第5章初産牛をうまく活かすことが群飼いのポイント

飼養管理上、“連動スタンチョン”をつけるかどうかは、よく意見の分かれるところです。私はつけませんでした。基本的な理由はお金がなかったからなのですが、他に後からわかったことがあります。

牛というのは、強弱の世界です。200頭〜300頭いれば、当然“群分け”が必要になってきます。しかし100頭以下の場合は、群分けは、かえって手間ばっかりかかって、効果を出すにはむずかしいものです。とくに乳量で群分けしてしっまたらまずくなってしまいます。

うちの場合は、3割が初産牛、3割が2産牛、3割が3産牛という構成になっています。その初産牛が問題です。繋ぎ牛舎で多回給飼したときに一番効果が出るのが初産牛であり、3回搾乳して一番効果が出るのも初産牛です。しかし初産牛はデリケートであり、弱いもので、臆病なものです。最近の初産牛であれば、ちゃんと管理すれば8000〜9000sは楽に出ます。10000s以上もめずらしくないはずです。そうした「初産牛をうまく活かす」というのがこれからのフリーストールであれフリーバーンであれ、群飼いの大きなポイントだと思っています。

その点、初産牛は臆病であるがゆえに、連動スタンチョンに首を突っ込んでエサを食べるという行為が非常に苦痛なのです。怯えながらエサを食べている牛もいるほどです。1日に12〜13回飼槽へ行ってエサを食べるはずの初産牛が、10回になり9回になり、どんどん飼槽へ行く回数が減ってしまうのです。そのぶん1回に多く食べるかというと、そうではないのです。本来2回で食べる量を1回で食べる場合、おそらく1.5くらいしか食べません。それが初産牛の場合、乳量にもろに影響してきます。繁殖にも影響してきます。たとえ乳量が出て、種がついても、初産牛は成長途中なので後で影響が出てきます。

どうしても弱い牛は淘汰しなければなりませんが、初産牛の管理に気をつかうことが後々に響いてくるのです。305日で6500〜7000sの初産牛であれば2産目には9000s以上は必ず出るはずです。