吸引戦隊カービィファイブ
〜もぅ、明らかにですかい?〜
前回の巨大ロボ的なあらすじ
ぐぅ〜いぃ〜、ぐぅーい〜ぐぃ〜・・・ぐーぃい〜ぐーい、ぐ〜ぃぐー・・・
えぇい、うるさいわ!
前回、砂漠の果てへと逃げたカービィ達は、遺跡まで戻ってきました。
「はー・・・クリスタルを取り忘れてたよ。」
「むやみに先々進むんじゃねーよ。」
「全速力で走って逃げたのは、ジョーじゃないかぁ!」
「勝手についてきたのはお前だろ。」
「あ・・・あの、カービィさん。このブロックの上にクリスタルがあるみたいです。」
ブロックの向こうから、光がもれてきています。
「おっけー!」
カービィはブロックの上まで飛ぶと、クリスタルを取りました。
「えーと・・・外のクリスタルはキービィ達が取ったみたいだし・・・あと1個はドコだっけ?」
「ルームガーダーのトコだろ。」
「あ、そっか。」
カービィ達はルームガーダー、デカサボンのいる部屋に入ります。
「さっき見た時、倒されてたから、楽々げっと〜・・・・・・あれ?」
部屋の中には、誰もいません。
「・・・蒸発しちゃた!」
「てめーが無意識に喰ったんじゃねーか?」
「そんなコトしないよぉ!地べたに落ちてる変なモノを食べたりなんかしないもん!」
「おい、こーゆーのを『説得力がない』と言うんだ。よく覚えておけよ。」
「は・・・はい・・・」
「覚えないでよ、リボンちゃん!」
「よっ、とぉ〜♪」
カイムは軽々と着地しました。両手につかんでいたキービィとアドを地面に降ろします。
「砂の下って、空洞になってたんだねー。ナウ●カの1シーンみたい。」
「モノクロ、降りてどーすんのよ。戻らないと・・・」
「ここにも、捜し物があるかもよ〜♪」
カイムはクリスタルのかけらを取り出します。薄暗い中、それはほのかに輝いていました。
「あ、ホント。」
「アドちゃ〜ん、こっち、こっち!クリスタルがある!」
キービィが何か大きな物の前で叫んでいます。
「ホント!?落っこちてよかっ・・・きゃーっ!?」
巨大な恐竜の骨です。
「ほっ・・・ほねーっ!」
「んもー♪何驚いてんのさー♪」
「だって、骨よ、骨ーっ!」
「フライドチキンや魚を食べたら、しょっちゅうあるじゃな〜い♪これが抜け殻だったら、ますますナ●シカ?」
「・・・基本軸が違う奴に、何話してもダメね・・・キーくん、クリスタルってドコ?」
「恐竜のお口の中だよ。」
恐竜の牙の向こうで、クリスタルが輝いています。
「牙が邪魔で、取れないわねー・・・」
「えー?取れるよー♪」
カイムは横から回り込み、簡単にクリスタルを取ってしまいました。
「せっ・・・設定を無視しやがったわね・・・」
「アドちゃん・・・さっき遺跡の中で、階段の横にいたのに・・・」
「・・・ぅ。・・・はぁ・・・私、限界?」
「しっかり、しっかり。・・・僕のカレー、食べるぅ?」
「辛いから、いい・・・」
アド達は、いくつか穴を降りた後、ブロックの上に落ちました。
「ここは何?クリスタルあるの?」
「・・・お魚さん、ゃほー♪って感じかなー?」
ブロックの真下には、デカテイルとテイルの群がいます。
「しっ・・・シーフードカレーの具がたんまりと・・・」
「・・・むぅ?」
カイムが怪訝な目をして、上を見ます。
ずばぁっ
アド達が降りてきた穴から、デカサボンが出てきました。
「ぅわーっ!?」
「きゃーっ!?」
「ぉおっとぉ♪」
カイムはキービィとアドをつかんでブロックから離れ、デカサボンの攻撃をかわします。デカサボンはカイムをにらみつけます。
「そこの白黒頭ぁ〜・・・。遺跡の中では、よくも不意打ちしてくれましたねぇ〜・・・」
「だってさー、『どいて♪』って言っても、どいてくれないんだもの。くるくる回ってばっかりで。」
「うるさいぃ!・・・とにかく、ツメが甘かったですよぉ〜。まだクリスタルはボクが持ってるしぃ〜。仲間のデカテイル君がいるしぃ〜。人数もかなりですしぃ〜。」
