夢現夜桜
「起きろ馬鹿猿!何刻だと思ってンだ!?」
日もすっかり昇り、辺りはまばゆい太陽の光が注ぎ込む朝方・・・ではなく、日もすっかり落ちきった肌寒さを感じる夕刻。寺院の就寝時間は早く、もうすっかりと就寝する時間の筈だった。ソレなのに何故そんな時間に起こされなければならないのかと苦悩する猿だった。
「うぅんん〜?三蔵なんだよ〜」
何故この夜分に起きなければならないのかと、自分を揺り起こす相手に猿は抗議する。
「テメ−で言ったこともう忘れたのか?(怒)」
「あ!」
そう言えば今日日中、あまりに桜が綺麗だったので花見に行こうと三蔵を誘ったら「忙しい」と断られた為、夜桜を見に行こうと約束していたことを思い出す。
「ご、ゴメン三蔵・・・オレ寝ちゃってた・・・」
ふうっと溜息をつき、先程まで待たされていた怒りは忘れる三蔵だった。
「このまま寝るか?」
ガキは寝る時間だから寝ろ。そう言って三蔵は床につかそうとする。
「やだ。オレ三蔵と桜が見たいの」
「悟空・・・」
絶対見ると言い張る悟空。桜なんか一人で見に行けばいいのに・・・何故2人で見ることにこだわるのか三蔵には理解できなかった。
「外は寒いぞ、なんか着ていけ」
「うん」
春とはいえ、まだ肌寒い夜・・・悟空と三蔵は花見に行く。桜の花は満開に近く、多分今が見頃と言わんばかりに咲き誇って、夜空に神々しく生える月の光に照らされてより一層美しさを増していた。
「ちょっと寒いな〜でも超きれ−」
悟空は心から絶賛する。風に吹かれてヒラヒラと舞い落ちる花びらが悟空の鼻先に止まる。
「うにゃ」
「プッ」
「なんだよ〜笑うなよ三蔵」
いつもの三蔵なら笑うトコなど滅多にないのに、桜と戯れる悟空の姿を見て少し苦笑してしまった。
「でも三蔵が笑ったの久々に見た」
「五月蠅い馬鹿猿」
先程の笑いが嘘のようにいつもの三蔵に戻っていた。でもその表情はいつもの『仏頂面』ではなく『暖かさ』のあると悟空は気付いていた。
「えへへへへ−。オレ三蔵とどうしても『桜』が見たかったんだ」
「何故だ?」
「何でって言われても・・・ン−と、オレ『夢』を見たんだ」
「夢?」
「うん。三蔵とお花見してる夢」
三蔵と悟空が一緒に桜を見るのはこれが始めてで、今までしたことはない。だからソレは本当に『夢』なのだろう。
「多分三蔵とオレと・・・あとわかんないけど、みんなで桜見てたの。超楽しかったんだ♪」
「多分?」
「・・・うん、ハッキリと覚えてないから・・・でも」
「これで楽しいか?」
「うん」
大好きな三蔵・・・太陽みたいな三蔵・・・あの岩牢から外の世界に連れだしてくれた人・・・三蔵。三蔵と一緒にいれれば何もいらない・・・それがただ唯一の悟空の願い。
「くしゅん!」
「ったく、言わんこちゃない・・・風邪ひくぞ猿。そろそろ戻るか?」
「もう少し・・・いたい」
三蔵は「まったく」といった感じで溜息をつき、帰るのをもう少し待って悟空の側による。そして自分の羽織っている上着に埋めるように悟空を抱き込む。
「これで寒くね−だろ」
「うん。暖かい〜」
間近で聞こえる三蔵の鼓動と暖かさを感じつつ、このままずっと一緒にいれることを願った。
「キレ−だよね」
「ああ。桜が何故こんなに綺麗なのかお前知ってるか?」
「しらない」
「桜の木の下には『死体』が埋まっていてその養分を吸い取って、毎年こんな綺麗な花を咲かすんだそうだ。ほら、うっすら紅いだろ」
ホラ話を淡々と話し、その話を悟空は真剣に受け止める。純粋って言うか・・・バカだ。
「ほ、ホントかよ三蔵〜〜」
情けない声を出して、少し涙目になって真相を確認する悟空だった。
「怖いのか?」
「こ、怖くなんかね−ッよ」
嘘つけ。
見るからに怖がっている悟空に又も心の中で苦笑してしまう。
「怖くなんか無い」といいつつ三蔵に抱き抱えられた手を離そうとはしない。
「・・・大丈夫だ。オレがいる」
大丈夫・・・オレがいつでもいるから。悟空に届ける三蔵の想い。三蔵は悟空を強く抱きしめる。
いつかの桜の木の下での出来事・・・遠く昔の忘れた記憶・・・「忘れたくなかった」天界での記憶。もうあの日々は還ってこない・・・でも大丈夫だよ「金蝉」・・・。
Fin
「又来年も来ような三蔵。あんなキレイなんだし」
「ああ。だがお前に敵う美しいモノはない」
なんて馬鹿ップル振りが発揮されなかっただけ唯一の救いか・・・。(寒ッ!)
どうも。今回は三×空。3/3三蔵の日万歳!!(は?) ベタ甘?ンなモン知るか!(笑)
一応悟空を拾って初めての春・・・の話なのかな?そうですかね?(人に聞くな!)三蔵と悟空の恋って「ノ−ハ−ドル」だと思いません?「障害」が無さ過ぎ。(そう思うのは私だけ?)だって「相思相愛」だし。(爆)
「障害」があるほど燃えると言いますが・・・ない方は楽で良いですね。(しみじみ)