第44回 悪霊の女王 [2000.4.30]

悪霊の女王は平井作品の中でも特異な存在だ。
平井作品といえば主人公に感情移入することが非常に簡単だという特徴がある。
作品を読み始めた瞬間から、作品世界にとけ込み、主人公と同一化することができる。
ウルフガイ、アダルト・ウルフガイ、幻魔大戦、月光魔術団しかり。
しかしこの悪霊の女王だけはこの限りではないようだ。

主人公は新井亜子。
大悪霊、アニマに憑依された存在だ。
平井作品の多くの主人公が自己の存在を強烈にアピールするが、
この新井亜子はアニマに翻弄され、そこから脱出するのに必死だ。
アダルト・ウルフガイ「犬神明」とは全く正反対の印象だ。
非常にネガティブなキャラクターである。

新井亜子がアニマに同一化を遂げたときいったい何が起きるのか?
そこまでたどりついた時、この作品がいったい何だったのかわかるのでしょうが、
未完のこの小説の続編は期待できないでしょうね?

 

<つづく>