デカサボンの周りに、サボンの群が出現します。アド達は一気にテイルとサボンの群に囲まれてしまいました。
「ちょっと、モノクロ!あんたが元凶でしょ!?何とかしなさいよ!」
「ちょーっと、数が多いかなー?」
「赤くて平べったいやつなら、たくさん攻撃できるんじゃないのー?」
「ダメだよ〜♪あれって、一直線にしか飛ばないからー♪下手に攻撃したら、その隙に他の奴らの攻撃を喰らっちゃうね♪」
「じゃー、どーすんのよーっ!」
「むー・・・えいっ!」
「きゃーっ!?」
「ぅあーっ!?」
カイムはキービィとアドをさっきのブロックの上に放り投げます。
「アドちゃ〜ん、高く〜ん♪そこから動かないでね♪」
カイムはキービィとアドに向かって叫ぶと、視線をテイル達に向けました。
「さて、お立ち会〜い♪逃げたいお方は逃げてよし♪消えたいお方は・・・残ってて♪」
カイムは両目を閉じました。風もないのに、髪がざわめいています。
「・・・モノクロ?」
カイムの髪の毛の白い部分がどんどん黒く染まっていきます。
「・・・あ゛ーっ!?」
無色透明な両手も髪の毛同様、漆黒に染まっていきます。カイムは目を見開きました。しかし、いつもの深い赤色ではありません。黄土色に近い黄色です。
「ぁはははははっ!」
カイム中心に、軽い衝撃波が走ります。テイル達は少し後ろに下がりましたが、ダメージはありません。
「えーと、1匹、2匹・・・めんどいな、数えんのー。・・・とりあえず、モグラよりはマシだよな!」
カイムはテイル達を見て、嬉しそうに笑います。しかし、いつもの笑いとは違い、邪悪さが漂っています。テイル達の半数が、カイムに突進してきました。
「身の程知らずが団体さんだなー。」
カイムの周囲にオレンジ色の円盤が多数出現します。
「アドちゃん!あれ、ダークマターの技じゃない!?」
「はぁ!?んもー、どーなってんのよっ!」
オレンジ色の物体は、カイムに突進してきた敵全てにぶつかります。
ぱんっ
一瞬にして、敵の半数が消え去ってしまいました。
「・・・なんだー・・・モグラと大して変わんないなー・・・」
カイムは残った敵を見ます。ルームガーダーを除いた全ての敵が、きびすを返して逃げ始めます。
「ふーん・・・逃げるのかー・・・」
カイムは黒いビームをテイル達に向かって出しました。しかし、発射せずにその場にあります。カイムは、両手でそのビームをつかみました。
「ほらほら、ダークマターの技だって!」
「だから、何なのよー・・・」
黒いビームの延長線上に、同じビームが集結し、向こう側の壁に触れるぐらい長くなります。
「戦闘中に逃げんのは・・・・・・反則だろーがぁーっ!」
カイムはビームを無茶苦茶に振り回します。テイル達は、そのビームにかするだけで、消滅していきます。
「・・・あ、逃げてもいいって言ったんだったな・・・ま、いーか。」
テイル達が全て消滅した後、ビームの長くなった部分は、拡散して元の長さに戻ります。
「中ボスは、それなりに強いだろーな?」
カイムは地面を一蹴りします。次の瞬間、デカサボンのすぐ前にいました。
「・・・これは、不意打ちじゃないからな。」
カイムはビームを振り上げます。
ぱんっ
デカサボンは、しゃべる暇もなく消滅してしまいました。カイムはデカテイルの方を振り向き、薄く笑います。
「残ったのは、でかい魚だけかー。」
デカテイルは180°反転し、逃げようとします。
ばきぃっ
カイムはデカテイルをビームでなぎ払います。デカテイルは壁に激突し、すぐに消滅しました。
「結局、ザコといっしょかー・・・ま、いいな。数は多かったし。・・・ぁはははははっ!」
アドはブロックの上から、呆然と見ています。
「アドちゃん・・・・・・あのカイムも、カレー好きかな?」
「・・・知らないわよっ!」