散らない花
「さんぞぉ〜アレ!アレ買ってぇぇぇ〜」
また始まった・・・お猿さんのおねだり攻撃☆
旅の途中、足りないモノを補充しに街に買い物に出た三蔵と悟空。悟空を買い物になんか連れてくればいつもある別に珍しくもない日常茶飯事の出来事・・・が、
「・・・花火?」
「うん。アレ欲しい!!買って!!」
いつも食い物をねだるお猿さんは今日は珍しいモノをねだった。悟空が欲しがるモノは『花火』だった。
「ンなモン買わん!(キッパリ)」
「えー!?欲しい欲しい欲しい欲しい(大声)」
店先で子供の様に駄々をこねだす悟空。
「あーもーウルセー!!!解った。買やイイんだろ?買えば」
「本当に買ってくれる?(涙眼)」
「しかたねーな。これ以上何も買わねーからな」
「うん。だーい好きさんぞぉ〜♪」
「五月蠅いバカ猿」
結局、悟空のおねだり攻撃に負けてしまう保護者サマだった。しかし珍しく食べ物以外のモノをねだる悟空がとても楽しそうだった。
「花火ってキレイだよね♪」
「華やかに咲いてすぐに散る・・・儚い人生の様だな」
「もォ〜そういうこと言う!!(BOO-BOO!)」
「何でまた花火なんか欲しかったんだ?言っとくがソレは喰えねーぞ?」
「ソレくらいわかってるよ!!」
いや、お前なら喰いかねん・・・っと三蔵は心中思った。
「お帰りなさい。沢山買ったんですね」
宿に帰り部屋に入ると八戒が出迎えた。
「見て見て八戒!!ほらコレ♪」
「花火?三蔵に買って貰ったんですか?」
「うん♪」
「良かったですね〜」
喜ぶ悟空を優しく称える八戒・・・まるで母子の様な光景・・・。
「今夜やろうよ!ねっ。・・・アレ、悟浄は?」
「ああ、なんか『野郎と連んでられっか!潤いがねえ!!』とか言って出ていきましたよ。さっき」
「本能のままに生きてるな奴は・・・(脱力)」
「あははははは。まあイイじゃないですか」
野郎だけのパーティーでは人間の欲求を全て満たすことは出来ないっと、沙悟浄の日頃からの唱えだ。
「じゃ、3人だけでしよ」
「今夜は星も綺麗だそうですよ」
「そーなの八戒?」
「正に『花火日和』ですね」
「なんだソレは・・・?オイ、俺はするなんて言ってねーぞ?」
「「ええー!?三蔵しないの(んですか)!?」」
「三蔵ももちろんしますよね?(にっこり)」
「お前らで勝手にすればいいだろ?」
「オレ、三蔵とせんこー花火一緒にしたいよ」
おねだり攻撃と同じく、瞳を潤まして攻撃してくる小猿・・・考えてるやってるのか、はたまた地か。
「・・・線香花火だけな」
「うん。絶対だよ!!!」
嬉しそうな悟空の顔が一瞬眩しく見える。無邪気で元気なまだあどけない少年・・・ひな鳥のすり込み状態の様に自分にくっついて離れない存在。別に苦痛と感じたことはないが・・・三蔵は何かが胸の奥底で引っかかる気分だった。
「ほら見て見て!!マジ綺麗!!!」
「本当に。あっ、火には気を付けて下さいね」
「解ってる!あーあ、悟浄もいれば良かったのに」
「こんな綺麗なモノ見れないなんて損ですよね。ま、あの人のコトだから今頃別の綺麗なモノと一緒にいるんでしょうけどね(笑)」
「ん?何か言った八戒?」
「いえ、何でもありません」
「ほらほら、見てよ三蔵!!こんなに綺麗!!」
音と煙をまき散らし、色とりどりの光を発する花火が舞う。
「火ィー振り回すな!火傷するぞ」
「大丈夫だって。っつ!!」
「バカッ、言ってるそばから。見してみろ」
「このくらい平気だって」
「念の為、水で冷やしてこい。さっさと行け!」
「う、うん」
どうやら火傷を負ったらしい悟空を、手当をするように三蔵は促す。
「過保護な保護者さんですね(笑)」
「何が言いたい八戒?バカ猿が後々五月蠅くならん様にしただけだ」
「はいはい、そう言うことにしておきましょうね」
「馬鹿にしてるのか貴様?(怒)」
「いえ、貴方の気持ちが解りやすくて。つい」
「オレの気持ち?」
他人にバレる様な自分の気持ち?三蔵は不思議でならなかった。
「三蔵・・・貴方は自分自身の気持ちに気付いてませんか?」
「オレ自身の気持ち?何だソレは?」
「胸の奥底に秘めた気持ち・・・でもコレは僕が言ったらマズイでしょうから、三蔵自身が気付くのを待つしかないですね」
「何言ってンだ貴様は?寝言なら寝て言えよ」
「寝言なんて言わせねーって。寝させねーもん」
「「・・・悟浄!?」」
突然降って湧いて出た悟浄に三蔵と八戒は目を丸くする。
「突然湧いて出て何言ってやがる貴様?」
「『八戒は寝言を言ってる暇がない』ってコト。お解りィ三蔵様?夜は長いんだぜ?退屈はさせねーって。なあ、八戒」
「そう言う冗談は面白くないですよ?」
「・・・冗談じゃないんだけどな」
「えっ?何か言いました?」
「いんや」
風の音にかき消された悟浄の声は、伝えたいことを本人には届けてはくれなかった。
「今夜は帰ってこないかと思いましたよ。お帰りなさい悟浄」
「ただいま。・・・なんか、見透かされるんだよな。抱こうとするオンナに」
「何を?」
「・・・さあな」
「何ですかソレ」
