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メーラン記念日
読み人知らず 


このだしが いいね,と君が言ったから 2月7日は メーラン記念日

 どんぶりから立ち上る湯気の向こうに愛しい君がいる.レンゲですくったスープを口に運ぶなり,魚系のだし味が効いたとんこつしょうゆスープが彼を唸らす.この店を紹介してよかったという安堵感が私を暖かく包む.自分がおいしいと思っている店がけなされることほど悲しいことがこの世にあろうか?ああ,今日はいい日だ.日記に書いておこう,メーラン記念日と.


今何を 考えている, この太肉にも 気づかないほど

愛している君が黙り込むと私は不安になる.一緒に食べているはずの太肉メーラン.だが店の中に響くのは私が麺をすする音だけ.今日5軒目のメーラン.いつもは大盛りでも軽いあなたじゃないの.目の前の太肉も,私の目も見ないで,店の奥にあるドアを見つめて何を思うの?


ねぎたのむ 君のボウル ふと見るそして つくづくと見る

昨日は太肉で締めたから,今日はねぎメーランだなんて、なんてやさしい心遣い.あなたに届けられた愛のボウルの中の湯気ものぼらさない青ねぎの山の中にふと見つけた根っこに近い白い部分.あなたの周りにたくさんいる青い中身のない女とはちがう白く中身の詰まった自分,強い香気.ああ,あの白いねぎから箸をつけてくれないかしら.


鶏ガラの 香をほのぼのと たてながら 肉の下に 麺は6番

同じギャグを4回も繰り返すなんて、なんてくどい君。でも、そのくどさに慣れちゃうともうだめ。すっかりあなた色に染まったわたし。くどさが無いと寂しくって居ても立ってもいられない。一緒にいるとくどくなって喧嘩もする。分かれると寂しくなる。いつまで私を振り回す。今日は特にくどいわ。だって、麺も見えないじゃない。言われたとおり6番にしたら。