吸引戦隊カービィファイブ
〜・・・帰ってきやがりましたね〜

 

前回の梅干し的なあらすじ

梅干しじゃないもーん!

・・・あ、あらすじは!?

 


「よっ、と。」

カービィ達は、ホロビタスターに降り立ちました。

「ふぁ〜・・・砂だらけだね。」

「ねぇ、カーくん。これからどーするの?」

「そーだなぁ。広そーだから、2チームに分けよ。」

「アミダで決めよ、アミダで。」

「おぉ、某高校の某部みたい。」

「よーし、線引くぞ〜、とぅあーっ!」

うめぼっちはお湯かき混ぜ棒を地面に突き立てると、勢いよく走っていきます。

「・・・ほしりん、どこまで行こうとしてるんだろ・・・」

「めぼくん!行き過ぎ、行き過ぎ!めぼくーん!」

くさもっちは、地平線の彼方まで行きそうな勢いのうめぼっちをスパーク+カッターでのして止めました。

「出番が欲しいからって・・・限度って言葉、知ってる?」

「・・・ごめーん。」

「チーム、決まったよ〜。」

「あっ・・・決められてる・・・」

「くさもっちとソービィとうめぼっち、ポケモン色3人が1チームね。ボクはリボンちゃんとキービィとジョーとアドちゃん。ワドルディとデデデ大王は、ゲーム設定の関係で先に行ってるから。」

「何でそっちのチームは2人も多いのっ!?」

「小さいコトは気にしない。・・・えいっ!」

カービィはクリスタルを2つに割ります。

「はい、かけら半分。これを探知機にして、探してね。」

「・・・・・・」

「恨みがましい視線を向けない。じゃ、がんばってね。」

「・・・・・・」

 

カービィ達は、砂漠を進んでいきます。

「やだもー・・・暑い〜・・・」

アドは襟元をつかむと、前後にバタバタ動かします。

「アドちゃん・・・服の中に砂が入るよ・・・」

「肌がやける・・・」

「いーじゃない、ナッシー。あんた男なんだから、少々やけても、大したコトないわよ。私なんか、女の子よ、女の子。」

「肌が白いと、やけた時、すげー痛いんだよ・・・」

「はぁ!?色白なの、あんた!?」

アドは手の甲をナックルジョーの顔の横に持っていき、見比べます。

「・・・げっ・・・下手すりゃ、私より白い・・・」

「そりゃ、よかったな・・・」

「よかないわよ!金髪碧眼の上に、色白なんて、反則よ!その髪、黒くしてやる〜っ!」

アドはパレットに黒絵の具をしぼり出します。

「ぅわぁっ!?」

「・・・どしたの?カーくん。」

「ありじごくだ・・・」

「え・・・?」

カービィ達の目の前に、すり鉢状の大きな穴が広がっています。

「・・・ちょっと・・・何、コレ・・・?」

「・・・!?」

キービィがいきなり後ろに振り向きます。

「ど・・・どしたの!?キービィ!」

「モグラの気配!」

「・・・は?」

キービィは2、3歩ほど歩いて、砂の中に手を突っ込みます。

ずぼっ

砂から引き出したキービィの手には、ヒョコがにぎられていました。

「ぅわーっ!?」

「モグラ捕獲ーっ!これで、念願のモグラカレーを・・・」

「キーくん、目が据わってるわよ。」

「うわー!?うわー!?うわぁーっ!?・・・て、アレ?違う・・・」

「ふぇ?何が?」

ヒョコは辺りを見回します。

「・・・はー・・・いない・・・よかったぁぁ・・・」

「だから、何が?」

「聞いてくれます?ヒドいんですよー、もぅ。・・・・・・誰か知らない奴が歩いてきてたんですよ。それで、私の近くの仲間がね、ちょっかいかけたんですよ。その瞬間、攻撃が返ってきたんですよ。その後はもぅ、手当たり次第なんですよ。私は運良く、逃げ切れましたけど。」

