まあちゃんの経過について…

まあちゃんが2007年にLoeys Dietz症候群であると診断されるまでに いろいろな経過をたどりました
病名もなんどか変わりました

このページはそんなまあちゃんの経過を書き記しています
マルファン症候群と診断されるまでの経過…
マルファン症候群からLoeys Dietz症候群へと変わる病名…
以下の内容は 出来事を時間の流れに沿って書いていますので ご理解頂いた上でお読み下さい 

マルファン症候群と診断されるまで…
マルファン症候群という言葉をはじめて聞いたのは平成13年の秋だった

漏斗胸の手術(Nuss法)を受けられた後 まあちゃんと同じ様に胸骨の突起を起こされているお子さんのお母さんのお話を聞いている内に『なんだか全体的な状態も似ているなぁ』と思いこの病気について調べてみる事に…
いろいろな文献を読んでいく内にまあちゃんの症状と合致する部分が多くある事を確信した
ただ ある一点…高身長という部分をのぞいては…

掛かりつけの小児科や整形の先生にその可能性を伺ってみる
この質問にどの先生方も『マルファン症候群は高身長ですからねぇ 該当しないと思いますよ』というお返事が返ってくる
でも 私はとても気になっていた… 
なぜならマルファン症候群の一番の問題である心血管系の異常が 生命予後を左右すると言うことを聞いていたからだ
何かあったとき『もっと早くに分かっていたら…』と言われることはどうしても避けたい…

その後も変化する胸の状態を見たNuss法を執刀した主治医が 術後の症状からするとマルファン症候群の可能性があると指摘される
「では検査をしないのですか?」というこちらかにの問いに対してその医師は『マルファンだからといってなにもする事はありませんから…』とおっしゃった…
その時には マルファンに対しての知識も認識も無かったので 疑問に思いつつもそのままの状態ですごしていた

1年後 頸椎を痛めたことで他の病院にかかる事になった
同時に 胸の突起がかなり危険な状態だということで 病院内の小児外科を紹介していただき 挿入してあるバーを抜く手術を受ける 
この件をきっかけに 漏斗胸についての治療もこの病院に変える事にする
そして その1年後に胸部の突起を切り取る形成術を受けることになる

手術法は変形している胸骨を切り取り形成して戻す…というもので翻転術と呼ばれる方法
しかし また術後すぐに胸郭が変形を起こしはじめる
その様子から主治医の先生は『なんらかのコラーゲンの結合異常ではないか…』と言われるようになった
私からも以前からマルファン症候群を心配しているという事をお伝えして、急遽心エコーの検査を受けることになった

その結果 大動脈の拡大が見つかる
それと同時に 初めから検査をし直すと言うことで2度目の染色体検査を受けることになった
(染色体の検査を受けるには 病院の倫理委員会の許可が必要)

染色体検査の検査結果は 
  1番 4番 5番の間での相互転座   3番の長腕の一部が短腕についている
  この中の異常がマルファン症候群に関係するものであると考えられる

まあちゃんの場合 一般的に言われているものをマルファン症候群とすれば まあちゃんの場合はU型という当時研究されているものだったそうだ

マルファン症候群と診断されてからの治療記録
2003/3/25
まあちゃんの染色体の転座は非常にまれであり 今現在世界中での発見症例はまあちゃんの場合ただ1例のみという報告が届く
研究機関から 血液協力の依頼を受け承諾する(両親 本人20ccずつ)
2003/6/15
6月13日 研究を承諾し採血を受ける
マルファン症候群2型患者の国内での報告症例が少ない 多くの場合は通常マルファン症候群と呼ばれている1型であるという事
1型 2型共に高身長であるがまあちゃんの場合は 他の染色体異常による低身長の為に分かり難かったのだそうだ

