吸引戦隊カービィファイブ
〜まだまだ戦闘〜
前回の隊長&エセ隊長的なあらすじ
はあぁ〜い♪カービィだよん。
うめぼっちだよ〜・・・って、「エセ隊長」って何・・・?
ほら、戦隊モノではフツー、赤色が隊長でしょ?例外もあるけど。
うめぼっちは赤いのに、平隊員だから、エセ隊長なんだよ。
なるほど〜。理屈はわかったけど、何か釈然としないなぁ・・・。
ま、それはおいといて。あらすじ〜。
ジョーとダーク3人衆の1人に乗っ取られたカイムがバトル、バトル!
ジョーの勝ち!・・・と思ったら、アドちゃんが乱入してきて、その隙をついてカイムが形勢逆転しちゃったの!
このままカイムの勝ちになっちゃうのかなぁ?
・・・ああぁっ!?ポポくんがあらすじ全部しゃべったぁ!?
ひっどーい!ボクの出番はぁ!?
償いとして、アドバンス交代してよ!
だーめ。「星のカービィ」はピンクが中心なんだもーん。
大きくえぐれた岩壁のそばに、ナックルジョーが俯せに倒れています。ナックルジョーの体の表面では、パリパリと黒い電撃が躍っています。
「大技って、決まると気持ちいいよね〜♪」
カイムは邪悪さがふんだんに含まれた笑顔を浮かべてナックルジョーの方を見ていましたが、視界の端に呆然と座り込んでいるアドを捕らえ、ゆっくりと歩いていきました。
「アドちゃ〜ん♪」
「・・・っ!」
アドはびくっと跳ね上がるように反応し、カイムを凝視します。
「ありがとね♪」
「え・・・?」
「アドちゃんてさー、僕の味方だったんだね♪死んじゃうかなー?て思ったけどさぁ、助かっちゃったよ〜♪」
「・・・ち、違・・・」
「『邪悪な物質』の濃度が高いあのビームさえ当てれば、こっちのモノだから〜♪『邪悪な物質』はフツーの生き物にとっては毒なんだよね♪防御力の低い奴なら即死だし、それなりに防御力があっても、体内に入ったら激痛で動くどころじゃ・・・」
「違うのよっ!」
いきなりの大声に、カイムはいぶかしげな表情をします。
「・・・何が?」
「どっちの味方ってわけじゃないんだから!ただ、仲間同士でツブし合うなんてのが、嫌で・・・」
「・・・ふーん。」
カイムは微笑を浮かべ、顔をアドに近づけます。
「でもさー、とりあえず、コレが結果なんだよね♪」
「・・・だって・・・」
「アドちゃんの考えがどーあれ、やられる寸前の僕が助かって、ナックルジョーを戦闘不能にした。コレは揺るぎない事実だよ♪」
「・・・・・・」
「じゃ、僕はナックルジョーにトドメ刺しに行くから〜♪」
「ちょっ・・・」
カイムは踵を返すと、ナックルジョーの方へ歩いていきます。
「ちょっと待ちなさいよーっ!」
アドはどこからかスケッチブックを取り出すと銀行員の札勘定のごとき速さでペラペラとめくり、グーイが描かれたページを開きます。そのページをカイムへ向けた瞬間、グーイの顔の部分だけが実体化しました。
「ぐぅ〜いぃ〜!」
グーイの舌が一直線にカイムへと伸びていきます。
「・・・アドちゃんさぁ・・・」
ぱしんっ
例の黒いビームによって、グーイの舌はあっさりと払われます。見た目以上にダメージがあったのか、グーイはそのまま絵の中へ戻っていってしまいました。
「ちょ、ちょっと!?グーイ!?」
アドはグーイの絵をぺしぺしと叩きます。
「・・・一体、どっちの味方なわけ?」
「だから、どっちの味方ってわけでもないって言ったでしょ!」
「とにかくさぁ・・・じっとしていてもらえないかなぁ・・・?」
カイムはアドに背中を向けたままですが、十分すぎる殺気が押し寄せてきます。
「・・・・・・」
アドはスケッチブックを抱えたまま、凍り付いたかのように動きません。
「よーいしょっと♪」
カイムは片手でナックルジョーの髪の毛をつかみ、引き上げます。
「わーい♪軽〜い♪さっすが〜♪」
「・・・・・・」
ナックルジョーは薄く目を開き、カイムを睨み付けます。
「あ、目ぇ覚めた?うるさくってゴメンね〜♪でも、すぐにおやすみだから♪」
カイムのもう片方の手に、黒い電撃が収束します。
「・・・髪をつかむな。」
「えー?じゃー、ドコつかもーかなー?」
「痛ぇだろーがぁ!」
瞬きより速く、ナックルジョーは左の袖口から折りたたみナイフを抜き取り、刃を出しました。
どんっ
カイムの頭に深々と、ナイフが突き刺さります。
「・・・・・・ぅわああぁっ!?」
ばちばちと音を立てて、カイムの髪の毛から黒が半分ほど消え去り、その後、黒い塊がひゅっと飛び出してきました。ナックルジョーは岩壁に背中を預けてずるずると座り込みながらも、叫びます。
「アド!」
「えっ・・・な、何!?」
「グーイだ!」
「う、うん!わかった!」
アドは再び、グーイのページを開いたスケッチブックを掲げます。
「ぐぅ〜いぃ〜!」
グーイはダーク3人衆の1人を飲み込むと、絵の中へ戻っていきました。
「・・・・・・ふぅ〜・・・・・・あ!ナッシー!」
アドは一目散にナックルジョーの所へ駆け寄ります。
「あんた、大丈夫なの!?あ、モノクロも大丈夫なの!?思いっきりぶっ刺してたけど・・・」
