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音の世界♪不思議と魅力!
「音」は不思議なものです。音楽によって気分が盛り上がったり癒されたり。いろいろな楽器の音も神秘的ですね。たったひとつの音が妙に心に響いたりもします。楽器そのものの「音」からオーディオまで,「音」に関する蘊蓄は限りなく語られています。でも,その中には素人に理解できない「特殊な感性」(?)に支配されているような世界もありますね。そこで,高級品とは一線を画して素人にも手を出せる程度のものにひと工夫加えてみたり,手軽な装置を利用して「感性」に頼らず「測定」を試みたりしてみます。あくまでも「素人レベル」ですから,何かのヒントになれば・・・という程度ですが。



Guitar

 お手軽楽器の代表格?である「ギター」。エレキ全盛時代から,最近ではアコースティックギターのブームがやってきてような感じですね。アコギはナマ音で勝負!ラインを通さなければエフェクターも関係なし。そこで,ほどほどのギターにひと工夫&細工して,ナマ音をよくしてやろうというわけです。でも,あまりマニアックな細工はできませんから,あくまで簡単なもので。コンセプトは,「弦の振動をできるだけ無駄なくボディーに伝えること」により,「音量」と「倍音」を引き出してみよう,というものです。さて,効果は?参考に各弦の音を記録したスペクトルを載せます。

 これが,細工素材のギターです。ヤマハL−10T,1983頃のものでしょう。サイド&バックはローズウッド単板,トップはスプルース単板です。適度に煌びやかで,音量もあるし,けっこういい音だと思います。まぁ,単なる手前みそかもしれませんが。単板のギターは弾き込むと音が良くなるとよく言われますが,どうなんでしょうか。何年も前の音を記録していてそれと比べるのならわかりますが,記憶の中の音と比べるのには無理がある気がします。淡い希望と思い込みも何割か含まれているのかもしれないなぁ。
 ブリッジ部分です。サドルとピンは「音が良くなる」という謳い文句のTUSQです。しかし,音の変化は聴いてもよくわかりません。比べられないというべきかな?正しく比較するためには,変更点以外の全条件をそろえるという面倒かつ不可能な作業が必要ですから,そんなこと普通は無理でしょう?留意した点はサドル底面の平面出しと,ブリッジから弦が出てくる部分にノッチを入れ弦がサドルにいい感じに乗る?ようにしたことです。サドルと弦の接触部は「線」がいいとか「点」がいいとかいろいろな説があるようですが,適度なブレーク・アングルを確保できていれば,たいした差はないと私は思います。なお,ピンはブラスや黒檀も使ってみましたが,見た目がキレイで自然な感じのTUSQに落ち着きました。
 ヘッド部分(ナットとアジャストロッド)です。このギターのアジャストロッドはヘッド部に突き抜けるタイプなので,ナット下からフィンガーボード下にかけて空間があります。そこにロッドを避けて補強材(ブビンガを使用)を接着し,強度アップ及びナットとネックの一体化を狙いました。効果のほどは不明ですが,たぶん悪くはないんじゃないかと思います。
 セミアコのエレキ,YAMAHA SA-2100です。なぜか台湾製のモデルで,ピックアップが国内カタログのものと異なります。YAMAHAのカタログではハムバッキングPUのマグネットはアルニコ-Vなのですが,このモデルはSPINEXのものが搭載されています。音を比べたことがないのですが,どちらが相性が良いのでしょうかね。これは,(アンプにもよると思いますが)ず〜んと太くて粘りがある音がする気がします。さて,このギターについては,ほとんどいじるところがありませんでした。ナットの溝をほんの少し削って弦高を調整したり,TUNE-O-MATICブリッジのハーモニックス・チューンと弦高調整を行ったくらいなものです。重いけれど,弾きやすく疲れないギターです。
 エレキベース,YAMAHA MB−1です。「てんとうむしヘッド」が特徴のミディアムスケールで弾きやすい楽器です。1980年代の日本製で,細部まで丁寧な造りです。ピックアップはアクティブタイプですし,ブリッジにはファインチューナー(やや邪魔な気もします)もついています。手を加えるところはないのですが,弦高調整やハーモニックス・チューンは丁寧に行いました。


 これらは,YAMAHA L-10Tと,MB-1の各弦の音響スペクトルです。

L-10T:数年前は記録を残す事など想定していなかったので,細工前と後の比較はできていませんが,現時点でかなり高音まで倍音が伸びていると思います。このギターの弦ゲージ指定はミディアムなのですが,このときの弦はMartin社のフォスファー・ブロンズ,ライトゲージを使っています。張り替えてかれこれ2ヶ月になろうとする時点での記録ですから,高音部はかなり落ちてきていると思います。ちなみに,測定にはPCに付属していたちゃちなマイクを使っていますが,グラフを見る限りではこれでも充分の性能を持っているようです。

