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「コレって『鬼の撹乱』って言うんですかね−」 「何が言いたい八戒・・・(怒)」 先程からくしゃみばかりする三蔵に対して八戒が呟いた。三蔵はどうやら『風邪』を ひいたらしい。 「へ〜。天下の三蔵サマでも風邪なんかひくんだな−。下手な妖怪より強いくせに 意外と繊細なんだな。なあ猿???」 「猿っつ−な!!何?三蔵風邪ひいたの?」 「そりゃ三蔵だって「風邪」くらいひきますよ。コレでも一応(←強調)人間なんです から」 「・・・貴様ら、いっぺん死ぬか?「一応」って何だ八戒???(超不機嫌)」 八戒が言うのも当たらずしも遠うからず、このメンバ−の中で「人間」に分類され るのは三蔵ただ一人のみだ。「人間」なら風邪をひくという行為は当然のことであ る。なのに、「この超鬼畜生臭坊主に限って」と皆は口を揃えて言うだろう。当然 の結果だ。坊主にして坊主にあらずなこの破戒僧に限って「風邪」のウイルスの方 が避けて通りそうなモノである。しかし現実に三蔵はれっきとした「風邪」をひい てしまっている。 「身体の方は大丈夫ですか三蔵?」 「フン、コレくらい大したことじゃない」 怒りの治まらない三蔵は気のない返事を返してくる。何だかんだ言って三蔵は「人 間」だ。無茶は出来ない。これから向かう街で一番に宿を取り療養させるのが一番 の方法であると八戒は判断した。 「もう少し我慢してて下さいね」 「ね−ね−。三蔵平気?大丈夫???」 飼い主を心配する馬鹿猿が大きな目を広げて三蔵にのぞき込んでくる。 「うるさいぞ猿!!何でもないっつってるだろ」 「やめとけや猿。今の三蔵サマは超〜不機嫌なんだとさ。」 「冷て−な悟浄!!三蔵のこと心配じゃないのかよ!!」 「生憎オレ様はどっかの馬鹿猿と違って「坊さん命!!」じゃないんでね−ケケケ」 「ヒデぇ−」 馬鹿コンビの会話も日常茶飯事だ。いつもならハリセンか弾丸が飛んでくるハズな のに、よっぽど体調が優れないのか珍しくも飛んでこない。 「さんぞぉ〜」 余計に心配する猿を鬱陶しいと思いながら三蔵は静かにジ−プに腰を掛け、西に向 かっていた。 三蔵一行はとある街に到着した。街はソコソコの賑わいを見せ、妖怪にさほど影響 を受けていないようにみえた。 「えっと、それでは僕は宿を探します。っと、そうだ薬も調達しなければ!!」 「あ、八戒オレが買ってくる!!」 「悟空・・・大丈夫ですか?」 「へっちゃら。風邪薬買ってくればいいんだろ???へ−きへ−き」 悟空は自信満々に八戒に答えてみせる。一抹の不安を感じつつも、ここは悟空に頼 むのがよいのかもしれないと八戒は判断した。実際、三蔵は具合が悪化したらしく 立っているのがやっとの状態だし、悟浄は街に着くと同時にどこかに雲隠れしてし まったからだ・・・。 「・・・それでは頼みましたね」 「うん」 ソコにはまるで「初めてのお使い」のような光景が広がっていたという。 八戒は宿を見つけそこに三蔵を促した。生憎個室は満室でツインしか取れなかった。 「看病もしなきゃいけないので、2人部屋で三蔵と僕とでイイですよね」 「・・・看病・・なんてい・るか!!・・・」 苦しそうに呼吸をする三蔵は答えた。 「でも、大丈夫なんですか三蔵?」 「こんなこと・・ぐらいなんとも・・・ない」 「どこがですか」と溜息混じりの答えを頭で唱える八戒だった。三蔵は多分「必要 ない。ウザイ」と一点張りで答えるはずだ。自分の身体のことは自分が良く解るは ずだ。本人がそう言うことなのだから別に問題はない。