第55回 ウルフガイ [2000.7.16]

平井和正オフィシャルページはウルフガイドットコムと名称が変わった。
掘り出し物では原作ウルフガイも公開された。
月光魔術団はただいま第3部進行中。
ハルキ文庫ではアダルトウルフガイが絶好調。
まさにウルフガイづくしである。

そんな中で一番興味深いのが、原作ウルフガイだ。
一人称語り口の文体でアダルトウルフガイよりひょっとしたら大人っぽいのではないかと思われる犬神明が登場した。
学生の頃、何度も何度も繰り返し読んだ坂口尚のウルフガイ。eブックの表紙に使われている本だ。
愛蔵復刻版で散逸した原稿を集めて発刊されたらしい奇想天外コミックスは荒い絵が目立ったが、ストーリー性には関係あるはずもなく、若き日の私の心を見事にとらえた。
その原作は小説としてかかれたことは有名な話だが、ついに公開されたことがうれしい。
これもインターネットの新しい可能性をかいま見せてくれるウルフガイドットコムの躍動のなせる技だ。

坂口版ウルフガイでは、クールな感じの強かった犬神明。
やはり彼の心理面は絵から想像するしかなかったが、小説という形態によって、そのあたりに新しい発見が多い。
羽黒によって犬と背中に彫り込まれた後のゾンアントロピーに狼狽する描写などがそうだ。
またその後屋上から飛び降りた犬神明。漫画版では描かれていなかったのでは?
そして青鹿晶子の犬神明への傾注。最も興味深い心の動きを今後の原作ウルフガイが私たちに見せてくれるはずだ。

 

<つづく>