吸引戦隊カービィファイブ
〜さらに戦闘〜
前回のあの人は今的なあらすじ
ワドルディっス!
デデデ大王だー・・・って、「あの人は今」とは何だ!?
オイラ達、最近出番がさっぱないっスからねぇ。とにかく、あらすじっス。
カイムさんが敵に乗っ取られて、色々大変だったみたいっスけど、ジョーさんが少々強引な方法で元に戻したみたいっス!
一段落ついたと思ったら、「ルート」とかいう敵が出てきたらしいな。
「皆無」の使い回しっスかね?
そろそろネタ出しがやばいとか?
新キャラ導入ってのは、それなりにネタに困っているって場合があるっスからね。
苦しみ紛れっぽいっスね!パクリに走るよりはマシだと思うっスけど。
・・・お前、結構言うのだな・・・。
打ち寄せる波の音をBGMに、キービィとソービィが磯に座り込んでいます。
「ぜんそく治った、ソーちゃん?」
「・・・ぜんそくじゃなくて、ただの息切れなんだけど。」
「あのくらいの距離で息が切れるなんて、体力ないね。ボクは、中辛カレーを食べた時程も堪えてないよ。」
「・・・・・・・・・」
ソービィはツッコミをする気にもならず、視線を泳がせます。すると、海面上に不審な泡を発見しました。
「・・・?何、アレ・・・」
「はどう、ビームぅ!」
「わー!?」
キービィは泡目がけてはどうビームを撃ちました。着弾地点を中心に、電流がバリバリと流れます。
「きびりん、いきなり何を・・・」
「スパイスは薫りが逃げないウチに調理!怪人は巨大化する前に巨大ロボで!センテヒッショーってヤツだよ!」
ぷかっ・・・
海水浴場の浮きのごとく、ピンクと緑と赤の球体が浮かび上がりました。
「ぅわー!もしかしてと思ったけど、やっぱりー!ちょっと、きびりーん!」
「センテヒッショー!三色海坊主を退治した!」
「・・・・・・・・・(そ言えば、リボンちゃんはドコへ行ったんだろ・・・)」
ツッコミする気にもならないソービィは、別問題へと逃避しました。
カイムはルートへ向かって走りながら、両手の間に小さなNOTHING−CRを発生させます。
「モノクロ!あんた、さっきまで倒れてたんだから、あんまりムチャは・・・」
ずどんっ
NOTHING−CRを地面へ向けて放ち、大量の砂煙を上げました。
「ちゃちぃ手だなぁ。」
ルートは自分の周囲にDARK−Fを発生させ、さらに、前方にも発生させ爆発を起こし、砂煙を吹き飛ばします。
「・・・ん?」
砂煙が晴れると、そこには先ほどのより遙かに大きいNOTHING−CRを発生させたカイムがいました。
「喰らえぇ!」
カイムはルートへ向けてNOTHING−CRを放ちます。NOTHING−CRはルートの前にあるDARK−Fを全て消し去り、ルートに届きました。ルートはそれを両手で受け止めます。一気に大量の邪悪な物質を消費したため、カイムは少しふらつきましたが、どこからか黒い球体を取り出すと、口に放り込みました。すると、髪の毛の黒い部分が幾らか回復します。
「・・・ソレ、ダークマターの『邪悪な物質』を圧縮したモノだな?侵略した各惑星に配置していた奴のか。NOTHING−CRの威力調整も出来るようになってるみてぇだし。既存のデータと比べて、多少強くなっているな。」
カイムは回復したのもつかの間、再びNOTHING−CRの攻撃態勢に入ります。
「ちょっと、モノクロ!あんた、例え回復出来たとしても、大技の連続使用には耐えられないんでしょ!ムチャすんなって言ってんのよ!」
カイムはアドの声に耳を貸さず、ルートを睨み付けています。
「聞きなさいよ、こらー!」
「言うコト聞かせたかったら、俺がやったみたいにあいつの頭にナイフを突き刺してこい。叫ぶだけ無駄だ。」
「そんな物騒なマネ、出来るかぁー!」
「・・・お前、画材はどのくらい持って来たんだ?」