「ふぇ〜・・・」

「もぅ、生きてるのが奇跡ですよ〜・・・あんな大穴開けるよーな奴から逃げ切れたなんて・・・」

「は!?これって・・・攻撃で出来た穴!?」

「そーですよ・・・」

カービィ達は改めて、穴を見ました。

「・・・ちょっと、ちょっと・・・」

「・・・ねぇ、ジョー。」

「何だよ。」

「どのぐらいの攻撃で・・・こんな大穴が開くの?」

「・・・俺が半分キレたぐらい。」

「・・・・・・」

カービィは引きつった表情で穴を見ます。

「・・・みなさんも、そいつには近寄らない方がいいですよ〜・・・」

「どーゆー奴なのさ。特徴がわかんないと、警戒のしようが・・・」

「えとですねー・・・この暑いのに、灰色のコートを着て・・・」

「え゛ーっ!?」

カービィ、ナックルジョー、アドは、微妙にイヤな顔をします。

「あれ?お知り合いで?」

「・・・てゆーかー・・・」

「ねぇ、そいつ、白髪に黒のメッシュって感じの葬式頭で、瞳が赤くて、女々しくて、自分の境遇によっては、憎たらしいほどニコニコ笑ってて、語尾に『♪』つけまくって、誰彼構わずくっついてきて・・・」

「一言で言えば、バカな奴だったか?」

「・・・いえ、何か違います・・・」

「え?」

「瞳の色まではわかりませんでしたけど・・・髪は真っ黒でしたし、女々しくも、ニコニコも、『♪』も、くっつきもしませんでしたよ。」

「じゃ、違うわね。」

「でも、アドちゃん・・・灰色のコートって点は?」

「そこらじゅう探しまくれば、似たよーな服装の奴ぐらい、いるでしょ。」

「うーん・・・でもね・・・・・・髪は染めたのかもよ。」

「どーゆー必要があって?」

「・・・・・・ジョー、黒髪は好み?」

「どんな色だろーと、あいつはイヤだ。」

「だろーね。」

「髪よりも、性格が違うっぽいので、すでに別人でしょ。」

「しばらく会ってない内に、性格変わったのかもよ。」

「じゃあ何?フレンドリーで愛想大安売りな奴が、数ヶ月で、無差別殺戮魔に変わったってゆーの?」

「・・・・・・ならさ、誰なの?」

「知らないわよ。」

「では、私はこれで・・・」

ヒョコは、砂の中にもぐっていこうとします。

「・・・あっ!?モグラカレー・・・」

「は?カレー?」

「気にしないで。・・・ねぇ、他にさ、特徴なかった?」

「そーですねー・・・・・・少し・・・妙なトコが・・・」

「妙なトコ?」

「はい。あのですね・・・」

 

カービィ達は、遺跡の中へと入っていきました。

「・・・カーくん、どー思う?」

「・・・『髪が光を反射していなかった』・・・変だよねぇ。カンカンに日が照ってんのに・・・髪のツヤが悪いのかな?」

「描くのが楽ね。ツヤベタしなくて、よさそーだもの。」

「何にせよ、普通の奴じゃないよね。・・・カレー、好きかな?」

「・・・みなさん・・・大丈夫なんですか?」

「何が?」

「そんな方に会われたら・・・大変なコトになってしまうんじゃあ・・・」

「平気だよー、ジョーがいるからさー。ねぇ、ジョー。そいつはさ、ジョーの半分ぐらいの強さなんでしょ?」

「誰がそんなコト言ったんだ?」

「え?だってあの穴のコトで・・・」

「あれは、そいつの本気の力じゃない。」

「・・・何で、断言できるの?」

「穴に殺気が少し残ってた。・・・その殺気からな『遊び半分』って感じがした。」

「あっ・・・遊びぃ!?」

「・・・・・・」

ナックルジョーとキービィ以外の全員が青ざめます。

「・・・何、顔を青くしてんだよ。」

「・・・あんたねー・・・不安とかそーゆーモンないの?」

「何で、不安にならなきゃなんねーんだよ。」

「だって、自分より強いのかもしれないのよ!?むしろ、そっちの可能性の方が高いじゃない!あんたの半ギレと、そいつの遊び半分が同等なんでしょ!?」

「不安になっても、現状が変わるわけじゃねーだろ?」

「・・・ダメ。ついてけない・・・」

カービィ達は、遺跡の2階に上がりました。

「ぅあーっ!?」

「きゃーっ!?カーくん、今度は何!?」

「ルームガーダーが倒れてる・・・」

「・・・よかったじゃない。戦う手間が省けて。」

「・・・・・・誰が倒したのさ・・・」

「・・・・・・」

カービィ達は、静かにルームガーダーの横を通り過ぎていきました。

 

