僕は知っている。君の知らないことを。

世界のすべて。真実。

世の中がどんなに醜くて美しいか。

人の心がどんなに汚くて綺麗なのか。

僕は知っている。



それでも、君は僕の傍にいてくれる…?






君が、僕に対してどんなに深い負い目を持っているかも知っている。

けれど、僕はそれを表に出さない。

君が望んでいるのはそんなことではないだろうから。




君が羨ましいとさえ感じる。

他人に負い目を、自分の存在意義に負い目を感じながらも、誰をも、この世界をも恨むわけでもなく、ただ悲しむ君の、綺麗すぎる心が。

憎んでもいいのに、憤ってもいいのに。君はただ自分だけを責める。


そんな純粋なまでの心が。

どんなに僕を救ってくれるのか、君は知らない。

世界はまだ、こんなに素晴らしいのだと。

君がいなければ、滅んで当然のような穢れた世界なのに、君という存在が僕に道を示す。

この島を、君が生きる『楽園』を守れ、と。







悲しまないで。苦しまないで。

そう願うのに。

僕のために悲しんでほしい。僕のことを思って苦しんでほしい。


そう思う自分がいる。




こんなにも汚い僕を、きっと君だけは受け容れてくれる。

君だけは、その最期の時まで僕の傍にいてくれるのだろう。




僕の心の声を、君だけは聞いているはずだから。




ほら。聞こえるでしょう?




 どうか、傍にいて。









とりあえずお題1つ目。TV前〜9話くらいまでの、総士の心情。
言葉にしなくても一騎だけは自分を理解してくれると思っていた、というのは物凄い自惚れだよね。あいにく一騎は言葉にしないとわからないタイプだ。
一騎自身は何とか理解しようと頑張っているけれど、自信がないから確信が持てない。そこを言動で後押ししないといけません。
総士はそのことに気付かなかった。
幼い頃なら理解し合っていたんだろうけど、傷事件の後もそれは決して変わらないと総士は信じていたんでしょう。もしくは、一騎がファフナーに乗ることで昔の関係に戻れたと思ったのか。
   世の中そんなに甘くないんだよ。
けれどそれにしがみつきたかった。本人は気付いてなかったかもしれないけれど、必死に強くなろうとしていた総士の唯一の《弱さ》。
 



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