吸引戦隊カービィファイブ外伝
かんきつ塔のカイム
「あっそびに来たよ〜♪」
カイムが飛びかかってきます。ナックルジョーは見事なひじ鉄で迎え撃ちました。
がづんっ
「あ、いった〜・・・ぃっやっだもー、顔はやめてってばぁ♪」
「だったら飛びかかってくるな。・・・何でお前、俺の家の場所知ってんだよ。」
「桃くんに聞きました♪」
「・・・あとで硫酸送ってやる。・・・それより、アポはどうした?」
「え?・・・あぁ、あれね。うん、無視した。あのね、まくのが思ったより大変だったんだよ。まず僕は右によけて・・・」
「さっさと帰れ。」
ナックルジョーはカイムをドアの方へ押していきます。
「えー・・・せっかく来たのにぃ・・・」
「知るか。」
「僕、ギター弾きながら歌えるんだよ♪『こげよマイケル』を英語で歌うからさ、いさせてよ♪」
「帰れ。」
「まいけーろーだっぼだっしょっ♪はーれーるーぅっやっ♪」
「ギターで殴り殺すぞ。」
「お願いだよ〜ここまで来るの大変だったんだよ〜・・・」
「じゃあ、ゲームで決めるか?」
「スマブラとか?」
「お前なんかにコントローラーを触らせてやれるか。ここに座れ。」
カイムが座ったのと同時に、ナックルジョーはカイムの頭にミカンを1個乗せます。
「そのミカンを落としたら即帰す。」
「じゃ、ミカンが頭の上に乗ってる間は、いていいんだね♪」
「ただし、5分につき1個増える。」
「・・・え?」
15分後。
「4個目だな。」
ナックルジョーはミカンを親指で器用にはじき、ミカンタワーのてっぺんに乗せます。
「・・・動けないんだけどさぁー・・・」
「動くなとは言ってない。動きたかったら動け。」
「ミカン落ちちゃうじゃない。」
「あぁ、その瞬間放り出す。」
「ひっどーい!これじゃ何も出来ないじゃない〜!」
「何するつもりだったんだ、お前。」
「あのねぇ、何をするかというと・・・あ。」
身を乗り出したため、バランスが狂い、ミカンが後ろへ傾きます。
「きゃーっ、やだやだ、ちょっと、ちょっと!」
バランスを持ち直すために自分も後ろへいきます。
がづっ
思いっきり後頭部を床にぶつけます。もちろん、ミカンは全て床に落ちてしまいました。
「いったー・・・」
「放り出すか。」
「・・・今のナシになんない?」
ナックルジョーはカイムのコートの襟をつかむと、外へ放り投げます。
「鏡!叩き飛ばせ!」
「イエッサー!」
シミラの衣装を着た人物が飛び出してきます。ロッドをゴルフの様に振りかざし、カイムの頭をナイスショットな感じで殴りつけました。
っコーンっ
小気味よい音が響きます。
「きゃー・・・」
カイムは弧を描いて飛び、近くの森の中に落ちました。
だぼーん・・・
「池か川に落ちたみたいですねぇ。」
「じゃあ、今日はもう来ねーな。よーし、よくやった。やっぱり攻撃力に不安が残るな・・・チェーン・ソー使うか?」
「・・・ぃえ・・・それはちょっと・・・」
真っ暗な空間が続いています。
「・・・カイム。」
「はいっはーい♪なーんでしょっ♪」
ゼロは一瞬、絶句します。カイム自体はいつもと変わりません。問題は頭上です。カイムの頭の上には、ミカンが6個ほど乗っていました。カイムはミカンをぐらぐらさせながら歩いてきます。
「・・・カイム、それは何だ?」
「ミカンです。甘いけど、チョコ食べた後には食べれたモンじゃなくて、こたつとの相性が良く、ティンクルスターはサルのごとく一心不乱に筋を取ってから口に・・・」
「それはわかっている。何で、頭の上にミカンを乗せているんだ?」
「1秒でも長く居座るためです。」
「・・・どこにだ。」
「言ったら怒るでしょーから、言いません。とにかく、今日の目標は、ミカンを6個頭に乗せてタップダンスを踊れるようになることです。」
「・・・わけのわからん行動は控えておけよ。」
「あ、えーと・・・はい、ごめんなさぁーい♪」
カイムはゼロに向かって頭を下げます。ごろごろとミカンがゼロに降り注ぎました。
「・・・あ。」
カービィが頭にミカンを何個も乗せて歩いている人物を見る様な目つきでカイムを見ます。
「・・・何やってんの?」
「頭にミカンを16個乗せてんの♪」
「・・・聞き方が悪かったかな・・・何でそんなコトやってんの?」
「ミカン16個を頭に乗せて、コサックダンスが出来るよーになるためだよ♪」
「ボクにはもぅ、わかんないよ・・・」
「ねぇ、ミカン1個ちょうだい♪カレーの隠し味にするの♪」
「いいよー♪がんばって、おいしーの作ってね♪」
「カビちゃん、やっぱりイイ人じゃない?」
「ミカン乗せたイイ人?・・・信用しきれないなー・・・色んな意味で。」
「ナックルジョー♪遊びに来たよ♪」
「今日は普通に入ってきたな。」
「今日は400年に1度の珍しい日だから♪」(2000年2月29日現在)
「この前と同じとこに座れよ。」
カイムはどこからかギターを取り出します。
「かたーいきずなにーおーもーいをーよーせてー♪」
「これ読んでる奴で、どのくらいの奴がその曲、知ってんだろーな。」
25個目のミカンがタワーに加わってからしばらくがたちます。
「けっこーやるなー。」
「えーと、次の歌はフォスター作詞作曲『夢路より』♪びゅてぃほーどりーまぁー・・・こっから後覚えてないや。じゃ、某中学で演歌と勘違いされた曲『エーデルワイス』♪えーでっわーぃす♪えーでっわーぃす♪えーぶりもーにぃんぐゆーぐりーみー♪すもーあんほわーぃと♪くりーんあんぶらーぃと♪ゆーるっくはっぴーとぅーみーぃとみー♪ぶろっさもっ・・・」
「5分経った。帰れ。」
「えっ、何で?ミカン落としてないし、それより今盛り上がってきたんだけど。」
「ミカンがもうない。帰れ。」
「・・・」
カイムが25個のミカンをぐらぐらさせながら、とぼとぼと帰っています。ミカンが尽きたら、一泊していっていいという制度を設けて欲しい・・・と思っていました。