秋に思う
9月19日
この日は昼に気温が30℃を越えていたらしい。そして深夜、なぜかツクツクボウシが鳴いていた。家の近くの田んぼでは
稲刈りが半分ほど終り、中学校の体育祭が行われていた秋の日にである。
わずか1週間の命の彼がなぜこのタイミングで羽化してしまったのかはわからない。
気温が高かったせいだけではないはず。メスの蝉はおろか彼の仲間さえも
今はもういないのに。
彼は何を思って鳴きつづけていたのだろう。
あたりはもう秋の気配が漂いはじめ、コオロギやスズムシの声ばかりが
大きく聞こえ、彼の声は全盛期の蝉に比べ弱く消え入りそうな声であった。
それでも鳴きつづけていた。
鳴いても叫んでも誰にも届かぬ声だから
鳴いても叫んでも応えてくれる者がもういなくなってしまったから
こんな深夜になっても、なお鳴きつづけなければいられなかったのだろう。
朝、家を出た私の耳にもう彼の声は聞こえてこなかった。
仲間を探して遠くへ飛んでいってしまったのか?それとも。。。。
秋はせつないね。だから秋は嫌いです。
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