漏斗胸について

 

漏斗胸とは
胸骨の変形により 胸部が漏斗(ロート)状に陥没している状態を漏斗胸と呼びます
症状としては 局部が深く陥没しているもの 広範囲に浅く陥没しているもの 左右非対称で陥没しているものなど それぞれの方の場合で異なります
 
 胸骨変形の原因
助骨 助軟骨の過度の成長による先天性なもの

アデノイド 扁桃腺肥大起因による後天性的なもの

その他 主な疾患による合併症状となっているもの(例えば マルファン症候群など)

【耳鼻科的な要因】
睡眠時に無呼吸が見られる 大きないびきをかく 乳幼児では陥没呼吸が見られ息が苦しそうなどの症状があり 胸部の凹みがある場合には耳鼻科的な処置も考えられます
耳鼻科の診察も受診を受けてみられると良いと思います

 
 漏斗胸の治療
漏斗胸により 呼吸に障害が起こっている場合 心電図やCT診断により心臓に影響が出ている場合 本人または家族が治療を望んだ場合は手術による胸骨の矯正を行います。

手術方法は国内では数種類行われていますが 大きく分けて『従来法』と呼ばれている方法と バーを体内に挿入させて行う『Nuss法』と呼ばれる方法があります

【漏斗胸の診察を行っている診療科】
★小児外科
★形成外科
★呼吸器外科
★胸部外科 など

【従来法手術の種類】
★ 胸骨翻転術
★ 胸骨挙上術(ラビッチ法)
★ その他病院独自の手術法 肋軟骨ブリッジ法(名古屋市立大学第2外科方式)など

【Nuss法】
★ NUSS法  金属のバーを胸部に通し固定 数年間そのままの状態で生活し 状態を見てバーを抜く方法

【吸引療法】
★ バキュームベル
★ ペクタスエッグ
   陥凹部にシリコン等で出来たカップを当てホースを通して中の空気を抜き 一時的に圧で胸骨をもち上げる治療法
   1日一定の時間の装着が求められる


どの方法による手術を選ぶかは そのご家庭の中での決断や主治医の先生の判断になると思いますが どの術法にも利点と問題点が存在する事を納得された上で受けられると良いと思います

【注意】
漏斗胸の治療については 幼児から成人の方まで広い年齢の範囲で受けることができます
ただし 術後の痛みや回復 その後の日常生活における違和感など年齢によっての差は起こります
治療を考えられる前に まずは【いまの状態】を専門医及び漏斗胸の治療を行っている医師の診察を受けられることをお勧めします

また 手術を受けられる場合には 他の疾患が原因でおこっているものではないかを主治医の先生にご確認ください
例えば マルファン症候群のように骨の柔らかい特徴を持っているお子さんが低年齢期に治療を受けられると 術後にトラブルが起こる場合があります

 
 自立支援医療費(旧 育成医療)
漏斗胸の手術は国の定める医療制度の『障害者自立支援医療費』の対象となる場合があります
この制度は18歳未満の児童を対象に 手術により現状態より明らかに改善が期待されると医師が診断された場合に適応されます(認定医師のいる医療機関での認定が必要)
申し込み窓口は 居住地域の管轄保健所です
ただし この制度には各管轄保健所よって 条件が違う場合がありますので詳しいことは病院窓口か保健所へ直接お問い合わせください
 
 心の問題
漏斗胸の方 またはお子さんにとって心の問題は大きな負担となります。
胸部の凹みを周囲にからかわれたり からかわれるんじゃないか・・という不安をもたれたり人前では衣服を脱ぐことを避けたり プールや温泉などを避けたりという状態も出てきます
体に与える影響と同じように 心の問題にも取り組んでいく必要があります

【ご相談ください】
当会では 漏斗胸に関した質問にできるだけお答えをしていきたいと思っております
学校の先生方や保健室の先生方など 子ども達に関わるお仕事をされている方のご相談に応じます
お気軽にご相談ください

漏斗胸に関する勉強会などを開催される場合にはぜひお声掛けください
日程が合えば 代表者または 各地区の運営スタッフが参加をさせていただきたいと思います