。





【アクロイド殺害事件】
|アガサ・クリスティ | 創元推理文庫 | 文庫 | 1926|


古典にして名作中の名作と云われる、クリスティ女史の代表作。

本当に……古典であるがゆえに、その肝心のネタ部分が前提として引き合いに出されたり 直接的に語られたりしているので、既に知ってしまっていたというのが、残念でなりません。
そのため当然、犯人が判明したときの驚きもほとんどゼロです。カッフン。

それにしても、この作品が書かれた当時、もしくはネタが広まっていないうちに読んで、トリックに関して フェアだアンフェアだと議論を繰り広げた人たちはいかに幸せだっただろうかと、 羨ましくさえ思います。
厳密に云えばこの作品より先にこのネタは存在したらしい(創元推理文庫版解説より:「女史は恐らくこれらに 気付かなかったろうが」とある)のですが、最初に考え出した人に対しても、 ここまで作品としての完成度を高めた女史に対しても、人間の想像力が如何に素晴らしいか ということを感じずにはいられません。
まさに「ブラボー、おお、ブラボー!」ですね。

そういえば、自分はカタカナが多く出てくるのは苦手なはずだったのですが、 意外にあっさり読めました。
おそらく「本来日本語であるべきものがカタカナ表記になっている」のが苦手なんですね。 これからはたまに古典も読んでいこう。

ごちそうさま。





【十字屋敷のピエロ】
|東野圭吾 | 講談社 | 文庫 | 1989|


ピエロ人形の目から見た事実を各所に挿入しつつ進む、ちょっと変わった形式のミステリ。
トリックに関しては、個人的にはこのテのネタには「本当に実際に実行可能なのか?」という疑念 (もっとも、多くのミステリに於けるトリックは現実的には実行不可能ですが・・・)が どうしても沸いてしまうので、納得しきれない部分があるのは残念なところです。
その点を除けば、全体的には良くできてますね。

某登場人物が、明らかに死にキャラなのがちょっと残念(w)。こういうキャラ けっこう好きだったりして。






【望湖荘の殺人】
|折原一 | 講談社 | 文庫 | 1997|


えぇ〜〜〜っ!?
と、悪い意味で驚いてしまいました。
ラスト直前までの展開はなかなか面白かったんですが、これ、叙述っていうか……。 いやまぁ、叙述モノなんだろうけれども、こういうのアリなんですか。ねぇアリなの?
普通のトリックにしても、叙述モノにしても、その内容が如何に綿密に組み立てられているか というのが深く面白みに関わってくると思っているので、こういった何にでも適用できる (云い換えれば誰が使っても同じ)ネタというのは、どうも肌に合いません。

まぁ、「ちくしょう、ぶっ殺してやる」なんていう折原一ならではのセリフも読めたんで、 良しとするか……(できぬ





【ハリー・ポッターと秘密の部屋】
|J.K.ローリング(松岡祐子 訳) | 静山社 | 単行本 | 1998(2000)|


個人的には今作の方がミステリ的要素が増えていて楽しめるのですが、 純粋にファンタジィ的要素としては前作の方が豊かな気がするので、 あまりプロット重視の作風に移っていくと子供達にとってどうかなという 気もします。
んで、ふと見ると、本の帯に「全七巻のファンタジー・ミステリー」って書いてるんだよね(w)。
ん〜〜そういう扱いでしたか。

それでも十分にファンタジックだと思います。良いね。





【ハリー・ポッターと賢者の石】
|J.K.ローリング(松岡祐子 訳) | 静山社 | 単行本 | 1997(1999)|


原著は1997年に英国で、翻訳版は1999に出版されています。

ファンタジーって子供の頃に読んだらめっちゃくちゃ面白かったんだろうなぁ、と ちょっと感慨に耽って気が付いたらホグワーツ魔法学校に着いていたっていう、 そんな感じの作品です。
たぶん、読み終わった後に「面白かった」のと同時に「あぁ、現実世界に戻って来ちゃったよ」 って感じるのがこういう作品の持ち味だと思うので、それをちょっとでも 感じられたので良かったのかな、と。

実はミステリの文法に似たことも盛り込んであって、ちょっと驚き。 まぁエゲレスのおばちゃんがコーヒーショップの隅っこで子供抱えながら 書いた小説だしな、と侮っておりました。
こういうのが物語を面白くしていて、「大人も子供も楽しめる」作品たる所以 なのかな、などとぶっこいてみる。

内容もいいんですが、この作品に関して良いのは「母親が子供に読んで聞かせてあげる」とか 「子供達がテレビゲームを放り出して読みふける」とかいう、己的にいいねぇと思える 現象を引き起こしていることですね。
「子供に読んで聞かせていたら自分がハマった」「家事を放り出して読みふけった」というのも それはそれで面白いですが(w)。

この退廃した時代、親子のふれあいのためのツールとして一役買えるものが 一体いくつ残っていることか……などとまたぶっこいてみる。






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