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     頭痛がする。

     キインと、頭に響く音。

     何かが追ってくる。逃げる。

     逃げろ。捕まったらそこで終わり。

     早く早く。捕まってしまう。

     けれど、何処へ行けばいい?

     頭痛がする。

     思考がまとまらない。 

     走る先に風が吹いた。

     伸ばされる手。

     その手を取って握る。温かい手の柔らかさ。

     頭痛が、少し和らいだ。











































「またか…」

汗に塗れた前髪を掻き上げながら、ヒイロは天井を見上げる。
 戦争は終わった。待ち望んでいた平和。
 兵士としての自分を捨て、普通の人生が送れるようになったというのに。
 戦争中に見ていた少女と犬の夢は、あの雪の戦いから見なくなった。
 代わりにさいなまされるようになった悪夢。
 時が経つにつれ、頻繁に見る夢とひどくなる頭痛。
 兵士である自分が慣れない平和に戸惑っているだけなのか?
 しかしそれでは夢の意味がわからない。何故逃げねばならないのか。
「………」
 窓に歩み寄り、外を見やる。道を行く人々は平和を満喫している。

 確かに終わったのだ、戦争は。
 破棄された兵器。いらなくなった兵士。

 …いらない。存在してはいけない。

「…っ」 
再び訪れる頭痛。甲高い音が耳に響く。
 ヒイロは膝をつき、頭を抱えて必死で痛みに耐える。
 たった数秒のことか、それとも数十分は経ったのか、痛みが消えた頃、ヒイロは汗で全身びしょ濡れになっていた。
 どうしてこんなことになったのだろうか。

 その時、不意に長い髪が浮かんだ。







 何故なんてわからない。
 ただ逢いたくて、衝動と感情のままにここに来ていた。

「あれ? ヒイロじゃねーか」
聴きたかった声に振り返ると、買い物帰りなのか、紙袋を手に抱えた彼がいた。
「何だよお前。来るなら事前に連絡しろよ。いつから待っていたんだ?」
初めて逢ったときから変わらない笑顔でデュオはヒイロを部屋に促す。
 年齢にふさわしい2LDKのアパートの一室。それが今のデュオの住居だった。中は少しばかりの装飾。いかにも普通、という感じだ。デュオらしいというのか、だが少し無理をしているようにも思えた。
「腹減ったんでちょっと買い物に行ってたんだ。お前も何か食うか?」
「…ああ」
ヒイロは壁に背を預けて、台所へ向かう長い三つ編みを見た。デュオは室内に入ってからは一度もヒイロに視線を向けずにしゃべり続けていた。
 デュオはいつもそうだ。周りに振り回されているように見えても、実際は決して自分のペースを崩さない。周囲は知らぬ間にデュオの思惑にはまりこんでしまうのだ。 
 笑いながら人を殺す彼の本心は何処にあるのか。
 誰にもわかりはしない。誰も彼のそばにいないのだから。
 決して理解できず、性格は正反対で全く気は合わない。何故そんな人物の所を訪れたのだろう。
 どうしてこんなにもヒイロの心に焼き付いているのか。

 どうして…。
「どうした、ヒイロ?」
デュオの声が間近にある。背後から抱きついたヒイロは、無言のまま肩口に顔を沈めた。
相変わらず細い身体。骨張っていて、けれど柔らかい。ヒイロも同じような体型ではあるが、違いは確かにある。
「何かあったのか? 大丈夫だよ」
子どものようにすがりつくヒイロを、優しくあやすように囁く。
 大丈夫だと、根拠が何処にあるというのか、それだけを繰り返す。
 そんな言葉で安堵する自分を不思議に思うが、デュオが言うと本当に大丈夫なのだと感じるのだ。
 いつも優しく受け止めてくれるデュオ。どんなに突き放しても、笑って手を差しのべてくれるデュオ。
 それにどれだけヒイロが救われてきたことか、おそらくデュオは知りもしない。
 彼に、自分は何を返せるのだろう。
 






 とりあえず、遅い昼食とも早い夕食ともいえる食事を簡単に済ませ、その晩はデュオの家に泊まった。
 隣に背を向けて眠る存在を見つめる。
 暗闇でも見える、かすかに上下する白い肩とシーツに広がるブラウンの髪。
 大人一人用のベッドに子ども二人で寝ているため、それらはすぐ間近にある。
手を持ち上げて触れる。
「…ヒイロ。本当にどうしたんだ。お前今日はちょっと変だぜ。」 
まだ眠りに入っていなかったのであろう、デュオのクリアな溜め息が降った。
 先刻まで熱を分け合っていてまだ触れようとするヒイロに対する素直な感想だが、当の本人は聞いていないのか、手を離そうとはしない。
 ヒイロだって自覚はしている。 
 まるで甘えまくっている子どもだ、自分は。

