吸引戦隊カービィファイブ
〜VSアド〜

 

前回の絵描き的なあらすじ

あらすじィーっ!?
・・・・・・・・・・・・・・・今、それどころじゃないのよぉーっ!前回を読めばいいのよ、前回をぉーっ!
(注:乗っ取られバージョン)

ティンクルスターは最近、人選びを間違っているようです。

 


アドは筆を大きく振りかぶり、カービィを指さしながら叫びます。

「カーくんなんかねぇーっ、大っ・・・嫌いなんだからねぇーっ!」

同時にキャンバスを取り出し、絵を描き始めます。

「・・・なっ・・・なんでさぁ・・・アドちゃーん・・・」

「うるっさいぃ!描いてる途中よ!だまれぇぇーっ!」

「はっ・・・はいぃ!」

カービィは直立不動の姿勢になります。

「・・・ねぇ、かびくん・・・」

「な・・・何ぃ?」

「アドちゃん止めないと・・・敵が出てきちゃうよ。」

「・・・・・・あ。」

「もぅ・・・遅いわよーっ!」

アドはキャンバスを掲げます。キャンバスからは、フィーバーな勢いでザコ敵がわしゃわしゃ出てきました。

「ぅわっ、たくさんっ!全部吸えるかなー?」

カービィは大きく息を吸い込みます。あっという間に、キャンバスから出てきた敵を口に含んでしまいました。しかし、そのままペタンとその場に座り込みます。

「どしたの、カビちゃん!?飲まなきゃ!」

「むぅ〜っ、むー・・・」

カービィは手振り身振りも添えて、何かを訴えています。

「え?多すぎて、一気に飲み込めない?」

「んぅ!」

カービィは大きくうなずきます。

「かびくんのバカ!何で無計画な行動をするのさ!どっかの誰かじゃあるまいし!」

「むっ・・・むむむむぅ〜っ!?」

「えーとね、カビちゃんは・・・『ばっ・・・バカだとぅ〜っ!?』って言ってる。」

「・・・何でわかるの・・・?」

「ザコ敵第2弾!」

アドのキャンバスから、さっきのと同じくらいの量の敵が出てきます。

「むぅ〜っ!」

「安心して、カビちゃん!」

「防御はまかせて!」

くさもっちは、キービィの頭の上に飛び乗りました。

「スパーク+スパークぅ!」

2人とも、万歳のポーズをとります。すると、キービィとくさもっちを中心に、巨大な電界が形成されました。突っ込んできたザコ敵は一気に消し去られます。ギリギリで止まった敵も、雷を喰らいました。

「ボクのビームと、くさもっちゃんのプラズマをミックスしたスパーク+スパークだぁ!防御と狙い撃ちはまかせろぉ〜っ・・・て感じだよ。」

「むー・・・ぷはっ!あー・・・やっと飲めた・・・」

「カービィさん・・・大丈夫ですか?」

「うん、怪我したってわけじゃないし。それよりさ、戦ってるから、リボンちゃんは向こうに行ってて。怪我しちゃうよ。」

「あ・・・はい。」

ぴしぃっ

アドの頭に、青筋が1つ追加されます。

「何よ、その態度はーっ!」

キャンバスから、アイスドラゴンが飛び出してきます。

どすんっ

アイスドラゴンはスパーク+スパークの電界に体当たりをします。

「きゃあ!・・・さすが、重量級〜・・・かびくん!スパーク+スパーク、そんなにもたないよ!」

「あ・・・アドちゃん・・・何で怒るのさぁぁ・・・」

「何で私もその子も女の子なのに、私は戦闘に引っぱり出されるのよ!特に6,7話なんか、ダークマターとご対面状態だったのよ!私は怪我しても、いいってのぉーっ!?」

「えー・・・だって・・・6,7話はアドちゃんが自分で戦うって・・・一応、ボク達止めるよーなコト、言ったし・・・」

「もっと真剣に止めなさいよーっ!」

「止めたら、止めたで怒ったんでしょーっ!?」

「うるさいぃーっ!アイスドラゴン!バリア、突き破っちゃって!」

アイスドラゴンは、さっきよりも強い力で電界を押し始めます。

「ど・・・どーすれば、いいのー?」

「カビちゃん、やっぱり・・・乗り移られてるんだから、少し攻撃して、敵を叩き出すしかないんじゃないの?」

「えっ・・・あ・・・アドちゃんに攻撃すんの!?だだだだ・・・・・・ダメ、ダメ、ダメ!」

「じゃ、俺が攻撃するぜ。」

「えーっ!?」

「ぐちられて、色々ムカついてたしな。」

「ダメーっ!ぜぇっ・・・たい、ダメ!」

「何でだよ。」

「女の子に攻撃しちゃ、ダメなの!世界の常識だよ!」

「そんなの、関係ねーな。世界の常識でダメでも、俺の中の常識なら、問題ねーからな。」

「・・・ナッシー・・・」

アドは、ナックルジョーをにらみつけます。

「何だよ。」

「あんたねー・・・実力がイヤになるほどあるんだからねー・・・目の前で困ってる女の子を助けるぐらいしなさいよーっ!」

キャンバスから、ひときわ大きな敵が飛び出してきます。

「うっわー!?アドちゃん、ダークマターまで描いてるぅーっ!」

「ぅわっ!?」

ナックルジョーはダークマターに体当たりされ、地面に仰向けに倒れ込みました。押しつぶそうとしてくるダークマターを両手で押し返します。両者、均衡がとれて、ほとんど動きません。

