「嗚呼博多一番」
ーーとある秘密結社の、岡山版長浜ラーメン考ーー
「岡山ラーメン学会 別室」の見出しへ戻る  
 これは、岡山ラーメン学会メーリングリストに99年3月に投稿されたものを、転載したものです。著者は、「流離いの修行僧」と名乗っておられます。

長浜ラーメン岡山版こと初め

 私、決して長浜ラーメンが苦手なわけではないのです。大好きなんです。週に1度や2度は必ず喰います。しかし、悲しいかな、、、それはあくまでも岡山の「長浜ラーメン」を名のる店でのこと。私のささやかなる夢は「いつの日か長期休暇を取って長浜に行って、毎晩毎晩長浜の屋台で酔いつぶれること」なのです。
 こんな私が「白いスープのラーメン」に出会ったのは、確か小学生の頃だったと記憶 しています。ハウスの「王風麺」が登場したのです。当時「白湯スープ」(ぱいたんすーぷ)の名で一世を風靡し?ました。見た目は白くてあっさり見えるのに、食すと意外にこってりコクがあって後味すっきり!新鮮な驚きでした。インスタントの中で九州系のスープに若干近いと言えるのはあれが最初だったのではないでしょうか?
 その後「うまかっちゃん」とかでましたが、いまいち。そうこうしているうちに、ま るちゃんから「とっぱちからくさやんつきラーメン」が出て「此はそこら辺の九州風ラーメンよりうまい。」などとかってに思ってました。

 店で食べた「九州ラーメン」らしき物の事始めは、表町1丁目の黒石呉服店の近くの 路地にあった「味大」(だったと思う)というお店で「白いスープのラーメンがくえる」と言うことで、15歳から17歳にかけて、つれとよく通いました。
その頃から徐々に長崎ちゃんめんがあちこちに出現しはじめ、「ちゃんめん行こうで」を合い言葉に夜な夜なバイクを走らせたものです。
 取り敢えずあの九州風の白いスープは魔の魅惑があり、本来麺にこだわるタイプの私 なのですが、少々麺や具がまずくても許せてしまうのでした。
 そうこうしているうちに、中庄の川崎医大の向かいに博多ラーメン屋が出現しました 。発見して速攻で喰いに行き「おお!これが本物の長浜ラーメンじゃ!!」と無邪気 に感動したものです。高菜も入れ放題でした。夢にまで見た替え玉初体験です。麺も 九州から取り寄せていました。
 しかし、悲しいかな、、、次に訪れたときには、、、その店、、、ありませんでした 。かれこれ十数年前の事だったと思います。

とみ吉の功績は偉大じゃ!

私が、とみ吉の親父と出会ったのは二十歳になったばかりのことだと思います。
 九州での修行を終えた富岡さんは、しばらく今の店のあたりで屋台を引き、今の店を 構えました。その頃から富岡さんは人望の厚い男で、いつも沢山の若者達に囲まれて 仕事してました。
ある日、私は不躾にもこんな質問をしたことがあります。「このスープちょっと薄くない?もうちょっとコクを出してもいいと思うんじゃけど?」すると富岡さんは、「そうなんじゃ、でも本場の味を出すと岡山人にはまだ受け入れられんのよ。岡山人の舌に合わしとんじゃ。」と言っておられました。しかしそれなら尚「本場の味が食いてー!」と切に願う私でした。それからぽつぽつ長浜ラーメン屋が生まれては消え生まれては消え、今に至ります。
 岡山に長浜ラーメンを伝導したのは「とみ吉」です。その味が本場的かどうかは私の 知りうるところではありませんが、「とみ吉の功績は偉大じゃ!」と勝手に思っている私です。

