第7章乳価下落に対応するにも3回搾乳 3回搾乳――言うのはたやすいのですが、現実にそれをやるとなるとむずかしい面があります。うちの場合、人を雇うには私が暇ですし(笑い)、自分でやるとなると私の自由時間がなくなるし、悩むところです。頭数をもう少し増やして、100頭くらいにしてパートで3回搾乳しようかとも考えています。 乳価が5円下がると、最低でも1割以上増産しなければ前年並の売り上げになりません。その1割を増産するために施設を作っていたのでは、とても採算が合いません。そのとき有効なのが3回搾乳です。3回搾乳すれば確実に1割増産されます。 そして、そのときに効果の高いのが初産牛です。20%、牛によっては30%の効果が期待できます。3産牛を3回搾乳しても効果は5%くらいでしょう。3回搾乳のマイナスは、若干の電気代と洗剤代が増えることだけです。むしろ牛に接する機会が多くなることによって、観察が行き届くようになり先手の対処ができるようになります。こんな良いことはありません。 ただし、エサの管理をきちんとしていなければなりません。無理やり牛から乳を搾り取るような3回搾乳では、牛はやせ、繁殖も悪くなり失敗します。 3回搾乳は、「年間を通じて8時間おきに」などと考えては、とても続きません。米国をみても、年間でみた1日平均は2.6回くらいだったと思います。つまり、年間0.6回多くして乳量を増やす、というような考え方をすればいいと思います。 また、「どうしても1割増産する」などという目標を持たずに、たとえば5〜10月の暑い期間だけ3回搾乳するだけでも十分に効果が出ると思います。酪農には、手間ひまかけて、お金かけても、効果がそれに見合ってないものがとかく多いような気がします。ましてや、その効果を目で確認できるものは非常に少ないような気がします。でも、3回搾乳は、現実にバルク中の乳が増えるのですから効果が実感できます。ただし、奥さんにばかり搾乳させておいて「うちは3回搾乳している」などと言っていては長続きしません。
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