第4回 角川文庫が書店から消えた日

平成元年8月を最後に、「地球樹の女神」の刊行がストップしてしまいました。刊行巻数は6巻を数えていました。
当時の平井作品は角川ノベルス刊の「地球樹の女神」が進行中でした。「真幻魔大戦」以外の作品は、角川文庫にすべて収録されていました。
だから角川文庫を買えばほとんどすべての平井作品を読むことができたのです。しかし私は、まだ平井和正の長編小説のファンで、短編は一切読んでいませんでした。もともと「ウルフガイ」や「幻魔大戦」といった長大な小説を読むことに慣れていた私は、短編小説に手が伸びなかったのです。
しかし、これが大変な失敗であったことに気づかされることになります。

「地球樹の女神」刊行中止となった直後、書店から平井作品の角川文庫が消えてしまったのです。上述したように、まだ未読の平井作品があるにも拘らずです。
長編小説を読破した私は、平井作品のすべての作品を読むことを切望しました。「ウルフガイ」の原型となった「悪徳学園」や「狼少女リツコ」といった作品は、短編小説だったからです。これらの作品やたくさんのすばらしい短編作品を読むためにはどうすればいいのか?

結局、私は古本屋を巡ることになりました。小田急沿線の古本屋を巡ることですべての作品を手にすることができたのです。すばらしい短編小説群に出会いました。本当に平井ファンになったのはこのころだといえるかもしれません。

これらの事件は「地球樹の女神」の改竄事件に端を発して、平井和正と角川書店が絶縁状態になったためだということが後からわかりました。
でもそんなことは読者には全く関係のないことで、多くの作品が現在に至ってもなお手に入れられない状況にあることは非常に残念だと思います。

 

<つづく>