MAY
思い起こすのは、春のうららかな日差しと。 「アスラン」 少し舌足らずな声と、眩しい笑顔。 キラ… 君は今どうしているのかな。 目が覚めてもアスランはベッドから起き上がろうとせず、ぼんやりと空を見つめていた。 久しぶりに夢を見た。 懐かしい思い出。 見るものすべてを魅了するような笑顔がそこにあった。 忘れかけていた温もり。 忘れていたわけじゃない。思い出さなかっただけだ。 思い出したら、夢から覚められないから。 名を呼んだら、逢いたくなるから。 焦がれて焦がれて。 再び手にしたら、今度こそもう離せないから。 アラームの音が響く。 起き上がったら、また戦いにいかねば。 あの優しい思い出とはかけ離れた世界へ行かなくてはならない。 後悔はしていない。自分で決めたことだ。 ただ、あの優しく穏やかな温もりを守りたいだけ。 誰にも汚されないように。壊されないように。 後悔はしていない。 ただ、寂しいだけだ。 もう戻れない。あの頃には。 自分の手は血まみれだ。肩には多くの人の死を背負って。 向かう先は赤く染まった暗闇。 覚悟はできている。守れるならそれでいい。 だけど、気になるんだ。 彼は笑っているだろうか? できることなら、いつまでもあのままで、一緒にいたかった。 もう少しだけでいいから、一緒にいたかった。 時は戻らない。だから、願うことはそんなことじゃない。 彼は、今も変わらずに笑っているだろうか? 自分のような、哀しみや苦しみに、孤独に苛まされていないだろうか? 名のとおりの光のような彼には、闇を知ってほしくない。 彼の分も自分が背負うから。 彼がいなければ自分に夜明けは来ないのだから、ちょうどいい。 ただ、もう一度、逢いたい。 お願いだから、笑って? どうか、その笑顔だけは陰らぬよう。 笑って。 それだけできっと、俺の世界は救われるから。 end
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Bzの「MAY」を聴いていて浮かんだ話です。ってSSとも呼べないようなラクガキになってるよーな…。 他のサークル様ではよく、アスランに逢いたいけど罪の意識に苛まされて逢えないキラ、の話を目にしますが、キラと再会する前はアスランこそそういう心境だったのではないかと思うんです。ところがいざ再会したらキラが連合のMS乗ってたもんで、「何やってんだ、おまえは!」な思考で一杯一杯になっちゃって、それまで気にしていたことが脳裏から消え去った感じ。 ある意味「自分は何のためにザフトに志願したんだろう?」思考になってる可能性もあるな…。 …しかし、見返すと、アスランって本当にキラ馬鹿で夢見がちで単純不器用少年だな〜。そういうところが可愛いとは思うが、失笑するのは何故でしょう…? |