 《甘え》なんてしたことなかった。そんなものは必要なかった。生きるために、任務のために、早く大人にならなければいけなかったから。
 だが、デュオにだけならこんな弱い自分をさらけてもかまわないと思う。
 自分でも知らなかった感情。
他人を拒否する自分が、彼の隣では眠れる。彼といると落ち着く。彼に触れると安らぐ。
 彼と眠るとあの夢を見ない。
 その答えはきっと胸の奥に存在する。

「…一緒に暮らそう」

だから思ったことをそのまま口にした。
 拒否されるかもしれない。その確率は高い。人懐っこく振る舞っていても、その実、他人と深く関わることを決してしないのがデュオだ。しかも放浪癖を持っている。何かに縛られる生活は嫌がるだろう。
ジャンク屋をやめて、ヒルデの元を去って、こうして一人でいるのが証拠。

「…いいぜ」

そう思っていたのに、少しの間の後、デュオが言ったのは受理の言葉。
 呟くような声だった。だが確かに聴いた。
 思わず目を止める。けれどすぐに嬉しさがこみ上げてきて、腕の力を強めた。








 同居生活は穏やかなものだった。
全く合わないと思っていた二人なのに不思議といえば不思議だが、特に喧嘩をすることもなく、まるで昔から一緒に暮らしてきたかのように違和感のない空間。
 しかし、二人の距離は近くなることもない。
 毎日触れ合っていても知らないことが多い。
 焦ることはない。時間はたくさんある。少しずつ、ゆっくりと進めばいい。
 嫌いな奴は意識も向けないデュオは、傍にいる。逃げようとはしていないのだから。
 わかっている。なのに。
「お前、ガキみてぇ。…けどな、俺はお前の母親じゃないんだぜ?」
苦笑を浮かべてぼやくデュオに、ヒイロは顔を上げる。
 しばらく彼の顔をじっと見つめ、再び伏せて抱き締める。
そんなヒイロに呆れたように、デュオは溜め息を吐いて身体の力を抜いた。


横になっているデュオの胸を枕にして眠る。
 デュオの鼓動を子守歌にして、存在を全身で感じていても、何かがつきまとっていた。
 不安だった。
 何が不安なのかわからず、それがまた不安を掻き立てる。
 自分が初めて求めたものは今腕の中にあって、応えてくれていて。恐れることなんて何もないのに。
再び訪れるようになった頭痛。
 聞こえてくる機械音と誰かの足音。
 伸ばされる手は、あれはデュオのものだったのだろうかと、ヒイロは目を閉じた。







《仕事》の依頼が来た。依頼人はプリベンター。
 レディやサリィはせっかく平和になったのだから、と重大な事件でない限り、元ガンダムパイロットを呼ぶことはない。だが、現在プリベンターに入っている五飛は、よく仕事を送ってきた。信頼されているからこそなのであろうが、どうも最近は『面倒だからこいつらにやらせよう』の雰囲気が漂っている気がする…。
 さすがに社会的地位のあるカトルやサーカスにいるトロワには控えているようだが、その分ヒイロとデュオに回ってくる。デュオは興味を持った仕事しか受けないが、任務第一のヒイロは全部真面目にこなす。そこがまた次の依頼に結びつき、…以下略。
 今回はL1のあるコロニーで不審な動きを見せる組織があるらしく、その確認と必要があれば壊滅。難しい任務ではないが、その潜伏地がヒイロの意識に止まった。
 かつてヒイロがエージェントとして訓練を受けた場所。オペレーションメテオの開始と同時に封鎖されたはずの施設だった。
自分に無関係であるとは言い切れない。ヒイロは早速向かった。
 しかし施設はもぬけの空だった。電源もとうに供給を切っていて、さびれた様子もないが、最近使用された形跡も見あたらなかった。
 誤情報だと判断し、何事もなく地下にあるその施設を後にした。消す必要もないと思ったからだ。
 感慨などはなかった。一時期いた。それだけのこと。もう自分には関係ない場所だ。
 今の自分の帰る場所は、ここではないから。
 帰る場所…。


 ふと立ち止まった先に公園があった。何気なく入ってみる。
 地球の自然を出来る限り再現した公園には、中央に池が設置されており、ボートの姿もちらちらと見える。ヒイロはなるべく人気がない淵に腰を下ろした。
 休日であるらしく、あちこちから笑い声や無邪気な子どもの声が聞こえてくる。
光ファイバーを通して降り注ぐ陽光を受けて、キラキラと光る風景。
 まるで薄い膜を貼ったように現実感のない風景。
 そう思うのはまだ平和を享受しきれてないためか。この風景を望んでいたはずだったのに、いざ目の前に現れると信じられない。