「どっちを先に答えてほしいんだ?」
「え〜と・・・じゃ、倒れたまんまのモノクロ。」
「ナイフの刃を『核』にかすらせただけだからな。死にはしねーだろ。」
「そう・・・よかった・・・・・・待って!よくない!偶然、かするぐらいで済んだからよかったけど・・・」
「偶然じゃない。」
「・・・え?じゃ、あんた、『核』の正確な位置を知ってたの?」
「いや。知ってたわけないだろ。21話では、ナイフよりでかい包丁だったから、当たったけどな。」
「じゃ、やっぱ偶然じゃない!」
「戦闘中に何回かこいつの頭を殴って位置を確認した。『核』とこいつの体を構成している物質は違うから、力のベクトル線上に『核』があるかないかで、力の伝わり方が違うだろ。角度を変えて何度か殴れば位置はつかめる。」
「・・・何かよくわからないけど・・・じゃあ・・・初めから、モノクロ助ける気だったの・・・?」
「敵の狙いは俺をツブすか、こいつをツブすか、相打ちにさせるかのどれかだろ?策略に乗ってやる気は毛頭ないからな。」
アドは顔を曇らせ、うつむきます。
「・・・ごめんね・・・私、余計なコトして・・・」
「ホントにな。」
「・・・『気にするな』ぐらい言えないのか、あんたはーっ!」
「・・・・・・」
「・・・ナッシー?」
「・・・お前、俺が大丈夫なのかとも聞いたよな。」
ナックルジョーの額には、うっすらと汗がにじんでいます。
「はっきり言って、まともな戦闘が出来る状態じゃねーな。『邪悪な物質』がまだ体の中に残っていやがる。」
「ちょっ・・・どーすんのよ!?」
「ナックルジョー。ビーム、どのへんに当たった?」
「きゃーっ!?」
いつの間にか、カイムがアドの後ろにいます。
「モノクロ!あんた、いきなり起きて、だいじょ・・・」
「当たる瞬間、とっさに右に避けたからな。左肩のへんだ。」
「わかった。」
カイムはナックルジョーの左肩に手をかざします。すると、黒い電撃が徐々に消滅していきます。
「・・・いきなり起きても大丈夫みたいね。モノクロ、回復技使えたの?」
「ナックルジョーの体内にある『邪悪な物質』を分解しているから、『回復』じゃなくて『解毒』みたいなモノかな。21話で皆無が僕から『邪悪な物質』を分離させてたでしょ?ソレと同じ原理だよ。」
カイムは真顔で説明をまくし立てます。
「・・・モノクロ・・・え、え〜とね・・・」
「・・・・・・」
「あんたは・・・ほら、乗り移られていたんだから・・・」
「僕がやったコトには変わりないんでしょ。」
「でも、あんたのせいじゃ・・・」
どこぉっ
突然、ナックルジョーがカイムのあごを蹴り上げます。
「ぁいたぁー!?」
「ちょちょちょっと、ナッシー!あんた何死者にむち打つようなマネを・・・」
「辛気くさい顔すんじゃねーよ。気色が悪い。」
「あ、あんたね・・・言っていい時と悪い時が・・・」
「はーい♪承知仕りました〜♪」
「・・・モノクロ?」
カイムは起きあがると同時に、いつもの表情に戻ります。
「ちょっと、モノクロ。あんた、蹴られた上にキツい言葉吐かれたのよ?」
「そーだねー♪えへへ〜♪・・・あ、解毒治療終了で〜す♪」
カイムはナックルジョーの左肩にかざしていた手を離します。
「しばらく動かない方がいいな〜♪短時間だけど痛覚を強烈に刺激されてたから、神経とかがまだうまく働かないと思うよ♪」
「そうみたいだな。」
カイムの言葉を裏付けるように、ナックルジョーはぎこちなく手を動かします。
「・・・質問。」
アドがそっと手を挙げます。
「『邪悪な物質』が体内に入ると・・・どのくらい痛いの・・・?」
「どのくらい痛いの、ナックルジョー?」
「・・・そーだな・・・」
「体験した方が早いんじゃねぇの?」
唐突なセリフと共に、球形の黒いビームが3人目がけて飛んできます。
「2人共、伏せて!」
カイムは握りこぶし大の赤い球体・・・NOTHING−CRを素早く出現させると、ビーム向けて放ちます。
どごぉんっ
上空で、2つの攻撃が打ち消し合いました。
「何?何?何なの!?」
「・・・・・・最悪だな。」
「え?」
3人の前方に、ビームを放ったと思われる人物が着地します。
「・・・・・・皆無再び?」
カイムそっくりの顔立ちで深紅の瞳をしていますが、髪は漆黒です。灰色のコートにはそでがあり、ちゃんと手が覗いています。
「僕はそーゆー名前じゃねぇよ。『ルート』って名前だ。」
「ゼロ様も懲りないな〜。同じの3回も創るかな、フツー?」
「お前みたいな駄作と一緒にすんなよ。」
「僕が駄作なら、そっちは三番煎じでしょ。」
辺り一面にピリピリと殺気が立ちこめます。
「駄作って言われるの、嫌か?・・・じゃ、『蛇足』は?戦闘道具のクセに、他人の感情なんて無駄なモノを取り込んだお前にはぴったり、だろ?」
「・・・っ!」
ルートのセリフが終わると同時に、カイムは地面を蹴ってルートの方へ走っていきます。
「あのバカが・・・わかりやすい挑発に乗りやがって・・・」
「私もぅ、展開についていけなーい!」