月蝕

 

 

2000. 7.16                   

        

縁台に横になり 少しづつ欠けてゆく 月を見ている

心地よい夜風に 時折 風呂の湯気の石鹸が香る

三脚にカメラをしつらえて 何枚か写真を撮っているが

カメラマンの腕は ろくな物ではない

様子の変わっていく月を

望遠鏡代わりに 覗くのが 正しい使い方

お昼のサフォーク羊は とうにおなかの中

今の心配事は 明日からの仕事のことではなく

桃の熟れぐあいと 君の笑顔が見られるかどうか

口に含んだスコッチが 胃にしみわたる頃

右上を見上げていた 瞳は

幻のような 赤黒い月にかわった

 

 

 

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