空を見上げる。
 コロニーには空なんかなくて、見えるのは金属の内壁だけ。
 いくら真似たところで、コロニーが地球になれるわけがない。偽物は本物にはなれないのだ。
 だから、偽物は偽物のままでいいとも思う。ありのままの姿でいい。
 それが誰かにとっては本物であるかもしれないのだから。
 ぼんやりと水面の波紋をを眺める。
出かける時もデュオは何も訊かなかった。行く場所も、帰る時間も、出かける理由と用件さえも。
 一緒に暮らしても、デュオはヒイロに深く干渉はしなかった。
 自分に利害が及びさえしなければヒイロの好きにさせる。その代わり自分のやることにも干渉させない。
 ある意味、自分たちにとってはそれが最適な関係であるのだろう。
 他人と接触することがひどく苦手で、単独行動を主とする工作員の訓練を受けて、そんな二人にはこれが一番楽なのかもしれない。
 だが、デュオのことをもっと知りたいと思うのも事実。
 心の中の湖にも、広がっていく波紋。揺れる水面。
 デュオのいるあの家が、今のヒイロの帰る場所だった。
 デュオがどう思っているかなんて知らない。けれど、いつか本物の《家》になれるはず。
それは小さくて、大きな願い。
 自分で何かを願うということも、今まで知らなかった。彼と逢うまで。

ゆっくりと立ち上がって、ズボンに付いた草を手で払う。
その場を去ろうと顔を上げると、こちらに歩いてくる数人のサラリーマンが見えた。
 帰宅途中なのだろう。上司の愚痴などを言い合っている。
 気にも留めず横を通り過ぎようとした時、直感が危険を知らせた。
「戻ってきたか」
言葉と同時に、男達がヒイロを取り囲む。
ヒイロは心の中で舌打ちした。
 このコロニーでいる間は用心すべきだった。今周囲にいるのは、見覚えのある顔ばかり。組織のメンバーだった者達である。
「もう貴様らとは何の関係もない。退け」
 睨み付けるが、男達は意味めいた笑みを浮かべる。
「関係がなくなったとしたら、困るのはお前だ」
「ドクター達が亡くなられた今、お前を《修理》できるのは我々だけなのだからな」
「…修理、だと?」
不快感が走る。
「機械が感情を持つなど、身の程知らずな…」
その言葉に嫌悪が一気に増す。
 確かにヒイロは完璧な兵士として、感情を消し、《機械》になるよう訓練された。あの頃は自分もそれでいいと思っていた。
 だが、それは《人間》としては正しくない。だからヒイロは最終的には感情のままに行動した。そして今は平和になった。なのにまだ《機械》であることを要求されるというのか。
知らず険しい顔をするヒイロに、逆に周囲は驚いたような顔を返した。

「知らなかったのか? それとも記憶を消されているのか? …まあいい。ならば教えてやろう。お前は人ではない。極小生体機械で構成された、人工生命体だ」

「…!」

 …何だと?
今何と言った? 人工生命体。俺が?


 まったく考えもしなかった事実に驚愕しつつも、何処かに納得している自分がいて。
(───ああ…そうか…)
この身体も、この命も、この心でさえも、作り物。
 流れるのは人工の血液。脈打つのは機械の心臓。
 自爆しても死なない人間。驚異的な回復力。普通の数倍の身体能力。
 よくよく考えてみれば、思い当たる節など幾らでもあるのだ。何故それに気づかなかったのかが不思議なくらい。何故それを疑問に思わなかったのか。
 
   人ではない。

 この気持ちにも、名など存在しない。あるはずのないもの。
 ならば何故、《心》などが在るのだ。
 苦い思いをそのまま噛み締めれば、血の味がした。


「わかっただろう? お前に普通の生活などできない。我々の元にいるのが最良なのだ」
 いつの間にか俯いていたらしい。顔を上げ、改めて強い目を向ける。
「どんなに理不尽でも構わない。俺は俺の意志で生きる。誰の指図もうけない」

 たとえ機械であっても、今此処に自分は確かに生きている。
 また、どんな理由であっても、この者達の思い通りになるわけにはいかない。

「このままではお前は狂うぞ」
踵を返したヒイロの前に立ちはだかり、男達はあざ笑う。
「ひどい頭痛に悩まされてはいないか?」
「お前は戦争のために造られた機械だ。平和の中では在ることはできない」

   在る。
 
 生きるという生命への表現ではなく、物としての表現。お前は機械なのだよと、言外に言い聞かせる。
「我々ならお前を《調整》することも可能だ」
「必要ない」
これ以上相手にする気もなく、ヒイロは押し退けるように輪から離れた。
「…デュオ・マックスウェル、だったかな。お前の同居人は」
 思いがけない名が出たことに、足が止まる。
「他人など無関心だったお前が生活を共にするとは、よっぽど特別な存在なのだろうな」
「………」
 振り向くことのないままヒイロは再び歩き出す。
「その大切な存在を自らの手で殺すというのは、機械とはいえ感情を持ったお前にとって、どれほどのものなのだろうな?」