MB-1:出力を直接PCに入力して測定しています。ジャンクで買ったときに張ってあった弦をそのまま使っていますから,高域の響きは期待できないと思います。基音より倍音成分がかなり強い感じがするのですが,アンプとスピーカを通してもこのような割合になるものでしょうか。

(L10-T 6弦E)

(L10-T 5弦A)

(L10-T 4弦D)

(L10-T 3弦G)

(L10-T 2弦B)

(L10-T 1弦E)

(測定系ノイズ)

(MB-1 4弦E)

(MB-1 3弦A)

(MB-1 2弦D)

(MB-1 1弦G)




Audio (Speaker)

 スピーカのエッジにウレタン素材が使われていると,経年変化でボロボロになるそうです。私の愛器BOSE301もウーファーのエッジが朽ちてしまいました。この愛着ある老BOSE,なんとか修理してやらねば!調べてみると,似たようなエッジは手に入りそうですが,セーム皮で代用もできるとか。さっそくホームセンターで入手し,できるだけ丁寧に張り替えてみました。留意したのはセンター出しとストローク量の確保です。部分的につっぱったりしないように気を配りつつ接着完了。この修理で音の変化は・・・よくわかりません。なにせ,朽ち果てたウレタンエッジとセーム皮代用エッジの勝負ですから,どっちもどっちでしょう。とりあえず,問題なく使えます。
 修理後,通常のリスニングポイントで周波数特性を測定してみると,低音から高音まで意外なほどフラットでいい感じです。
 このBOSEはかなり古く(197?製),トゥィーターがひとつで,音場変更用?の羽(ディフューザというものらしい)がついている「時代もの」です。イマドキのスピーカに比べると各部のつくりはやや安っぽく,ウーファーのフレームは薄い鉄板でマグネットもかなり控えめサイズ。ネットワークに使われているコイル(1mH)は鉄心入りで巻き線は細め,おまけにコンデンサも頼りなさそう。ネットワークのクロスオーバー周波数は一般的なものではなく,約1000Hzから3000Hz程度までウーファーとトゥイーターが共通の再生音を放射するのが特徴だという。セメント抵抗にはグラスウールが巻き付けてあって,吸音材には白いウレタン綿が申し訳程度にさらっと入っています。バスレフダクトは薄いボール紙のパイプです。どうです,無敵でしょう?さて,このスピーカの音ですが,一言で表せば「疲れない音」です。音の立ち上がりが鈍いとか,レンジが狭いとかいろいろな表現も考えられますが,私は「自然な音」であると勝手に納得して愛用しています。そして,30年を越えてもまだまだ付き合えそうです。
 スピーカの自作といえば,やはりフルレンジでバックロードホーンというのが王道でしょう。FOSTEX FE106Σ というユニットを使って,FOSTEX FF125Nに付属していた設計図を参考に作ったのがこれです。見た目よりかなりずっしり重いです。このエンクロージャーは,セッティング次第でずいぶん低音の出方が変わります。部屋の隅のほうに置くと10cmユニットで再生しているとは信じられないような低音がモリモリでます。しかも,この低音は歯切れがよく軽やかな感じです。中高音もスッキリしているので,ジャズやロックを鳴らすとかなり生々しく,グッとくる迫力があります。再生能率も高いようなので,実用上は充分すぎる音量を出せます。
 周波数特性をみると,バックロードホーンらしく山・谷が激しいですが,聴感上は気にならないというのが正直なところです。私にとっては,かなり魅力的なスピーカです。
 我が家の(唯一?)まともなスピーカといえば,このBOSE121かな。BOSEお得意の11.5cmフルレンジ・ユニットを使った小型スピーカです。木目を生かした仕上げはなかなか綺麗です。音もスッキリと高域まで伸びている感じに聞こえます。
さすがに低域は力不足ですが,周波数特性はかなりフラットです。
 BOSE121に,YAMAHAのアクティブサーボ作動スーパーウーハー(SW-60)を軽く効かせてみた場合はこのグラフのようになりました。スーパーウーハーのハイカット周波数は60Hzあたりで使いました。こうするとクリアーさに加えて迫力もあり,申し分なし。
 PAで使われている,JBLとかALTECのスピーカはかっこいいですね〜!というわけで,フロントホーンタイプのエンクロージャーを作ってみることにしました。(注:1990頃のことです。)でも,フロントホーンの設計図なんて見たこともない。あれこれ調べる中で,CORALの大まかな図面が目にとまりました。そのサイズをもとにして,ホーンのカットオフ周波数や広がり率などを計算し,計算値と現物合わせで作ったのがこれです。ウーハーのユニットには40cmを奢りました。ユニットにはホーンロードがかかりますから,コーンが軽量かつ強靱で,しかもQ値が低いものが必要です。入手しやすいのはFOSTEXのユニットでした。MS400という楽器用ユニットが条件を満たすようなので深く考えずに決定。「ユニットよりもホーン自体の性能で音が決まる」という話を都合良く信じ込んだのでした。