「ぅうわー・・・高ーい・・・この階段、全部登るのかぁー・・・」

カービィは遙か彼方にある天井を見上げて言います。

「カビちゃーん。なんか、壁に顔があるよ。あ、口開けた。砂がザーッと出てきた。」

「そぅ、砂がザーッと・・・え?」

他の壁の顔の口からも、砂が吐き出されています。

「ぅわーっ!?早く階段登んなきゃ!」

「何でだ?」

「そーよ。カーくん、何で?」

「だって、だって、砂と階段に挟まれちゃう!」

「階段の真下にいなけりゃ、いーじゃねーか。」

「・・・・・・」

 

カービィの横で、階段が砂に埋もれていきます。

「・・・いいのかなー、こんなに楽して。砂に浮かんで、天井まで移動するなんて・・・」

「いいのよ、カーくん。楽して、何が悪いのよ。」

「・・・アドちゃん。それは、ジョーの理論だと思う・・・」

「ねぇねぇ、カビちゃん。」

壁際にいるキービィが手招きします。

「何ぃ?」

「ここの顔の口、砂出してないよ。」

口は全開になっていますが、砂が少しも出てきません。

「ホントだ・・・な・・・」

「なんでだろ?」とカービィが言おうとした瞬間です。

がばぁっ

砂といっしょに、何かが飛び出してきました。

「っきゃーっ♪桃く〜ん、お久しぶりじゃな〜い?」

「いやぁーっ!?」

「きゃーっ!?」

さっそくカイムは、カービィにくっつきます。

「あーいかわらず、丸々ーって感じ?」

「いやー、いやー!?砂出てくるトコから、砂よりヤなモンがぁーっ!」

「うーん、砂も出てるみた〜い♪」

「ぅあー!泣きっ面に蜂じゃん!」

「何であんたは、そんな奇怪なトコから飛び出してくるのよっ!」

「だってさー、この星暑いんだよー。涼し〜いトコでお昼寝したかったの♪ちょーど、このモアイの口の中がイイ温度で・・・」

カイムは全員をまじまじと見ます。

「・・・桃くーん?ヘルパーさんがいませんよぉ♪」

「えっ!?」

「何ですってぇ!?・・・・・・あ!」

アドは上方に向かって叫びます。

「ちょっと、ナッシー!何1人だけ階段使って先に進んでんのよっ!」

「叫ぶな、このバカーっ!」

ナックルジョーはアドの方を向き、叫び返します。すると、カイムと目が合いました。・・・と言うより、カイムが無理矢理アドの前に出てきて、強制的に目を合わせました。

「・・・げ。」

「発見だー♪」

ナックルジョーはすぐさま、階段を駆け登ります。しかし、カイムは階段の横を飛んできました。カービィ同様、くっつきます。

「ゲームを取られたゲーマー並に、寂しかったよぉ〜♪」

「お前だけがなーっ!くっつくんじゃねーよ!」

「ぇえーい♪再会のジャーマンスープレックス〜♪」

「ぅわっ!?」

本来、相手を抱えて地面にたたきつける技ですが、地面に当たるに所に足場がありません。

ぼすんっ

2人そろって、砂の中に落ちました。そしてすぐに、顔を出します。

「ぷはっ!」

「ぷは〜♪ねぇ、ボディスラムはどーだっけ?」

ざぼっ

ナックルジョーはカイムの顔を、砂に押しつけます。

「・・・アド!てめー、何でばらすんだよっ!」

「1人だけ逃げよーなんて、ずるいのよーっ!道連れにしてやるんだから!」

「・・・道連れ?」

カイムはナックルジョーの手を逃れ、顔を出します。

「世は情け〜♪」

顔を出したのもつかの間、ナックルジョーとアドのエルボードロップによって、再び砂の中に沈んでしまいました。


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