 最後に投げられた言葉だけが、いつまでも耳に残っていた。








 プリベンターには情報はガセネタだったとだけ報告し、数日ぶりに家に帰った。

「おかえりー」
 笑みを浮かべてそう言ったデュオは、しかしヒイロを一瞥しただけですぐに視線をTVに戻した。その後はまるでヒイロの存在など忘れてしまったかのように、意識さえも向けはしない。戦争当時、いつもヒイロに付きまとっていた、あの頃の彼とは正反対だ。
 だから不安なのかもしれない。
「デュオ…」
手を伸ばす。彼を抱きしめて引き寄せる。
「俺を見てくれ…。俺は此処にいる…」
「…お前は何があっても此処に帰ってくるんだろう? なら心配する必要ねーじゃん」
 答えは論点がずれていて。
 信用されているのは、嬉しい。だが、求めるものはそれじゃない。

「…好きだ」

 きっと、これが愛するということ。

 機械が持つはずのない想い。許されない心。

 捨てはしない。昔は捨て続けていたが、もう手放さない。
 どんなに辛くても、苦しくても。

「俺もだよ、ヒイロ」  
薄く笑って、デュオはそう返した。だがその腕はヒイロの背に回されることなく、下ろされたまま。
本当か嘘か、多分後者の比率は高い。
 理解できないデュオの心。

自分は人ではないから? だから人であるデュオが理解できないのか?
 そう思えば安堵もするけれど、決定的な壁を見つけてしまったようで、思わず唇を噛む。

どうすればいい?

 デュオはおとなしくヒイロの肩口に顔を埋めたままにしている。

   手に入らないのなら殺してしまえ。

甘い誘惑が掠める。
ヒイロが機械だと知ったら、デュオはどう思うだろうか?
ヒイロを拒否するかもしれない。怯えて逃げ出すかもしれない。
 …仕方がないことだが、そんなのは嫌だ。


離れないで。傍にいて。
 たとえ、冷たい骸になっても。
きっと血塗れになって瞳を閉じたデュオは、何よりも美しい。

(違う!)
ヒイロは頭を振った。

あやうく深淵の闇に陥るところだった。
 違う。そんなことは望んでいない。
望んでいるのは、自分に向けてだけの笑顔で笑ってくれるデュオだ。
 
そんなものはいつになっても得られはしないよ。

木霊する、内からの声。

ヒイロはそれを振り切るように腕を離した。
「…デュオ…?」
 離したはずの腕に重みがかかる。
 見ると、デュオがぐったりとして自分にもたれていた。意識を失って。
(どうして…?)


 思い出す。

 先程、彼が何か言っていたような気がする。

掠れた、力無い声で。
 痛い、苦しい、力を抜け、と。

「デュオ!」
青ざめてヒイロはデュオを揺さぶる。
 自分の腕力が尋常でないことを忘れていた。無意識に全力で絞めてしまったに違いない。
 頬に手を当てて、デュオが息をしていることを確かめて安堵する。
背骨が傷付いたわけでもない。ただ気絶しているだけのようだ。
 静かにデュオをベッドに寝かせ、顔を見やる。

 …情けない。

 自身のコントロールもできない。自己嫌悪に、奥歯を噛み締めた。


不意に、下卑た笑みを浮かべた男の言葉がよぎる。
 ただの、ヒイロを引き留めるための嘘だと思っていたが、本当のことだったというのだろうか。
 目の前に眠る存在を見つめる。
 表情を消したデュオは、まるで別人のようだった。
 綺麗な、白い顔。精巧な人形のように整った顔立ち。
 だが彼が人形ではないとは、かすかに上下する胸が教えてくれる。
 そう、彼は人間だ。重傷を負えば死ぬ。壊れるだけの自分とは違う。喪えば、そこで終わりなのだ。

失くしたくない。いつか殺してしまうというなら、ならばいっそのこと…。

 目を伏せる。覚悟を決めて、自分に言い聞かせる。
「…ヒイ…ロ?」
デュオが顔を向けてヒイロを見ていた。
 まだはっきりと覚醒はしていないらしく、どこかぼんやりとしている。
 戦争中なら見られなかった、こんな表情は。
 無防備な様子に、喜びを感じるけれど、同時にちくりとした痛みも覚える。
 そっと唇を寄せてキスを送る。
大切だから、大好きだから。
「…俺は此処を出る」
何よりも守りたいかけがえのない存在を、自らの手で喪わせてしまう前に。
自分から離れようと決めた。
「…そうか」
デュオからは何の感情も読みとれなかった。

 もしかしたら、自分はずっと彼を苦しめていたのではないか?
 優しい彼は縋ってくるヒイロを拒めなかっただけで、本当は共にいることなど望んでいなかったのかもしれない。
 そう思うと哀しくなる。

