腐食との闘い!



航空機にとって腐食は最大の敵といっても過言ではないでしょう。腐食は機体の隙を見つけてじわじわと進行していきます。
飛行機の外板は主にアルミニウム合金で作られています。アルミは耐食性が良好で、かつ、その上にアルクラッドと呼ばれる純アルミニウム等をコーティングして、常に表面に酸化皮膜がある状態にしています。
なのに腐食が発生します。上の写真はいづれも重整備の時に腐食除去を行った処置後の写真です。
塗装が「パリパリ」と浮いて爪や木片でこすると塗装がはがれ、中から白い粉がでてきます。これが腐食です。
腐食にはいろいろ種類があってこのように「パリパリ」と塗装が浮く腐食は除去が簡単な部類だと思います。
難しいのは翼、胴体の中の狭い場所での腐食除去です。リブやスパーの回りはたいてい形状が複雑でペーパー等による除去が困難です。

今回の腐食はどちらもその前者のタイプで、ペーパーによる腐食除去を実施後アロジン処理、ジンククロメート・プライマー(亜鉛末入り塗料)で防食塗装しました。

腐食が人為的に発生するのは;
1.前回の塗装ハクリ時にペイントリムーバーを完全に流すことができなかった。
これは機体の外板の継ぎ目にリムーバーが残ってしまい、そのまま前処理後塗装をしてしまうとこのようになると思われる。

2.前回塗装時の防食不備。
アルミニゥム専用の下地防食剤処理(通称アロージン処理)を実施するかしないかで差が出ると思います。
実際アロジン処理をしたのと未実施のものをいつまで腐食に耐えられるかというような実験をしたことがないのでなんともいえません。
そのような資料があればいいのですが・・・

対策としては、初期の段階で発見したら、速取り除いてジンクロ及び外板塗装をタッチアップで行う。
これが一番の対策だと僕は思います。
腐食が進行してくるとどんどん広がり、深くなっていきます。これを取り除くのは時間、労力、あと、腐食を除去できたとしても、メンテナンスマニュアル等による外板厚さのリミット等があります。
腐食を取る為にその周辺の正常な箇所も削るので結果、板の厚さは減ります。そうなると今度は応力に耐え切れなくなる可能性もでてくるので・・・

それではこの辺で。

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