でも・・・ 「解りました三蔵、大人しくし寝て下さいね。安静が一番ですから。さもないと、い けないコトしちゃいますよ♪」 サラリと暴言を吐く八戒。三蔵は思わず顔が引きつった。でも口では戯けていても その言葉には八戒という人物の「やさしさ」が隠れているように聞こえた。 好きだから・・・ホントに好きだから「早く治って下さいね。じゃないと僕がどうにか しちゃいますよ?」そんな思いが・・・。 「・・・死にたいのか・・・八戒?」 三蔵も言葉の意味は理解しているはずだがあえて言わない。八戒も言われたいとは 思わない。それが暗黙のル−ルだ。 「それだけの悪態が付けるなら無事治りますよ。じゃ、悟空がそろそろ薬を買って 戻って来るはずなんで、それを飲んだら安静に寝てて下さいね」 「・・・フン」 2人の居る部屋には温かい春風のようでいて、包み込むような太陽の輝きが満ちて いた。 「・・・薬が効いたんですかね?ぐっすり寝てるようですね」 悟空が買ってきた風邪薬を飲んだ三蔵はよく眠っている。 「な−八戒、三蔵大丈夫だよな???」 「ええ、大丈夫ですよ悟空。この人がどうにかなっちゃうコトなんてまずありえっこ ないですから」 「・・だよね。」 「ですよ」 【・・・羨ましい限りですね。悟空はいつも貴方のことを考えているんですよ? そして貴方だって・・・そう、いつだって貴方は・・・ねえ、三蔵。】 「どうしたの八戒?」 急に考え込む八戒を不思議そうに見上げてくる金色の瞳にちょっと罪悪感を覚えて しまう。 「いえ、何でもないんですよ。あっ、そろそろ僕達は夕食にでもしましょうか?」 「・・・オレいらない。三蔵の側に居たい」 流石の悟空も三蔵のことになると食事もままならなくなるらしい。 「悟空・・・」 【大好きな三蔵。三蔵を失うことは悟空にとって限りなく無に変える状態なんで しょうね。悟空はソコまで真剣なんだ・・・純粋過ぎて僕に勝ち目はないじゃない ですか・・・。】 八戒は微笑をこぼす。 「解りました。悟空の夕食をココまで運んできましょうね。三蔵の看病を頼んじゃ いましょうかね」 「オレでもイイかな?」 「ええ。多分三蔵も喜びますよ」 「そっか−。」と微笑む悟空は限りなく純粋で、純粋に「三蔵が好き」なんだと 思い知らされる八戒。 【フラレちゃいましたね。勝ち目は初めから無かったんですけどね。多少希望は あったんですが・・・やられちゃいましたね−。どうせふられるなら・・・】 「悟空、良いこと教えてあげましょうか?」 「えっ?何何????」 「あのですね・・・・・・」 夜も静まった頃三蔵は目を覚ました。丁度薬もきれた頃で、具合はだいぶ良くなっ た。「コレなら明日に支障はないだろう」そう考え三蔵は起きあがった。 「・・・寝てなきゃダメじゃん」 「・・・ッ、悟空?お前が何でココに?しかもこんな時間に何で起きてんだ?」 自分を看病すると言ってた八戒が同室ではなく、一番の問題児が何故自分と同じ部 屋なのか理解に苦しむ上に、お子様並の寝付きの良さの悟空がこんな深夜に起きて いることが三蔵にとっては疑問で仕方がなかった。 「まだ熱あるんじゃないの?」 「るさいッ!!お前の知ったことか。ガキはさっさと寝ろ!!」 悟空の心配をよそに三蔵はズカズカと部屋の外に出ようとしていた。 「何処行くんだよ三蔵!!?」 「何処だってイイだろ!?お前には関係のないことだ!!」 そう言い、三蔵はドアノブに手を掛けた。その瞬間三蔵は悟空に腕を捕まれ強引に ベットに強制送還となった。 「痛て−な!何しやがる馬鹿猿ッ!!」 「三蔵が大人しく寝てないから悪いんだろ?