 俺は今までデュオの気持ちを考えたことがあっただろうか?
「おそらく、もうお前と会うこともないだろう…」
「? ヒイロ?」
ヒイロの表情に疑問を感じたのか、デュオが訝しげな顔で覗く。
ヒイロは無表情をよそおったつもりだったが、一切の感情を消したのは逆効果になっていた。
「何かあったのか?」
 起きあがろうとするデュオを横目に入れて、さっさとドアに向かう。振り向いたら決心が鈍りそうで怖かった。
「さよなら、デュオ」
ドアを閉めると同時に、小さく呟いた。










「俺の《修理》とやらについての話を訊かせてもらおうか」
 突然訪れたヒイロを、彼らは当然のように迎えた。
 しかしそれは同志としてではなく、研究材料としての貴重価値からであるということは、容易に知れた。表面は穏やかにしていても、目は蛇のようだ。
 ヒイロはとりあえず従順に従っていた。
 まだすべてを諦めたつもりはない。少しでも可能性があるなら、それにしがみついてやる。
 狂わないですむようになるなら、平和の中で生きられるようになるなら、彼とともにあれるなら、しがみついてみせる。
ヒイロは諦めない強さというものを戦争中に学んでいた。あの長い三つ編みの死神から。
 だが、彼らが自分を再び兵器として使うつもりならば組織も施設も完膚無きに潰すつもりである。悲惨な戦争は二度と起こさせてはならない。

 もう人を殺さなくてすむと思っていたけれど、彼や皆が必死で勝ち取ったものを守るためなら、どんな汚いこともできると思った。






数々の身体検査や心理検査を行われた。
 彼らの研究が正しいのかどうかはわからないが、この施設に来てからはヒイロは悪夢や頭痛、内なる声といったものに苛まされることはなくなっていた。
ヒイロは表面上、待遇されていた。個室も与えられ、衣食も事足りる。ただ毎日のように繰り返される検査を除けば、ある意味快適とも云える生活だった。

 1週間は過ぎたろうか。
 部屋の窓から空を見上げて、ふと同じ蒼い瞳を思い出した。
 デュオは今何をしているだろうか。
 まだあのアパートにいるのだろうか? それとも何処かのコロニーでも行っているのだろうか?
目を閉じれば鮮やかに浮かぶ笑顔。

…逢いたい。

 自分から離れたくせに、都合がいいものだと苦笑する。
「…何を考えている?」
「…別に」
検査の合間に訊ねられ、素っ気なく答える。
そのヒイロを見て、一人の男が口を開いた。
「雑念が多いようだな。そんなことでは何時まで経っても完璧にはなれん」
 別室に促す男にヒイロは黙って付いていく。
 その男には見覚えがあった。確かオペレーション・メテオの訓練時、ドクターJの傍によくいた男だ。ヒイロは名前も知らないが、男がいつも興味深そうな目で自分を見ていたのは記憶にある。
 様子からして、この男が現在のこの施設の最高責任者らしかった。
 辿り着いた部屋は、初めて見る場所だった。
 壁全体にコンピューターが設置され、中央には多くのコードが繋がれたカプセルがある。 生理的な嫌悪が走った。何故だろう? とても嫌な感じがする。
 カプセルの中に横たわるように言われ、不安を感じつつも入る。
 キーンと、機械音が頭に響く。
 あの悪夢と同じ、頭痛。
 反射的に起き上がろうとして、できなかった。
 自分をのぞき込んでいる男の顔と室内の機器が、ぶれて。





 気づくと、ヒイロは見覚えのある場所にいた。
 馴染んだ狭い空間。手の中のグリップ。周囲を包む機器。そこは、ウイングガンダムのコクピットの中だった。
「これは…?」
 爆音が響き、機体が揺れた。
 どうやら戦場にいるらしいと判断し、モニターを操作して、外の様子を探る。
 映し出されたのは、炎上する基地とリーオーの大群。そして、ガンダムデスサイズ。
「!?」
 わからない。戦争はもう終わっているはずで、しかもガンダムは既に破壊してしまっている。なのに何故自分はこんな所にいるのか?
 混乱が襲うが、驚いている場合ではない。敵はどんどん迫ってきている。
 とにかく現状を理解するため、心を落ち着ける。
 リーオーを一網打尽にしながら、ふとあることに気づいた。

 敵の包囲陣、基地の構造、ウイングとデスサイズ。
 覚えのある状況。
 そうだ。これは初めてデュオと共に敵基地を破壊した時。この時は確か…。

 ヒイロは隣に立つ存在に目を向ける。
 黒いガンダムの死角に襲いかかる影。
「デュオ!」
 背後のリーオーに向けてバスターライフルを構える。同時に、ヒイロが自分を狙っていると勘違いしたデュオが、振り向いてバスターシールドを向けた。
 ここまで記憶のとおり。デュオはすぐにヒイロの標準がずれていることに気づくはず。
 なのに。
「なっ?」
デュオは躊躇なくヒイロを撃った。真っ直ぐにコクピットを狙って。
 光が視界を包んだ。