半年ぶりに心エコーを受ける 拡大 弁の閉鎖不全共に現状維持の状態
学校での心電図に異常が見られ 医師の意見書の提出を求められる
2003/10/23
同研究機関より皮膚の提供の打診を受ける
まあちゃんの染色体異常の部分から この疾患の原因遺伝子の追求が出来る確立が非常に高い
らしい
本人への皮膚提供の確認 採取部分の相談中 
2004/01/02
同研究機関より 原因遺伝子の特定が出来そうなので皮膚の提供は現状では必要なしとの連絡を受ける
腰部のCTを撮る→脊髄の収まっている洞が腰のあたりで広くなっているのもマルファン症候群の
            特徴であるということ
関節の緩さの確認→片手で反対側の手首を握ってみる 指の方が長いのでかなり余る
             手首をそらせる 指をそらせるその角度を見る
             股関節についてはまあちゃんは足で頭を挟むことが出来る
             肘については普通に引っ張ると抜けてしまうほど緩い
2004/07/05

マルファン症候群2型の原因遺伝子が解明される

独立行政法人 科学技術振興機構のページより マルファン症候群2型の原因遺伝子発見

マルファン症候群の原因→結合組織(コラーゲン)の異常

コラーゲンT型が原因となる場合  高身長など総合的な症状を起こす
                       原因となる遺伝子座 フィブリリン遺伝子 15q

コラーゲンU型が原因となる場合  主に心血管系に異常を起こす
                       原因となる遺伝子座 TGFBR2  3q
                       呼び方→マルファン様結合織疾患 或いは U型

マルファン症候群U型の場合 心血管のフォローが予後を大きく左右するので今後は心臓の
検査を定期的に行う事になる

2004/04/02
心エコーの結果は2003/06とあまり大きく変化は無いと言うこと
大きさも少し大きいものの現状維持 大動脈の拡大も進行していないということ
大動脈については20歳前後で変化が出始めるので経過観察は怠らないようにという指示が出る
2004/10/15
心エコーの結果 急激に悪化している様子はないと言うこと
ただし年齢的にも今後変化をおこしてくるらしいので 半年ごとのエコーは必ず・・ということ
今後は心臓だけではなく 頸部 腹部の大動脈も経過観察をしていくように言われる
大動脈の剥離や亀裂を診ていかなくてはいけないそうだ
血管の保護の為に 急激な血圧の上昇は避けるように指示が出る
体育 スポーツ はげしく血圧が上がるようなことは禁止するように言われる
2005/6/17
心エコーの結果 逆流が確認される
大動脈の拡大については変化はあまりないようだ
将来的なことを考えて 次回から循環器内科で診察を受けることにする
次回は秋頃の予定
手足の鬱血が見られるのは手足が長い上に血液の戻りが悪いから起こる症状
鬱血している時には両手を上に上げて血液を心臓に送り返す事が大切
2006/1/24
小児循環器から成人の循環器内科に転科する
心電図 心エコー 胸部レントゲンを受ける
心電図…大きな異常は見られない
心エコー…6月の検査とほぼおなじ状態 いまのところあまり変化はないようだ
胸部レントゲン…陥没により心臓が押されて映っている
注意事項としてはいままで通りで良いとのこと
次回は 8/1の予定
2006/8/1
心電図 心エコーの検査を受ける
心エコー…大きな変化は見られないが胸郭による圧迫は多少強くなってきている
心電図…1月から比べるとかなり良くない状況になってきている
右心室 右心房への胸郭の圧迫が原因ではないかと言われる
めまい うらつき 血液循環の悪さが起こってきているので 運動は全面禁止 歩行もゆっくり…
右心室への血液の戻りが良くないので 一生懸命動いている状態なのでかなり負担がかかっている
胸郭の変型の治療も考えるように言われる
身障手帳4級の申請が出来るので 申請書の手続きをするように指示を受ける
2006/8/21
マルファン症候群2型についての予後が徐々に明らかになってきているらしい
世界的なレベルで 1型に比べ心臓疾患の状態が重く 心不全や心筋梗塞が早い時期訪れる傾向にあるという報告が出たと主治医から伺う
今回の心電図の異常も この症状が出始めているのかもしれないと言われる

身体障害者手帳の申請書類が届き手続きをする
病名 マルファン症候群
漏斗胸に起因する胸郭変型による循環障害 右房室間溝の圧排狭窄による右心不全
大動脈弁輪拡張症 大動脈弁閉鎖不全症
今後重度化の懸念あり

