スキーが好き

  

スキーが好きである。

「せっかく山の上に登ってもすぐ下りてくる。 登っちゃぁ下り、登っちゃぁ下りするのが、面白いんか?」

という方もおられますが、面白いのだ。

何が面白いか?  そう、転ぶからだ。

転ばずに、イメージ通りの滑り方で滑り降りられると、それはそれで十分満足感があるしなにより

風を切って滑るのは爽快である。上手い人はゲレンデのヒーローにもなれる。

でも、転ぶのが面白い。

会社の上司が転ぶ、同僚も、友人も、見知らぬ人も、みんな板をからませ、止まれなくなり、

あるいは、バランスを崩し転んでゆく。それを見て、笑っている自分ももちろん雪煙を上げて、フッ飛んで

顔からコケて、無様な姿をさらしている。リフト待ちの間も、リフトに乗るときも、あらゆる所で転んでいる人がいる。

若い女性がエッチなポーズで、上手そうな兄ちゃんがアクロバティックに、社会的地位もなにもなく、

老若男女すべての人が、平等に恥をさらしゲレンデに転がっていたりする。

街や人前で転んでしまうと、いても立ってもいられないほど恥ずかしいが、ゲレンデなら平気なのである。

それどころか、みんな恥を隠すことなく笑っている。ゲレンデの雪のような真っ白な心で。

恥ずかしいけど、恥ずかしくない。でも、カッコウはよくない。

こんな腹のそこから笑える、恥ずかしいスポーツがあるだろうか?

愉快である。だからスキーが好きである。

 

(なんか勘違いしてないかい?)

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