 さて,このエンクロージャ,田舎の物置部屋に数年間放置しておいたら大変なことになっていました。ダクトからネズミが入り込んで住みついてしまっていたのです。フカフカの(チクチクするけど)グラスウールを布団代わりにしたのでしょう。辺り一面にグラスウールを引っ張り出して楽しく遊んでくれた様子。あぁ,人の苦労も知らないで・・・
 フロントホーンのカットオフが約200Hz,バスレフダクトのチューニング周波数は約50Hz。狙いどおり,高能率で張りのある音が気持ち良かったのですが,高さ1mもある図体はさすがに邪魔で困りました。
 悲しいことに,トゥィータのホーンやドライバまで予算がまわらず,廉価版のワイドレンジ・ホーントゥィータFOSTEX FT-600 を使い1200Hzでクロスさせていました。



Timedomain (Speaker)

 気になるスピーカ,「Timedomain mini」 (Fujitsu製OEM)を入手できたので,内部を調べたり特性を他のスピーカやヘッドホンと比たりしてみました。測定では諸条件をすべて揃えることはできないので,傾向がわかるという程度ですが,興味深い発見がたくさんありました。
 スピーカユニットは口径5cmにも満たない小さなものです。このスピーカのうたい文句である,「音の波形を忠実に再現する」ことを狙うならば,ユニットはハイコンプライアンスなタイプかと思ったのですが,触ってみると意外にコーンの動きが渋い感じを受けます。エッジとダンパーでコーンの動きがリニアになるようにしっかり位置決めするとともに,コーンの動きを強めにダンプする目的なのかな?それとも,小口径ユニットで低音を再生するために最低共振周波数を下げるための工夫なのかはよくわかりません。能率はやや低そうな気がします。
 気になるのは,厚さ2mmほどのプラスチックで形成された卵型エンクロージャのペカペカ感。アンプがいくら小出力とはいえ,あまりにもひ弱な印象を受けます。リブが無く強度の弱そうな部分は振動しやすそうなので,スポンジの隙間テープを貼り付け制震効果と若干の吸音を狙いました。
 内部の吸音材は厚さ約1cm,5cm角フェルト材だけですから,この程度なら吸音材の過多にはならないでしょう。なお,シェル後部についている背圧抜きのダクトはバスレフポートとして働いているようです。
 スピーカは後部マグネット部がステーに固定されているのですが,スペーサが細くやや不安定な感じです。そこで,制振ジェル材を適当に切断して隙間に挟んで固定しました。スピーカのフレーム部等の余計な振動を抑える効果もあるはずです。卵型シェルは発砲ゴムのスポンジを介して固定されていますから,スピーカのフレームを制振震することで,シェルへの振動伝播も多少防げるのではないでしょうか。
 サイン波スウィープとパルス波を入力してスピーカからの音をマイクで拾い,信号に対する反応を観察してみると,なかなかおもしろい結果になりました。
まず,再生周波数帯域ですが,約100〜15kHzくらいはかなりフラットに再生できるようです。5cmユニットといえばツイータくらいのサイズなのに大変意外です。音楽再生時,しっかり低音まで再生されている感じをうけるのも納得できます。
 次にインパルスに対する再生波形ですが,これはいろいろ比較してみることにします。信号の元は,0.02秒ごとに発生させたインパルス波形。
恐るべし,タイムドメインmini。とても忠実に再生しています。
 さて,前出のFE-106Σを使ったバックロードホーンスピーカでのインパルス再生波形。これもなかなかのレスポンスのようです。スピーカユニットはハイコンプライアンスなタイプで制動力が強く,信号に対する反応が良好ですから,このような結果になるのでしょう。このスピーカは再生音の感じが生々しいのが特長ですが,このような再生特性からくるものなのかもしれません。小口径バックロードホーンは解像度が高くタイムドメインスピーカと同様の特長を持っているようです。
長年愛用しているゼンハイザのヘッドフォン。軽いし,装着感も良好。
 ダイヤフラム付近にマイクを持っていって測定してみました。レスポンスはいいはずだと勝手に思い込んでいましたが,妙に制動が効いていないような波形です。お手軽にPCのヘッドホン端子につないだので,アンプの能力等が影響しているのかもしれません。
 最後に老BOSE301MM。波形を見るとさすがにウーハーではインパルス信号について行けないようで,なかなか振動は収まらないような感じです。しかたないのでパルスの発生間隔をのばして測定。
 効果抜群のインシュレータ。制震ジェルを2枚の防振ゴムで挟みます。お試しあれ。効きます!