「・・・っきしょー・・・・・・俺まで攻撃対象かよ・・・」

「ちょっとー、ジョー!?アドちゃん、助けなかったのぉ!」

「ああ。」

「何てコトすんの・・・じゃない。しなかったんだ・・・え、あれ?どっち?・・・・・・とにかく、ひどいじゃない!」

「知るかよ。弱い奴が悪いんだ。」

「・・・どっかで聞いたよーなセリフを・・・」

「カビちゃーん!もぅダメみたいぃーっ!」

スパーク+スパークが破られます。

「きゃーっ!?」

「かびりん、どいてーっ!」

ソービィがアイス+カッターで滑ってきます。

「アイス+カッター・・・で、ジャンープっ!3回転半スピンキぃーっク!」

ソービィのスピンキックがアイスドラゴンの横顔にクリーンヒットします。しかし、アイスドラゴンは少しよろけたぐらいで、さほど効いてません。

「効いてないじゃーん!」

「アイスにアイスだから、あんまり効かないんだよね・・・てコトで、ほしりん!」

「バーニング+カッタぁ!」

うめぼっちがバーニング+カッターでアイスドラゴンに斬りかかります。

ひょい

動きが大きいので、あっさりかわされてしまいました。アイスドラゴンは、うめぼっちにかぶりつきます。

「ぁいたーっ!?」

アイスドラゴンの口からは、うめぼっちの足しか見えていません。

「あーっ!?うめぼっちが食べられちゃうーっ!」

「・・・痛い〜・・・よくもかじったなぁぁ・・・」

うめぼっちは、アイスドラゴンの口の中で万歳をします。そしてそのまま、両手をくっつけました。両手は瞬時に、火山の噴火口の様になります。

「文字通り喰らえぇ!バーニング+ストーン!」

噴火口の様な所から、火山弾がいくつも飛び出してきます。アイスドラゴンもこれには耐えきれず、倒れてしまいました。

「やった、勝ったぁ♪・・・ジョーは、だ・・・」

どぱぁんっ

カービィは、「大丈夫?」と言いかけて、絶句しました。ダークマターが湖の水面に叩きつけられる光景を見たからです。

「・・・だ・・・大丈夫みたいだね。」

「当たり前だろ。・・・じゃ、俺はあいつを殴るからな。」

「アドちゃんは殴っちゃダメ!殴るなら、ワドルディあたりにしといて!」

「えーっ!?そりゃないっスー!」

「じゃ、誰が攻撃するんだよ。敵に乗っ取られている以上、最低限の攻撃はしなきゃならねーんだろ?」

「うーん・・・じゃ、くさもっち、頼んだよ。」

「えーっ!?何でさぁーっ!」

「・・・・・・隊長命令だよ。」

「・・・覚えてろよ、かびくん。」

くさもっちは、みんなより一歩前に出ます。

「えーと・・・『隊長の 命令だから 許してね』・・・こんな感じ。ホント、ごめんねアドちゃん!スパーク+カッタぁ!」

くさもっちはスパーク+カッターを取り出し、アドに向かって突進します。

「えいっ!」

くさもっちは、キャンバスと筆とパレットをなぎ払います。

「ちょっとだけ叩くよ!」

「・・・甘く見るんじゃ、ないわよ!」

がきぃんっ

アドはペインティングナイフを取り出し、スパーク+カッターを受け止めます。そのまま、くさもっちごと払いのけてしまいました。

「きゃあっ!アドちゃん、けっこー強い〜・・・」

「くさもっちゃんが『絵の具ガリガリナイフ』になぎ払われた!」

「スパーク+カッターが『絵の具ガリガリナイフ』に!」

「絵の具ガリガリ言うな!『ペインティングナイフ』よ、『ペインティングナイフ』!正式名称で言ってくれない!?」

「何だかわかんないけど・・・筆とかはなぎ払っちゃったから、もう絵は描けないね!」

アドはしばらく黙った後、薄く笑います。

「筆とかがない=絵が描けない・・・なんて式は成り立たないわよ!」

アドはどこからか赤、黄、青、白の4色の油絵の具のチューブを取り出します。そして、それら全色を手のひらに出しました。

「てっ・・・手のひらをパレット代わりにすんのぉ!?」

「甘く見るなって言ったでしょ!」

アドはカービィの横を走り抜けます。次の瞬間、カービィの背中から、ブロントバードが飛び出してきました。

「ぅっわーっ!?ボクがキャンバスぅ!?」

「もう一匹描くわよ〜っ!・・・・・・きゃっ!?」

アドは、地面に顔を突っ伏されました。ナックルジョーがアドの背中を押さえつけています。

「・・・・・・やっぱ、ジョーが最強だなー・・・」