 「しっとうや」が出来た頃、早速喰いに走った私は、一口喰って「とみ吉よりうめー 、これこそ本場長浜の味じゃー!」と心の中で叫び(でも俺、本場知らん、、)反省。 いかにもうまそーな名前と店構えにつられ「どんたく」にも行きましたが、何故か判 りませんが、二度とあのラーメン喰いたいと思いません。
 「やまがさ」は今一番よく行く長浜ラーメン屋ですが、あのバラツキだけは何とかし て頂きたい。麺のゆで具合も、、、スープの温度も、、、いつもバラバラ。今までワ シの知る限り、山がさの若者は3人めじゃが、単純に「修行がたらん」と思う。ひろ 殿に「勉強がたらん!」としかられるワシに「修行がたらん」と言われるぐらいじゃ から、全然たらんはずじゃ!岡山という片田舎で白いスープのラーメン出しておれば 多少昼時ぐらい忙しかろう。岡山ではまだまだ豚骨スープと言うだけで騙せる県民が 大半じゃ。じゃけど。長浜ラーメンちゅうもんは、マニュアル通りこさえたから言う て決して味の出せるもんじゃなか!あの屋台の客の熱気やら、細麺の湯で加減の刹那 にかける緊張感や、湯切り一振り一球入魂が凝縮されて一杯のラーメンと化すのじゃ 。本場で修行して参れ!本場を知らぬワシが言うのじゃから間違いない!!!

というわけで、博多一番のお話し

 ちょっと興奮してしまいましたが、すいませんそんなわけで博多一番です。
 恐らく、わかりませんが、博多一番にはそんな長浜屋台の熱気や気合いの片鱗が、少 なくとも他の岡山の長浜ラーメン屋に比べればあると言うことなのでしょうか。本場 を知らぬ私ですが、何となくそれは感じます。
 私の知る限りでは、博多一番の麺が最も細いように思います。揖保の糸とまでは言い ませんが、近い物があります。麺が細いと言うことは美味しく作ると言うことに於い て、その諸条件の許容範囲を厳しく絞られることになります。最も影響があるのが、 茹で時間の制約でしょう。あれくらい細ければ秒単位の手際が必要になるのではない でしょうか?またそれのみならず、細麺であるが為、茹でるときに絡みやすく、全体 に均一に熱を伝えるのが難しくなります。乾麺であるそうめんは、パラパラと回し入 れることが出来るため、その点は回避しやすいのですが、この場合麺を大鍋で泳がせ ることが必要になります。しかし、泳がせれば当然、かなりの熟練した職人でも、麺 をあげる際に、時間がかかってしまいます。しかも2〜3人前を同時に釜揚げできな いはずです。
麺を泳がせなければ、表面にぬめりが出るし、泳がせればのびる可能性が高いわけで す。
勿論、個人差はあると思いますが、私は基本的にラーメンうどんパスタの類は麺の表 面のグルテンが高温で滑らかに結合したと思われる、つるつるした麺が好きです。茹 で湯の温度むらで、表面にぬめりが出ている麺は、出来れば避けたいのものです。そ してパスタで言うところの、「あるでんて」君がいてくれたら言うこと無しです。 アルデンテはとは、決して生煮えと言うのとは違い、火が通っていてしかもぷちっと した歯ごたえがしっかりあると言うことだと思うのですが?
 細麺の場合、アルデンテの状態を作るのはかなり条件が揃わなければならないはずで す。アルデンテ君がいるうちに、麺を揚げようとすると、麺の表面のグルテン君がま だスタンバイできずにヌメヌメ君になってしまう。
 もちろん、これは茹で時間だけに限らず麺の質にもかなり影響があると思われ、塩分 や水分やかん水や練り方の違いもかなりあると思われます。
 私は基本的に硬め派なのですが、例えば「とみ吉」などで硬めを頼んだにもかかわら ず、ふにゃふにゃで出てくることが、、、有ったり無かったりします。むっかぱらが 立つのですが、そこは大人、我慢して喰います。しかし、食べているうちにふと気が 付くと結構美味しかったりします。多少茹ですぎても麺に程良い弾力があり、表面は ツルツルして、「たまには此も良いかな、、、」と言う感じです。やはり此は茹でる 方法にも関係有りますが、根本的な製麺方の違いも大きいと思います。柔らかく茹で るとふやけてしまう麺、柔らかく茹でてもコシが有る麺、かん水ばりばりで少々茹で てもゴムみたいなやつ。色々違いがあるようです。
 博多一番の麺はどうなのでしょうか?少なくとも私が3回喰ったうちの1回は、半分 喰わない間に、汁の中で溶解し始めていました。勿論私も、「替え玉を見据えて、1 玉目は速攻で喰う。」のは同じスタンスです。
 私なりの結論としては、博多一番の麺は一歩茹で方を間違えると比較的「ふやけやす い麺」なのでは無いかと思うのです。みなさんどう思われるでしょうか?
 しかし、博多一番で一つ感服させられるのは、スープがいつも熱々な点です。作る前 に必ず、どんぶりを茹で汁で暖めておられるようです。まあスープの温度も人によっ て好みがあるのでしょうが、私は断然アツアツ派です。特に長浜ラーメンは替え玉の 都合上、アツアツでいて欲しいと思います。
しかし、このアツアツと言うのも、極細麺には更に厳しい条件を与える事になります 。汁が熱ければ当然人の食べる速度が低下するとともに、のびるのも加速します。更 に、ぬるいスープに麺を入れると、麺が締まる効果があるのですが、それも望めませ ん。
 一つ気になるのは、どんぶりを温めた後の茹で汁を、また鍋の中に戻しているところ です。しかもざるに入った麺にかけるように、、、あれでは茹で汁の温度が下がらな いでしょうか?パスタを茹でるときには、表面のぬめりが出ないように、塩を大量に 入れ、茹で湯の沸点を高くしてまで茹でるのに、せっかく温めたどんぶりの冷めた湯 を鍋に戻すのは如何な物でしょう?
 それと、あの小さなざるにいれて茹でるので有れば、茹で湯を鍋の縁までいっぱい入 れればいいのに、ざるの半分ほどしか湯に浸かっていません。あれでは麺が泳がず、 均一に熱が通らないはずです。ぬめりが出たりくっついたりするはずです。
とまあ、こんな感じで私か博多一番を食べた3回は、たまたま?麺の茹で方が「ロボ ット的」ではなかったのでしょうか?
それとも、単に私の勉強がたらんだけなのでしょうか?よくわかりません