明日まで寝てろってば!!」 「何でオレが貴様の言うことに従わなきゃいけね−んだ?ああッ?」 「んじゃ、最終手段だ!!」 「はっ?何が最終手だ・・・んッ」 三蔵の言いかけた言葉は悟空からの口付けのよって閉ざされた。 「ンッ・・・貴様何しやがる!!?」 三蔵は突然の悟空の行動が把握できずにいた。 「三蔵がオレの言うこと聴いて安静にしてないから。八戒が教えてくれたんだ−。 「もし三蔵が安静にしていないようならこうするとイイですよ」って♪」 「「こうする」ってコレのことか?」 悟空の不意打ちの口付けに戸惑いを隠せない三蔵。悟空からの口付けは甘く、甘美 な香りがした。 「うん。八戒がね「三蔵はきっとキスが苦手なんですよ。キスしてしまえばいちころ ですよ」だって。ホントにそうなの三蔵?」 「八戒殺す!!」三蔵はマジでそう思った。 「ね?カンじた?」 「テメ−ッ、何処でそんなこと覚えてきやがった!!」 「スパ−ンッ!!」とハリセンが勢いよく悟空の脳天にクリティカルヒットした。 「痛て−よ!!何処から出して来るんだよそのハリセン−!!?」 怒りを露わに怒鳴り立てる三蔵に「ちぇ−、やっぱりガセじゃん八戒」と落ち込む 悟空。 「三蔵・・・オレ・・・三蔵としたい」 「・・・はっ?」 悟空の突拍子もない言葉に三蔵はタレ目な目を点にしてみた。 「・・・何をしたいって貴様は?」 「だから・・・」 「悟空、貴様自分の言ってることに自覚持って・・・んッ?」 言いかけた三蔵の口は又も悟空に閉ざされ、ベットに押しつけられた。 「ンンッ・・・」 先程とは違う熱のこもったキス。まるで何時間をも口付けた様な錯覚さえ覚える キス。 「・・テメ−何しやがる!!舌まで入れるか?」 「オレは三蔵としたいの!!」 「って、テメ−!!」 悟空は三蔵の服を脱がせていく。とは言ってもいつもの三蔵の格好ならば法衣から アンダ−シャツまで服を脱がすのがすこぶる面倒だが、今の三蔵の格好は備え付け の浴衣という格好だ。風邪をひいて汗も出るし、コレに着替えて下さいと八戒から 促されるままに着たモノだったから脱がせるコトは容易い。 「・・・つッ・・・くうっ」 悟空は三蔵の胸に口付ける。いつもの三蔵からは想像できない過敏な反応に少し酔 いしれる。三蔵の抵抗も虚しく悟空の意のままだ。いくら三蔵の方がタッパがあって 年上だからと言っても所詮悟空とは違う只の「人間」なのだ。 「や・・・やめろッ!!」 「や−だ」 我が儘な子供が駄々をこねるような言葉。でも今は三蔵の方が不利なのだ。 「テメ−!!やめね−と殺すぞッ!!」 「ゼッテ−ヤだ。オレ三蔵としたいんだモン。」 そう言うと悟空は三蔵の肌を愛撫する。人に触られることを極端に嫌う三蔵。 でも・・・ 「あうっ・・・ふあっ・・ンック」 悟空の愛撫に反応していつもの三蔵サマからは聴けない声が辺りに響く。 「三蔵カワイ−。」 「・・・死ぬか?つ−か、死ね!!」 「そんなこと言うと・・・」 悟空は三蔵の足を易々と開く。乱れた浴衣からは色っぽい三蔵の足が微妙なチラリ ズムを醸し出していた。 「ちっッ・・・やめろ馬鹿猿!!」 足の付け根は誰でも感じる所だろう。三蔵だってどうやら例外ではないらしい。 悟空の愛撫に異常なまでに反応してしまう。 「・・・ねっ?カンじるでしょ???」 「やめ・・・ろぉ・・・ッ」 悶え足掻きながら言葉だけは抵抗してみせるが、もうどうやら悟空のツボに填って しまったらしい。 「イこうよ・・・なっ?」 「病人に・・・手加減なしかテメ−・・・?」 「え−ッ?だって「三蔵が大人しくしてなかったらキスして黙らせて、やっちゃえば イイんですよ♪♪って八戒が言ってたもん。