「こらぁぁっ!ナッシー、離しなさいよぉーっ!」

「・・・で、誰が攻撃すんだよ。」

「かびくんが攻撃してよ!ボク、さっき言うコトきいたんだから!隊員命令だよ!」

「・・・それは、あんまり偉くないんじゃあ・・・ま、いいや。・・・・・・アドちゃん、ごめんなさい。」

ぽか

「きゃ。」

カービィは軽くアドの頭を叩きます。アドの頭から、黒い霧が出てきました。

「グーイ!ビン詰め!」

「ぐぅ〜いぃ〜・・・」

グーイは舌を伸ばすと、黒い霧の正体・・・ダーク・リムラを飲み込んでしまいました。

「やった、勝ちぃ〜♪」

「・・・・・・むー・・・?・・・・・・」

「あ。アドちゃん、大丈夫?」

「なんか・・・くらくらする・・・」

アドは片手で顔面を覆います。

「あっ!アドちゃん、待って!」

「え?」

アドは手のひらを見ます。油絵の具がべったりと付いていました。もちろん、その手で触った顔にもべったりと付着します。

「えーっ!?何コレぇーっ!」

「・・・あーぁー・・・」

「冗談じゃないわよ!油絵の具って落ちにくいのに!・・・そこの湖で洗ってくる!」

アドは湖の方へ走っていきました。

「・・・かびりん、謝ってきなよ。」

「えっ!?絵の具付いたのは、ボクのせいじゃないもん!」

「そーじゃなくて・・・アドちゃん、乗り移られていたとはいえ、無茶苦茶怒ってたじゃない。かびりんのせいでしょ?」

「ボク、怒られるよーなコトした覚えは・・・」

「リボンちゃんと妙に仲良くしてたじゃないか!」

「何で、それで怒られなきゃならないのさぁ!」

「ガキがおもちゃを取られた気分なんだろ。よくいるじゃねーか。公園の砂場とかで、使ってないシャベルでも他人に貸さねー奴。」

「・・・とにかく・・・ボクが悪いの?」

「とりあえず、アドちゃんのトコに行って、おせじぐらい言っときなよ。」

「アドちゃんがいなかったら、色々困るんだから。」

「ぐちを聞かされるのは、俺なんだぜ。」

「・・・わかったよー・・・」

カービィはノロノロと湖の方へ歩いていきました。

 

「もー・・・ぬちゃぬちゃして、落ちにくいー・・・」

アドは必死に顔を洗っています。

「・・・えー・・・と・・・アドちゃーん・・・」

カービィはおそるおそるアドに話しかけました。

「ここら辺のクリスタルは集め終わったんでしょ?・・・次に行けば?」

「・・・対応が冷たいー・・・えーと、えーと・・・・・・ごめんなさい。」

「敵を追い出すために叩いたんでしょ?しょーがないじゃない。」

「ぃや・・・そーじゃなくて・・・」

「じゃあ、何よ。」

「・・・あ、あのね・・・・・・そりゃ、『よろしくねー♪』だけじゃ悪かったと思うんだよね・・・あと、何てゆーか・・・リボンちゃんがかわいいから、クリスタルを集めてるんじゃなくて・・・」

「ウソ言いなさいよ。」

「うん。・・・・・・いっいや!そーじゃなくて!・・・まぁ、それもあるんだけど・・・それだけってわけじゃなくて・・・」

「もっとハキハキしゃべりなさいよ!」

アドはカービィにつかみかかります。

「はっ・・・はい!わかりました!・・・だから、離して!」

アドは手を離します。そしてまた、顔を洗い始めました。

「・・・ふぇ〜・・・・・・あのね、これにはね、絶対ゼロが関係してると思うの。だからね・・・・・・助けなきゃ。」

「・・・・・・」

「・・・あとね・・・ボクは、アドちゃんのコトが好きだよ。・・・アドちゃんは、ボクのコト、嫌いになっちゃった?」

「・・・・・・」

アドは無言でカービィを抱きかかえます。

「・・・え?」

だぽぉんっ

アドはカービィを抱きかかえたまま、湖に飛び込みます。

「ぷはーっ!何、何!?」

「カーくん、かわいぃーっ♪」

「ふぇ?」

「カーくん、カーくん!」

「なっ・・・何でしょ?」

「あたしもまぜて!」

「あ、一人称が違う。」

「しょーがないじゃない。ゲームに合わせるためなんだから。この時だけよ。」

「ふーん・・・とにかく、アドちゃん復帰だね!やった、やった♪」

「次のステージに行くわよ〜っ!」

「おー♪」


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