「!」
 目を開けると、そこは戦場ではなかった。 
周囲に大勢の人間の気配。注意深く見回すと、そこは公共の施設、図書館のようだ。
 不思議に思う前に、モニターから流れるニュースと映された画像が飛び込んできた。
『テロ活動を行っていたガンダムのパイロットが捕獲され…』
 OZ兵に両脇を抱えられて引きずるように連行されていくデュオがいた。
(デュオ)
これは、デュオがOZに捕らえられた時だ。
 行かなくては。このままでは彼は見せしめとして処刑される。
 静かに立ち上がり、デュオが捕まっているコロニーへと向かった。


「驚いたぜヒイロ。お前って本当、神出鬼没だな」
怪我だらけのくせに、そんなことをまったく気づかせないような口振りで、こんな時でもデュオは笑う。
「ちょうどいいぜ。このままじゃ俺やガンダムが奴らに利用される。どうせなら、お前に殺されるほうが運命的だな。ひと思いにやってくれ」
 デュオがどうしてこの時《運命的》という言葉を使ったのか、それはわからない。しかしその言葉は、ヒイロの胸に染み込んでいったのだ。
「なあ、お前、本気で撃つつもりなんだろ?」
「…お前がそう望むならな」
 違う。望んだのは自分。今ならはっきりわかる。死なせたくなかった。彼を失いたくなかった。だから助けるのだ。生きてほしいから。
「右手は動くな?」
 言うが早いか、銃をデュオに投げ、自分は警備の兵士が持っていたサブマシンガンを取る。
 彼に肩を貸そうと振り返った先に見たもの。
死神の渇いた笑み。ぞくりとする声。
「死にな、ヒイロ」

 左胸に衝撃を感じたのは、銃弾によるものと、そして。





「かなりうなされたようだな」
 かけられた声は無視し、額の汗を拭いながら身体を起こす。
 カプセルの蓋は開けられていたが、立ち上がる気にはなれなかった。 
「こんなもので俺を惑わせてどうする気だ」
「君の願いだよ、あれは」
キツイ視線は、意外な答えで軽く返された。
(俺の、願い…だと?)
「何せ、君は本来《死んでいる》からね」
「…何?」
 死んでいる、とはどういうことだ?

「君は、元はれっきとした人間だった。だが3歳の時、事故で死亡したんだ。著名な学者であり科学者であった君の父は大層嘆いてね、構想中だった自分の研究を使って、一人息子を蘇らせた。身体の大半を機械に置き換え、生前の記憶をインプットして」

「…!」
 人間だった…俺が? 俺にも、家族がいた…?
 ヒイロには、ドクターJに拾われる数年前からの記憶しかなかった。記憶の始まりは、見渡す限り破壊尽くされた廃墟に、ぽつんと立ちつくしている幼い自分。
 空白の記憶は、人間であった頃の記憶。
「残念だが、君の父親は数カ月後に亡くなっている。母親は君とともに。」
ヒイロの心を読んだかのように、男は補足する。
「君は死んだ者だ。だから無意識下で本来あるべきだった…《死》に向かおうとしている。そして、できるならば《彼》の手で、と願っている」
 彼。名を言われなくてもわかる。ヒイロの最も大切な人。
 デュオになら、殺されてもいいと、そう思っている自分がいる。
死にたかったのか、俺は…?

確かに昔はそうだった。自分の命に価値が持てなかった。
 だから死によって戦争の現実から解放されたかった。けれど。

あの時、大気の熱を受けながら『死なない』と叫んだ気持ちは本物だった。

生きたい、と初めて思った。

 彼のいるこの世界で、生きたいと。

死にたがっている自分と、生きたがっている自分。
 本当に願っているのは、どちらなのだろう。

「感情などがあるから不安定になる。だからそれを消そう」
二つの相反する心に縛られるから不安定になる。
 心が無くなって生も死も考えないようになれば、問題はなくなると男は言う。
それは、エージェントの訓練を受けていた頃よりもっと、《機械》になるということ。
「………」
それは、今までに得た感情を、彼を想う心も、消すということ。
寂しさが胸を突いた。
 消して、それで良いのか? 本当に、問題がないと云えるのか?
 失いたくない、と思う。
「さあ、もう一度寝なさい。次に起きた時には、もう辛いとも感じなくなる」
その声に、何故か逆らう気がおきない。
 促されるまま再び横になり、目を閉じた。


 暗闇の中に、何かが見える。
小さな小さな光。
夢の中で泣いているデュオがいた。
初めて見る彼の涙。
 拭おうとして手を伸ばすと、触れる前に彼は消えていった。
代わりに周囲の景色が変化していく。

 機器に埋め尽くされた、手術室のような景色。
 一瞬後には、自分はその手術台の上に寝かされていた。
 マスクを付けた人物が見下ろしていた。 
「私の最高傑作だ。最高の兵器として生まれ変わるんだ、お前は」
 その人物は、狂気の光を目に宿して高らかに笑う。
 あれが、俺の父なのか…?
 身体が動かない。声も出ない。ただ降りてくるメスを見つめるだけ。
 その時。パシッと、何かが弾けた。