汗かけば風邪も治るってさ」 「八戒死刑決定!!!」三蔵は心中呟いた。 「・・・悟空、オレのコトそんなに好きか?」 三蔵は悟空に問い尋ねる。悟空がオレのコトを好きなのは「雛が始めてみたモノを 親と思う心境」なのではないのだろうか?「好き」という意味をはき違えはしてな いか??? 「大大大好き。三蔵のことだ−い好き!!誰よりも好きだぜ?だからオレは三蔵と したいの」 キッパリ断言する馬鹿猿の言葉に一切の迷いはない。純真無垢な馬鹿猿を拾った 飼い主としては死ぬまで面倒見なきゃな。 「バ−カ。「好き」じゃなくてこう言う時は「愛してる」って言うんだよ普通−は」 「あいしてる・・・?」 【オレはコイツのことを「アイシテル」・・・?コイツは只の猿だ・・・だけど・・・】 「しかたね−からしてやるよ」 「ホントに?マジで???ヤッタ−!!」 蔓延の笑みを浮かべる悟空。とても18歳には見えない顔つきだ。 「三蔵・・・愛してるよ・・・」 「死ぬまで言ってろ猿ッ!!」 【猿に触れられるのは嫌いじゃない・・・この世の蟠りを忘れさせてくれるような気分 だ・・・。「アイスル」って何だ???「愛」なんてモノは誰も教えてくれない、教わら ない・・・。でも・・・この気持ちは】 「死ぬまで・・・死んでも好きでいろよ悟空」 三蔵が小さく呟いた声は悟空には聞こえてはいない。三蔵の願い、そして悟空の 願い。2つの願いは交わりながら夜の闇に溶けていった。 「んで?三蔵のコトは諦めたわけ八戒???」 隣の部屋からは、深夜過ぎに帰って来た悟浄と先程から隣の部屋の物音で寝付け られない八戒が、夜も遅くに密会中だった。 「そうですね。相手が手強かったモノで。生半可な気持ちじゃ勝てませんよ。そう 言う悟浄はどうなんですか?」 夜更けに宿へと帰ってきた悟浄と、隣の部屋の騒ぎに苦笑する八戒。 「・・・ど−だか。俺諦め悪いんでね」 「貴方らしいですよ。でも・・・」 「「でも」?なんだ???」 八戒の含んだ言い方に疑問を抱く。 「・・・いいえ、何でもないです」 「ふ−ん・・・・・・」 言わなくても互いに解ってる。この恋は実らないと言うことを。・・・でも。 「遊ぶくらいならイイんじゃね−の?神様だって許してくれるだろ??」 神なんて信じない。信じれるのは自分だけ。でもコレは神への懺悔。「微熱」が 「熱」に変わらない為に今こうしているという事実。 「そうですね・・・」 八戒は悟浄の言葉に苦笑して返事を返す。身を退いた自分たち。ホントに好きだ から・・・コレが愛に変わらない内にケリを付ける為に・・・。 「コレでもお釣りが来るくらいですよね」 「ぷっ。・・・だな♪」 悟空と三蔵がもっともっとラブラブになって、自分たちを寄せ付けないくらい愛し合え ばいい。そうしたら忘れるはず・・・忘れられる・・・。 「おやおや・・・隣の部屋はまだ随分と賑やかですね〜」 八戒は先程から止めどなく聞こえる悟空と三蔵の2人のモノと思われるやり取りに 苦笑する。 「どうせ猿が駄々コネてんだろ」 「元気があって良いですね−」 「八戒・・・何かジジくせ−ゾ・・・」 何かを吹っ切るかのように2人は微笑む。一方騒ぎの元の部屋では・・・。 「やめろッてんだろこの馬鹿猿がッ!!」 「三蔵がしてもイイって言ったんじゃん。往生際が悪いぞ−」 「・・・クソッ・・・アッん」 「三蔵愛してるよ・・・三蔵・・・」 「ご・・・くう・あンッ」 バカの1つ覚えかのように囁く悟空。もう成すがまま(?)の三蔵サマ・・・。 果たして運命は如何に?次週乞うご期待。(大まかに嘘有り) Fin |