隠岐の釣りは素人うけ??

  大物ウマヅラハギは全くの世間知らず

       夫婦して何度も素人の釣り人にひっかかる

 

 体長40㎝のウマヅラハギちゃん

 どうして釣れてくれたの?ありがとう!!

これを引っかけたのは10人の釣り人の中でも一番の恐がりのA子だった。

A子はマッチは擦れない、小さな虫も怖い、まして餌の虫を釣り針につけるなんて、気を失う

虫は虫でも弱虫である。元気で親切なC子様に餌をつけてもらい、

釣れた小アジも針からはずしてもらい、自分は竿を持つだけ・・・

こんなど素人の釣り針にひっかかったおまえさんって、いったい・・・・?

ほんとうに鈍くさそうな顔してるじゃん。

 ただし、引っかけたのはA子だったが、ああ、神様、われらはたも網を持ってくるのを忘れていたのだ。

 最後に釣り上げたのは、娘のリベンジをねらった父、B氏だった。

    その父と娘の感動の物語は・・・・・・。

 

 「な、なんか重いよ、どうしよう。あっ、これ何?へんな魚が・・・・!!」

 A子の声にみんながどっと集まった。そこには異様なものが・・・。

 なんて大きな、なんて「ひょっとこ顔」の魚なんだ!

 とたんに全員が船頭となって、「引け、引け!」「いや、引いちゃいかん、水から上げるな」

 「たもは?たも網!!、しまった、忘れた!」「いいから、そっと引き上げろ」

 「貸せ、代わろう!」・・・と言っているうちに、すごい重みでぶさいくな顔は水の中へ

 落ちて行った。ああ、夢だったのか、あの顔は・・・!!不思議な顔だけが、

 まぶたに焼き付いた。

 夢覚めやらぬまま、A子はまた同じ場所に釣り糸をたれていた。みんなも元の場所に戻った。

 「な、なに?また重いよ、うっそ~!!ぎゃあああ!!」

 「またカワハギだ、ウマヅラハギだ!そっと引け!!そっと!」

 「たもがないんだ、ああ、たも網じゃあ!」

 今度はかなり上まで上がってきたのに、あああああああ!

 またしても、ウマヅラハギは重みで海中に落ちていったのである。

 そして、こんどこそはと、もうだれかが民宿の主人でもある漁師のところへ

 たも網を借りに走った。

 今度の魚はさっきより、少し小さくスマートで、ちょっとだけ見られる顔をしていた。

 みんなは、カワハギは夫婦で泳いでいるので、さっきの連れ合いだと

 結論づけた。

 2度あることは3度ある、とみんなに言われ、たも網もカメラもスタンバイで

 A子はまた同じ場所で待つこと5分。

 「あっ、また重い!」 3度めも確かな手応えはあったが、かすかな魚影が認められた

 だけであった。

 そしてその後は、誰が同じ場所に糸をたれようが、小アジだけに終わった。