違う。これは正しいデータではない。
 何故か確信した。あれは父ではない。


「い────── …に…」


声がする。先程の人物とは、打って変わった優しい声。

どこからか聞こえる声の意味を知ろうと、ヒイロは集中する。


「…生きて…幸せに…あの子の分まで…。我が息子よ…」


 途端、ヒイロは覚醒した。
 特殊ガラスの蓋を破り、カプセルから出る。
「何っ!」
驚いた男が慌てて振り返った。
騒ぎを聞きつけた他の研究員たちが部屋に集まってくる。
 ヒイロは周囲を一切無視し、部屋の奥にあるひときわ大きなコンピューターに近づき、思い切り叩き壊し、コードを引きちぎった。
バチバチと火花を散らすそれを冷ややかに一瞥し、男たちを見やる。
「こんなもので俺を操ろうとしたとはな」
「!」
男たちの顔に驚愕が浮かぶ。

 すべてを思い出した時、ついでにコンピューターに逆に侵入した。そのデータの中には、ヒイロに暗示をかけて洗脳するプログラムがあったのだ。
 戦後に見るようになった悪夢も、機械音のような頭痛も、そのプログラムによるものだった。
 遠隔送信でヒイロに送り、此処に戻ってくるように仕向けたのだ。
「…ばれたか…。まあいい。知ったところでさほど支障はない。どうすると言うんだい?結局君は此処以外に居場所はないんだよ?」
開き直って男は笑う。何処までも、ヒイロより自分たちの方が上の位置なのだと確信しているようだった。
 それに対し、ヒイロは口端を曲げる。
「安心しろ。出ていく気はない。…お前たちも、俺も、この施設ごと消すだけだ」
「何だと!」
叫ぶと同時に男は息絶えていた。ヒイロの投げた鉄片は、男の眉間に深々と刺さっていた。
「うわあああ!」
ヒイロの意図に気づいた研究員たちが、我先にと逃げ出す。
 だが、パニック状態に陥った非戦闘員など、ヒイロにとって問題にもならない。無事逃げ切れた者などいようはずもなく、1時間と経たぬ間に施設内で息をしている者はヒイロだけとなっていた。
 響くのは、機械のショート音と、爆発音。
ヒイロが仕掛けた爆弾は的確だった。後十分でこの施設は綺麗に崩れ去るだろう。ここに何があったのかさえわからぬほどに。

ヒイロは立ちつくしたまま静かに目を閉じた。

 これで終わる。
生まれた意味も、過ぎた生も、見失った世界も。

ヒイロは造られてからの記憶を取り戻した。
 ヒイロの父親は、ヒイロを造ってまもなく病で死んだ。その時、ヒイロの記憶を封じていたのだ。自分が《造られた》ということを忘れ、人間として生きるように。
 彼は狂っていたけれど、息子への愛は確かに残っていた。
 人間以上の能力を持ち、強靱な肉体となってしまっても。
 何と表現すればいいのか、自分でもわからない感情が込み上げてくる。

 愛されるということ。
 父の望み。
 ヒイロが感情を得て、本当の《人間》として生き、幸せになること。
 しかし結局は戦争のための道具として利用されてしまったが。

(だが…父さん)

(俺は生きてよかった)

(貴方の願いどおりの生き方はできなかったかもしれないけれど)

(生きててよかった)

幸せだと思う瞬間も確かにあった。
「デュオ…」
声は自然に出た。

もう逢えない。
 ただ、幸せに…と、それだけを思う。
 いつの日か、彼が心から笑えるように。
 そんなことを思って、目を開ければ。
 そこに、ヒイロは幻想を見る。

「ヒイロ!」
 伸ばされた手。
此処にいるはずのない彼がいた。
何故。どうして?
「早く!」
 天井の割れ目からデュオはヒイロに手を差し出す。
 混乱するより先に、ヒイロはその白い手を掴んでいた。 








あれは夢だったのだろうかと、ふと思った。

 見覚えある天井が目の前にある。
「気づいたか? 三日間眠っていたんだぞ、お前」
声とともに現れた笑顔。
「デュオ?」
「まだ横になってろ。回復しきれてないんだからな」
そう言って、デュオは起き上がろうとしたヒイロをやんわりと止めた。
「お前…」
「ん?」
デュオの表情は、子どもを看病する親のような柔らかいものだ。
 何故デュオがあの場に現れたのか、看病していたならヒイロの身体のことにも気づいただろうに何故当たり前のように接するのか、疑問は山ほど出てくるのに、声が出ない。
「何故…」
「あれ? お前知らなかった? 半端な俺でさえ波長は感じるんだから、お前はとっくに気づいているものと思ってたぜ」
 本気で驚いたらしいデュオは、ゆっくりと話し出した。