Audio (Electronics)
 1990年頃に入手して製作した真空管アンプキット,ELEHOBBY TU-894 です。 6BM8 という複合管を使用したCDジャケットサイズのミニ・アンプです。出力はわずか 0.7W×2 と,かわいらしいものですが,一応,A級作動です。前出のバックロードホーン・スピーカと組み合わせて使っていましたから実用上は十分すぎるほどの音量を得ることができます。電気的な特性はたいしたことはないのですが,デザインもムードもなかなかいいものを持っています。後継に TU-870 という同様のキットがありますが,こちらは出力約3倍,f特もぐ〜んと広がり,SN比に至っては約20dBも向上と,まさに隔世の感がある進化ぶりです。おまけに,値段は変わってません。これは,かなりオススメかも。
 真空管 6BM8(ECL82) です。3極管と5極管をひとつのパッケージに収めたミニ複合管です。
 生産国はいろいろあるらしいのですが,「RSD」というロゴのこれはどこ製なんでしょうか?旧東ドイツ?
 日常愛用している DENON のパワーアンプ,POA-1500です。1990年頃の製品でしょうか。購入後15年くらいを経過し,メーターの照明が次々切れてしまい,とうとう真っ暗になったのを機に,照明の麦球を流行の高輝度ダイオードに交換しました。ブルーにしたので,某有名メーカーのような感じになりました。なかなか神秘的な色合いです。意外と違和感はありません。




楽器など


 意外と簡単に「尺八」を作れるという資料があったので,作ってみました。(向こう側)塩ビパイプを使ったものは定番らしいのですが,どうも味わいに欠ける気がします。音はちゃんと尺八らしい感じで鳴ります。(中央)手頃な太さの竹で作ってみました。ホウキの柄です。変哲のない直管ですが,なぜか良く鳴ります。PCとマイクを使ったチューナで穴の大きさ等を調整しました。塩ビパイプのものは,管厚が一定なので9mmドリルの穴を開けただけですが,こちらは各穴の調整に約1時間ずつかかりました。削っては音を確かめ・・・の繰り返し。数日がかりの作業になりました。(手前)途中まで作ったものです。見た目はなかなかいいです。でも,鳴りは今ひとつ。ホウキの柄に負けてます。なんとなく製作意欲を失い,現在寝かせています。今後,どうなるでしょうか。
 カホン(CAJON)という,不思議な打楽器があることを知り,早速,適当なものを買ってきました。アフリカからの移民が太鼓のかわりに木箱を叩いたのが始まりだとか,ペルーで現在の形になった楽器だとか,フラメンコギターのパコ・デ・ルシアのライブで使われてヨーロッパに広まったetcとか聞きますが,ほんまかいなぁ。なにせ構造が単純ですから自作するのも容易でしょうが,とりあえず入手したこれはタイの”tycoon”というメーカー製。後ろの面にメーカー名の入った金属プレートがついています。さて,この楽器,ぱっと見た目は「ちょっと小綺麗なベニヤ板の箱」という感じ。そして,中央付近を叩くと低音,端のほうはキレのある音,中央より上部では響き線のバズ音が混じってスネアドラム風・・・と多彩な音が出せるうえに,椅子にも机にもなるという優れモノ。叩いてみると,おもしろいけど音の粒?を揃えるのがめちゃ難しい。音質の善し悪しについては,打楽器の経験のない私にはよくわかりません。また,打面裏の「響き線」はテンション調節ができるのですが,どれくらいがベストなのか,これまた謎です。これはなかなか奥が深いぞ。
 ジャンベ(DJEMBE)というアフリカ系の太鼓です。楽器屋で音が気に入って即買い。低音から高音までクリアーな音が出ます。まともな楽器は手彫りですが,インドネシア製のこれは機械(木工ろくろ?)使っているようです。手造りの風情はないけれど,工作精度は高いかもしれませんね。なんともいえない深みのある響きがとてもいい感じ。それにしても,打楽器って難しい。




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