吸引戦隊カービィファイブ
〜アドちゃんなんだけど・・・・・・?〜
ある日、かろうじて、ナックルジョーに殴られ、蹴られ、投げられたダメージを回復したカービィは、そのナックルジョーを連れ、自分の家に帰っていました。
「ひどいよ、ジョー。あんなに殴るなんて。」
「蹴ったり、投げたりもしたぞ。」
「いや、そーだけど・・・」
カービィはため息をつきました。
「ため息つく奴は、早死にするらしいぞ。」
「それってさ、ボクのこと心配してるの?」
ちょっと期待しながら、カービィは聞きました。
「てめーが死んだら俺も死ぬんだろ?てめーといっしょに死ぬなんて、路上で一人漫才しろと言われるよりいやだからな。」
「じゃあ、いっしよに死ぬか、一人漫才か選べと言われたら、一人漫才選ぶの?」
「どっちも選ばず、そう言った本人を殴り倒す。」
「何それ、殴り倒すって。」
「体験してみるか?」
「遠慮しとく・・・」
10分ほど歩いて、2人はカービィの家に着きました。
「ただいまー・・・あれ、アドちゃん来てたのぉ?」
テーブルの近くに、アドが座っていました。
「あ、カービィ。お帰りー。」
「・・・あれぇ?ジョー、なんかさ、違和感ない?」
「そんなことないよ。ね、ナックルジョー。」
ナックルジョーは、あの薄い笑いを浮かべながら言いました。
「呼び方間違えてるぞ、ダークマター。」
カービィは、しばらくしてから口を開きました。
「・・・ダークマター・・・?・・・えーと・・・つまり・・・きゃぁぁぁぁぁっ、敵だぁ。敵だよぅーっ!みんなーっ!」
カービィ一人慌てている後ろで、ナックルジョーとダークマターの会話が進んでいきました。
「乗り移るには、情報が少なすぎたんじゃないか?」
「しかし、仲間に攻撃はできんだろ?」
「仲間ぁ?そいつがか?馬鹿なことを言うのは、あの転がり餅だけで十分だ。この世にいる俺のダチ以外の生物は、全て俺の手下だ。」
すると、ようやくキービィ達がやって来ました。
「かびちゃーん、ダークマターってさ、あのびんの中の佃煮君が逃げたの?」
「うぅん、2匹目。」
「で、かびりん。どこにいるのぉ?」
「ジョーとお話ししてる。」
「え?あれはアドちゃんだよ。」
「違うのぉ、乗り移ってんのぉ!」
「ねぇねぇ、ジョー。どーしたら元のアドちゃんに戻る?」
「戦って、勝つしかねーだろ。」
すると、ダークマター(に乗り移られたアド)はうつむきました。
「そっちでの話はついたようだな。では今より・・・攻撃を開始する!」
そう言い終わるのと同時に顔を上げると、アドの目つきが変わっていました。
「うっわー、目つきわるー。ジョーみたい。」
「ジョー!負けずにこっちは、アドちゃんの顔まねだぁ!」
「何を口走ってんだ、お前は。」
「あっ、やばいよ!アドちゃんを止めなきゃ!描き終わったら、ボスが出てくるよ!」
どこから出したのかは知りませんが、アドは大きなキャンバスに絵を描き始めていました。
「みんなで飛びかかれーぃ!」
キービィがそう言うとカービィ達は、アドへ向かって飛びかかっていきました。しかし・・・
バチッ
「きゃーっ!」
「いたたたた・・・」
アドに触れるか触れないかのところで、黒い電撃が発生し、カービィ達ははじき飛ばされてしまいました。
「絵を描いてる時は、攻撃が出来ねーみたいだな。」
「ジョー・・・実は気づいてたでしょ、このことに。」
「当たり前だろ。」
「なんで教えてくれないのさぁぁーっ!」
なにやらごちゃごちゃやっている間に、アドは絵を描き終わりました。
「行け・・・アイスドラゴン!」
「おい、梅干し。出番みたいだぞ。」
うめぼっちは、「梅干しじゃないもーん!」と、叫びながらアイスドラゴンに突っ込んでいきました。
「バーニングアタックぅ!」
アイスドラゴンは、苦手な攻撃をくらってよろけましたが、かなりの巨体なのですぐに体制を立て直し、うめぼっちに向かって氷の息を吐きかけます。すると、うめぼっちの前にくさもっちが出てきました。
「防御ならボクにまかせてよ。プラズマバリア!」
くさもっちの周りに薄いプラズマの壁ができ、アイスドラゴンの攻撃を消し去ります。
「めぼくん!」
「おっけー!」
うめぼっちはアイスドラゴンのお腹にしがみつきました。
「火だるまぢごくぅぅっ!」
うめぼっちの体全体がすさまじい炎に包まれます。アイスドラゴンもこの攻撃には耐えられず、倒れてしまいました。
「やったぁ!勝ったよ、マッくん!」
「ボク達2人の和風コンビって、サイコー!」
横文字の技が多い和風ですが、気にしてはいけません。
「ならば、こいつではどうだ?」
アイスドラゴンが消えたあとに、ちょうちんあんこうの様なキャラがいました。
「えぇーと、・・・ね、ジョー。このボスのお名前は・・・たしか、甘い甘い・・・何だっけ?」
「スイートスタッフだろ。」
「あ、そうそう。電撃とかを飛ばしてくるよ。」
「じゃあ、ボクの出番だね。」
そう言ってキービィは一歩前に出ました。スイートスタッフは、発光する部分から電撃を飛ばしてきました。
「電撃なら、ボクも得意だよ。ビームウィップぅ!」
お互いの攻撃が、電撃を相殺します。キービィは攻撃が終わると、高く飛びました。
「ビームマシンガン!」
小さいですが、大量の電撃がスイートスタッフに降り注がれます。スイートスタッフは、一瞬ひるみましたが、たいした攻撃力がないのを知って、キービィに向かって体当たりをしました。
「きゃっ!」
キービィは小柄なので、(キービィ「も」ですが・・・)そのまま後ろにはじき飛ばされます。スイートスタッフは、チャンスを逃すまいとして、倒れたキービィに向かって突進します。
「キービィ!よけて、よけて!」
キービィは動こうとしません。スイートスタッフは、キービィまでの距離が、あと1メートル弱という所まで来ました。すると、キービィがいきなり起きあがりました。
「はどうビームぅ!」
いきなりの攻撃だったので、スイートスタッフはビームをかわせませんでした。はどうビームは見事にクリーンヒットします。
「やった、やった!当たったよ!」
キービィはどこからか、大きななべを出して、スイートスタッフをその中に入れます。
「みんな、ボクのシーフードカレー食べる?」
「きびりん・・・ボク材料を知ってるだけに、食べたくないなぁ・・・」
「でもソービィ、あんこうっておいしいよ。」
「えっ、ほんと!?じゃ、ボク食べる!」
「元は、絵の具だろ。絵の具。」
そうこうしてる間に、次の絵が書き上がってしまいました。
「次は、Mr.ブライトとMr.シャインみてーだな。」
「タッグ攻撃だね。じゃあ、ジョー。ボク達の出番だね。」
カービィがそう言うと、ナックルジョーは、あの笑いを浮かべました。
「座って見てるのにも飽きたからな。軽い運動でもするか。」
そう言って、ナックルジョーは立ち上がりました。