ヒイロには両親の他にも家族がいた。
 デュオ・マックスウェルという、義兄。
 身寄りを亡くしたデュオは、遠縁のヒイロの母に引き取られていたのだ。幼いヒイロはデュオを慕っており、二人は仲のよい兄弟そのものだったらしい。
 ヒイロが母と共に死亡した時、デュオもその場にいたが、彼はかろうじて生きていた。 しかし、《人間》としてのデュオはあの時死んだに等しかった。
 愛する妻子を失ったヒイロの父は、デュオのことなどわからなくなっていた。それどころか、重体のデュオを実験体としたのである。
 デュオに開発中の極小生体機械を融合させ、そのデータから《ヒイロ》を造り上げた。

デュオのショックは想像だに値する。

彼は逃げ、戦災孤児に紛れて生きてきた。
 完全ではないため、身体の成長は普通のそれより遅い。しかし能力はヒイロよりは劣るが普通の人間よりは秀でている。
何処にいても異端の存在だった自分を歓迎してくれたのは、反OZ組織のみだった。
 皮肉にも、同じエージェントとして、かつての弟に逢ってしまったが。

独特の波長で、成長していてもヒイロのことはすぐに気づいたと言う。
「なんかお前の様子が最近変だったからさ、悪いとは思うがつけた」
数日間、外から施設を監視していたが、崩れだしたのを見て、潜入した、と。
「………」
 ヒイロは茫然としていた。デュオも自分と同じだなんて、まったく知らなかった。
 デュオは初めからすべてを知っていたというのか。

「…それとも、そんなに死にたかったか?」
デュオの表情が変わる。戦闘の時のような、剣呑な光を帯びる。
無言のままのヒイロを、助けられたことを後悔でもしていると取ったらしい。
「だったら、自分は既に死んだものと思っていいから、このまま生きてみせろよ」
間近に寄せられたデュオの瞳は、死神のものへと変化した。
「…死なせない。死なせるかよ! お前には解らないだろう。生半端に残った生身の肉体と機械の不協和が引き起こす苦痛なんて! その激痛がどれほどのものか、そしてそれを一生堪えていかなきゃならない俺の気持ちなんて!」
声を荒く上げて叫び、デュオは顔を伏せる。

ガンダムパイロットとなって再会した時、込み上げたのは懐かしさと憎悪。
 目の前にいるヒイロのせいではないとわかっているが、感情は違った。

何故俺がこんな目に会わなければならない? どうしてお前は平然と生きているの。
 苦しめばいい。俺の絶望はそんなものじゃない。思い知れ。
 お前が壊れていく様を、傍で見ていてやるから。

デュオはヒイロの修理ができる。そのための知識と技術をヒイロの父から与えられていた。だからヒイロはデュオといる限りは死ねない。デュオが死なせない。

興奮のために肩を震わせているデュオは、とても儚く思えた。

 ああ、ずっと苦しんでいたのだ、彼は。
 人間と機械の狭間で、耐えきれない孤独を抱えながら。
 人間にも機械にもなれず、どちらでもない死神になるしかなかったのだと、知る。
ゆっくりと身体を起こし、同じ目の高さになってデュオを見つめる。
「…俺はこれからもお前を傷つけてしまうだろう。」

 ヒイロの存在。それこそがデュオを傷つける要因であり、生きる理由。
だから手を伸ばす。今度は自分が彼を支える番。
 引き寄せて、込み上げる愛しさごと、彼を抱き締める。
「だが、それ以外のものからはお前を守ってみせる。絶対に傷つけさせない」

デュオは抵抗しない。静かにヒイロの胸に顔を埋めている。

「だから…」

都合のいいことだと思う。傷つけて、傷つけて、…傷ついて。それでも、夢を見る。

これは自分勝手な願い。

 もしくは、彼が望んでいたかもしれないこと。


「ずっと、傍にいてくれ」




何故かデュオが泣いてるように思えて。

 ヒイロは腕を解くことができなかった。















【漂流楽団】掲載。タイトルは飛鳥涼さんの歌から。
この曲の雰囲気が凄く好きでした。
「異邦人を誘う 子供の手に引かれてみる ひとつも迷わず君の手に任せてみる」
「ここの景色じゃ匿名希望の人達が溢れ 人を愛することでさえも ときには生きる弱みに変えてしまってるらしい」
「間違えたように囁いてみる 愛の言葉を呟いてみる」
戦後の1×2って感じですが、プロモ映像がとても途方に暮れている感じで心に染みました。

実はこの話は、当時のバイト(特別養護老人ホーム)中に浮かんだものです。(殴)
じいさんばあさん相手にしながら何考えてんだというツッコミは無しで。皆が寝た後に一人で残業していた時に、暗くて静かな廊下や室内を見ていて浮かんだんです。なんとなく。

締切間際に慌てて打ったのがよく分かる駄文ですね…本当に…。





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