これを書き始めて8日がたちます。思いついたときに徒然に書いていたので知らぬ間 に時がたち、あまりリアルインタイムな話ではなくなったようです。
ここまで読んだ方、ご苦労様です。屁理屈ですが別に悪気はありません。おこらない でね!
実は、3日前、4回目の博多一番に行きました。夜10時頃だったと思います。
今までの3回は全て、昼時だったのですが夜の部は初挑戦です。あまり客はいません でした。しかし、なんと、めちゃめちゃ旨かったです。麺も硬めでシコシコしてて、 スープもしっかりコクがあって、高菜やショウガをしこたま入れてもしっかりとんこ つしてました。
久しぶりにラーメン屋で至福の時を過ごしました。δ⌒ρ⌒∂
ついでに今日も昼2時頃、博多一番に行きました。麺は別に問題有りませんでしたが 、やっぱりコクがないように感じました。気のせいでしょうか?
もしかして、昼と夜では味を変えてるの?誰か教えて下さい

まあ長々とくだらないことを書いてしまいましたが、学会様の主旨に反するようでし たら、登録を抹消して下さい。南無ぅ〜δ ̄⊥ ̄∂
δ ̄⊥ ̄∂ δ ̄⊥ ̄∂
とある麺食十字軍秘密結社地下組織
代表代行助手補佐 流離いの修行僧
δ ̄⊥ ̄∂ δ ̄⊥ ̄∂