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GuitarTune講座

その1---ブリッジ調整(倍音調整)

ウチに調整のため訪れるguitarたちは、ブリッジ調整(倍音調整)がそもそもされてないものが多々あります。

持ち主に問うてみるに、この件に関して殆どの方が理解していないのに驚き、若輩ながら理論的お話でも少ししてみようかと..... 


AC Guitarの場合は平均値をとってるので仕方ないのですが、Elec Guitarの場合殆どの機種にて各弦それぞれにブリッジにて弦高および弦長が調整できるようになってます。(誤解のないよう言っておきますが、メーカー出荷時は厳密に調整されているわけではなく また後述する諸般の事情により変動して当たり前のことですからご自分で調整する術をぜひ身につけて下さい。チューニングの合わない楽器ではいかに上手く弾こうとも雑音にすぎません)

高校くらいの物理で習ったと思いますが、弦の振幅は弦の質量と張力と長さで決まります

突然難しい(懐かしい)フレーズで始まりましたが基本はやはり重要です。なにごともそうですが『やり方』を憶えるのではなく何故そうするのかという理論から紐解きながら作業する方が融通が効きます。

物理の話に戻しますが、弦の長さを半分にすれば振幅(周波数)は2倍になります。ということで12フレットはナットとブリッジの2分の1の点というわけです。ココまでは物理が通用しますが以後は少し異なってきます。なぜならこの論理だとブリッジはフレットに対して一直線かつ平行で良いわけですから!

では、何故一直線かつ平行ではダメなのでしょうか?ポイントは弦高です。(上記弦振動の法則に弦高は加味されてません)確かに弦高がゼロならばブリッジはほとんど一直線かつ平行でよいのですがそれでは音が出ません。

仮に丁度ナットから12フレットの倍の位置にブリッジの駒があったとしましょう。12フレットにてのハーモニクスと12フレットを押さえた実音とは弦高0mmなら同じ周波数ですが弦高1mmなら実音の方が高くなります。何故かと言いますと弦高1mmあればそれだけ張力が増してしまうからです。わかりやすく言えばあるフレットを押さえて弾いて指板上で1mmチョーキングしたのと同じことが起こっているのです。ですからこの場合ブリッジの駒は後ろへ下げ弦の長さを長くしてやらねばなりません。また1〜6弦は張力がそれぞれ異なりますので全ての弦の弦高が仮に1mmに統一されていたとしても弦の長さはそれぞれ異なってしまうわけです。チョーキングしてる方なら実感されてるでしょうが6弦は5mmもチョーキングすれば半音上がりますが1弦は10mmくらいしないと半音上がりませんよね‥‥‥よって同一の弦高であれば1弦がより本来あるべきナット−12フレットの倍の位置に近くなります。だからAC Guitarは平均値をとって斜めになってるわけですが、エレキの場合実際に調整すると弦の構造(材質)上1〜3、4〜6弦はそれぞれ斜めに結ばれますが3と4弦の所で段差がついてしまいます(だから個人的にはオリジナルのTELECASTERは嫌いです)

要はこれだけなのですが、実際に調整するとなると結構大変です。

整理するとブリッジの駒の位置は

1.弦高

2.弦の張力

3.弦の材質   で決まるわけです。

よって1度あわせても異なるメーカーの弦はもとより同一メーカーの09と10では再度調整が必要なのはいうまでもなく、また楽器は生物ですからネックが反ってきたら勿論弦高が変わってきます(この場合ネックを直すのが先決ですが(^_^;)


実際の手順ですが、まずお気に入りの弦を取り付け自分の弾きやすい弦高にセットし各弦チューニングを合わせます。

次に調整する弦をシビアにチューニングします(5弦=440Hzで始めるのが無難でしょう)音が合ったら俗に言う倍音調整(ハーモニクスと実音が同じになるよう弦長を調整)をしますが、以下の事に気をくばって下さい。

ブリッジの駒を移動するとチューニングが変動します。弦の張力がブリッジの駒の位置を左右するわけですからA=445Hzで調整しても意味がありません。駒を移動させる度に440に戻して再度調整して下さい。また、Storato Typeの多くは駒を動かすと弦高すらも変動してしまいますので気をつけてください。


余談ですが、以上のような理由によりAC Guitarはメーカーが弦を指定している場合が殆どですのでチューニング重視であればなるべくその弦を張った方が無難です。


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