本気に想う人がいることが全部見透かされてしまう・・・本気じゃないお遊びは出来ない・・・。
「アレ?悟浄帰ってきたの?」
「おう、バカ猿。所で何やってんだオメーら?」
「バカ猿ってゆーなよ!!花火してんだよ」
「もうあらかたやり終えたって感じだな」
「後はしめのセンコー花火!!!」
火傷した手を水で冷やしてきた悟空は、締めの線香花火を取り出す。
「三蔵!早く一緒にしようよ♪八戒もさ」
「はいはい、悟空は元気ですね♪三蔵行きましょう」
4人は線香花火を手に取り、静かな締めを行う。
「キレ〜・・・ね?三蔵線香花火のジンクス知ってる?」
「ジンクス?」
「火球が最後まで落ちない様にすると願いが叶うって・・・」
パチパチと火花を散らし、小さく咲く線香花火・・・そっと扱わないと落ちてしまう火の球・・・それを保つと叶うといわれるジンクス。
「誰でも落とさずに出来るだろ?・・・叶うとしたら小さな願いだな」
「・・・でも小さな願いでも叶うと嬉しいよ?」
「願い事なんて・・・ねえよ」
三蔵はそう言って、少しふさぎ込んだ気がした。過去の思い出・・・守りきれなかった守りたかった者への願いが・・・叶う訳ではないことを知っているから。
願わない・・・何も。
「・・・っつ」
「三蔵?あっ、大丈夫?!!」
考え事をしたせいか、線香花火の火球が三蔵の手に落ちる。悟空は大慌てで三蔵を水場へ引っ張って行こうとする。
「・・・こんなモン、なめときゃ治る」
「オレの時は水で冷やせって言ったのに、自分のは何でズボラなんだよ!!!早く冷やそうぜ?」
「オレがイイって言ってンだ・・・それに」
「・・・あっ」
三蔵が火傷したコトで無我夢中になったせいで、悟空がしていた線香花火は地面に投げ捨てられて消えていた。
「・・・センコー花火より三蔵の方が大事だ!!」
線香花火のジンクスを信じる様に真剣に火球を落とさない様に頑張っていた悟空だったのに、それ以上に心配なモノは三蔵の火傷だと言う。
「お前の願い事って何だ?」
不意に三蔵は悟空に口走る。
「オレの願い?・・・えっと、その」
照れくさそうに悟空は言葉を繋ぐ・・・
「三蔵達とイツまでも一緒にいれますように。三蔵とずっとずっといれますように・・・って、小さい願いじゃないから叶えてくれねーかな?」
瞬間、三蔵の胸の奥底で引っかかるモノが花火の様にはじけた気がした。
きっと、自分はこの願いと同じ願いを想い描いていたんだ・・・っと
「今と変わらねーだろ。そんな願い」
「うん。今のままがいい」
「そのくらい小さい願いなら・・・叶うだろ。今のまま・・・そのままだ」
「うん♪」
そう言った三蔵の顔は心なしか笑みがこぼれている様に見えた。いつもと変わらない仏頂面だったけど。そしていつもと変わらず悟空は満面の笑みを浮かべていた。そう、何も変わらない。何も。
「あっ、そうだ三蔵!!水!水で冷やさなきゃ!!早く行かなきゃ!!!」
「いらん、必要ない。なめときゃ治る」
「う゛う゛う゛〜。・・・じゃ、オレがなめる!!」
「なっ!!?///」
そう言って悟空は三蔵の火傷をなめる。
「こ・・・のバカ猿!!///《スパーン!》」
「うわーん。何でハリセンでブツんだよ?って言うか、そのハリセンどっから出てくるんだよ?」
「五月蠅い!!!!///」
「・・・アイツら、俺らのことムシってるよな?」
「楽しそうでイイじゃないですか」
「約1名・・・暴走中だけどな」
「照れ隠しですよ。可愛いですね」
少し離れた場所で悟浄と八戒は2人で線香花火を楽しんでいた。
「あっ、見て下さい。火球落ちませんでした♪」
「おう、オレも」
「『火球を落とさなかったら願い事が叶う』って言ってましたね。悟浄は何をお願いしますか?」
「オレの願い・・・?願い・・・」
ただ一つ・・・言いたい言葉がある。でも真実のモノかまだ解らないから言えない言葉がある・・・「スキ」とは・・・
「ねーな。願いなんて」
「僕は・・・『このままみんなといれます様に』ですかね」
「その『みんな』って中にオレも含まれてるんだよな?」
「モチロン♪」
まだ胸に眠る恋の花火・・・枯れない様に散らない様に・・・胸を焦がす恋花火・・・
少しでも自分のことを想っていてくれる、それだけで今は充分・・・
「いいじゃん。今のままで♪」
変わらずにこのまま・・・このままでいさせて下さい。小さな願いを叶えて下さい。線香花火がイツまでも光り輝く様に。。。
Fin
線香花火ジンクス・・・言うよね?えっ?私だけ!?そんな!!!(ガビンッ!)
お猿さんをガキっぽく書いたつもり。可愛く・・・はない?
金髪美人は・・・格好良く・・・は書けてません?
なに気にゴジョッパチ(?)。いや、悟浄の片思いですけどね・・・。(えっ?解りづらい?)
夏の風物詩(?)花火・・・本当は季節はずれの花火ネタとして使おうと思ったけど、ま、いっか。
うーん、何か自分でも何言ってるのかさっぱり皆無。・・・ヤバイ?
最近ラブチックな自分が怖い・・・(末期?)。
夏が・・・夏が私を変えたのさ。(キラン) |