2006/10/5
24時間ホルター心電図を受ける
ホルター検査の結果はいまのところ不整脈はないということ
ただ 現状を維持するためには負荷を掛けない生活をするよう生活管理をする
昇降機 車いすを使うようにする
手足の鬱血は横になることで改善するので しんどいときには横になるようにする
2006/10/6
身体障害者手帳 1種4級の交付を受ける 【マルファン症候群による心機能障害】
2006/12/26 
8月の検査と比較 バルサルバ洞の拡大が進行している(31ミリ→34ミリ)
成長期なので変化も起こってくる時期らしい 今後の経過観察が重要になってくる
そのほかについては大きな変化は見られない
Loeys Dietz症候群へと疾患名が変わる
2007/01/23  
マルファン症候群の類似疾患であるLoeys Dietz症候群の疑いが強いと言われる
2007/03/27 
心電図 心エコーの検査を受ける 大きな変化はなくバルサルバ洞の数値も34ミリで前回と同じ
小児慢性特定疾患の申請書を書いていただく
前回の申請では却下されたので 再度挑戦…     
2007/5/8 
Loeys Dietz症候群の症状であるエラスチン断裂の検査を受ける
皮膚科での皮膚の採取 4ミリ深層部まで…
2007/6/14 
エラスチン断裂検査の結果が出る
染色検査では 異常なし
電子顕微鏡検査では 断裂がみつかる
断裂した状態は全身にいえるらしく 心臓血管への配慮は今以上に重要になってくる…
2007/8/28 
心電図 心エコーの検査を受ける 多少の広がりはあるがまだ現状維持が出来ている
2007/12 
3度目の申請で小児慢性特定疾患の申請が通る
疾患名 大動脈弁閉鎖不全症  重症扱い                  
2007/12 
在宅酸素治療を開始する  夜間 2リットル(常時流す)  日中 2リットル(労作時など)
起床時の顔色 体の動きなどに改善がみられる
2008/1 
心電図 心エコー 胸部レントゲンの結果は大きな変化はなし
在宅酸素を使っての治療が現状維持を助けていると言われる
体に負担をかけない生活を心がけること
2008/3 
前回の検査から期間が短いため 心電図のみの検査
大きな変化はなく 現状維持出来ている
2008/6 
心電図 心エコーの結果 変化なし 現状維持が出来ていて ほっとする
全身の血管状態を把握する為に 全身をMRIで検査をすることになった
2008/7〜8 
頭部・上肢・下肢に分けて全身の血管をMRI検査する
造影剤を使い 動脈瘤や拡大部分がないかを調べる
結果は いまのところは見あたらないということだった
今後 心臓に大きな変化がなければこの検査を2年に1度… 
拡大が進行するようなら間隔を狭くして行う必要があるということ
2008/12 
心電図 心エコー検査
心電図も悪くはなっていない 大動脈の拡大部位も変化はなく維持できている
2009/3 
セカンドオピニオンを受ける
小児循環器のドクターに見ていただく
心エコー検査の結果 大動脈弁が大きいらしい
今現在は大きく影響していないが あまり良くない症状だと言われる
いままで言われたことがなかったので ここで大きくなったのだろうか…
拡大部等は現状維持が出来ているとのことだった
2009/7 
心エコー 心電図 胸部レントゲン
現状が維持できている
基部の拡大部も変化はないように言われる
2010/01 
心エコー 心電図
現状維持が出来ているということ
2010/05
全身の血管のMRI検査を受ける
大きな問題点は見つからなかったということだった
ただ 鎖骨下にある動脈の分岐が通常とは違う事がわかったそうだ
これが病状に影響することはないと説明を受けてホッとする
心肥大もなく血圧も正常だった
2011/07 
2ヶ月に1度の診察を受けている
心エコー、心電図は4ヶ月に1度検査を受けている
今現在は大きな変化もなく安定している様子
負担を掛けない生活をすることで 現状維持が出来ているのかもしれない

2012/08
全身の血管のMRI検査を受ける

毎回の診察の様子については 治療日記をご覧下さい