「え?・・・・・・・・・あ。慌てて来たから、絵の具すらロクに持ってない・・・。スケブと筆とペインティングナイフと筆洗油と・・・・・・何で絵の具がないのに、ペインティングナイフとかがあるのよー!・・・て、そんな場合じゃないのよ!ああもぅ、私も書いてる本人も何が何だか・・・とにかく、モノクロ!攻撃中止、中止!」
「そこの騒がしい茶髪。安心しな。こいつ、すぐに攻撃もできねぇ状態になるから。」
ルートはそう言うと、NOTHING−CRを押さえつけたまま、カイムに向かって突進します。
「このっ・・・!」
「遅ぇな!」
カイムはNOTHING−CRを放とうとしましたが、それより先に、ルートが一発目のNOTHING−CRを二発目に叩きつけました。
ずどぉんっ
赤い光が弾け、一瞬遅れて強烈な爆風が辺り一面を襲います。カイムは幾らか吹き飛ばされましたが、前傾姿勢を取って地面に着地し、踏みとどまりました。そして例の黒い球体を取り出し、再び回復しようとします。
「させるかっての。」
「ぅわぁっ!?」
いきなりルートがカイムの目の前に現れ、カイムの頭を鷲掴みにしました。
「ま、回復されたトコロで、出来損ないの戦闘道具がしてくる攻撃なんて大したコトねぇけど。・・・・・・大人しくしていればよかったのに、たかが道具の分際で感情なんか持つから、こんな無様なコトになるんだよ。」
「君だって・・・道具でしょっ・・・」
「・・・・・・あ?」
ルートの手に力が籠もります。
「ぅわあぁっ!?」
「言葉は選べよ。僕が道具?ふざけんな。お前なんかとは違うんだよ!熟れた柘榴みたくされてぇの?」
「やれるものなら・・・・・・やってみろぉ!」
どすぅっ
ルートの背中から、黒いビームが突き出ます。漆黒の髪の下から送られてくる鋭い視線をルートは見据えると、薄く笑い口を開きました。
「だからな、無様だって言ってるだろぉ?」
黒カイムの頭を掴んでいるルートの掌が赤く光ったかと思うと次の瞬間、爆発が起こり、黒カイムは後ろへはじき飛ばされます。仰向けに地面に倒れた後、髪の毛の黒い部分がほとんど消え、カイムに戻りました。ルートに突き刺さったビームは拡散し、消えます。
「『核』がないトコロを攻撃しても、無駄だっての。」
「モノクロ!」
アドはとっさに駆け寄ろうとしますが、ナックルジョーに腕を掴まれます。
「クラッコを呼んでおけ。」
「は?クラッコ?」
「お前、徒歩でここまで来たんじゃねーだろ?クラッコを近くに待機させて、逃げる準備をしていろ。」
ナックルジョーはそう言い終わると、2人の方へ走り出しました。
「えーと、金髪の奴は確か、物理攻撃専門だったっけ?相性サイアクだぞ?」
ルートはビームを振るいます。ナックルジョーは紙一重でかわしましたが、間髪入れずにDARK−Fが衝突してきます。
「格闘メインの奴なんて、接近させなきゃ楽勝・・・・・・!?」
DARK−Fの爆発が途切れる一瞬を突いて、ナックルジョーが何かのビンを投げつけました。ルートはビームで切り払いましたが、中身の液体が降り注ぎます。
「・・・うっわ!?キっちぃ匂い!何だ、コレ?」
「筆洗油。」
いつの間にか、ナックルジョーは間合いを詰め、ルートのすぐ近くにいました。右手にはペンライトを逆手に持っており、点灯部分の反対側には、青白い電流がバチバチと踊っています。
「・・・火気厳禁だ。」
ナックルジョーは放電している部分を、筆洗油をたっぷり吸ったコートに押しつけます。
ボンっ
短い爆発音がし、ルートの上半身のほとんどは炎に包まれます。
「・・・あいつ、ヒトの筆洗油をいつの間に・・・でも、やったわね!勝ち、勝ち!」
発火直後、ナックルジョーは踵を返し、カイムの襟首を掴んでアドの方へと駆け寄ります。
「浮かれるな!逃げるぞ!」
「は?何でよ?」
「あんなの、足止めにもならねぇ!ただの目くらましだ!」
「じゃ、今のうちに攻撃をどこどこ叩き込めばいいじゃないの!」
「相性が悪い上に本調子じゃねー俺の攻撃に期待出来るか?一旦退くぞ!」
「まだ退くなよ。始まったばかりだろ?」
ずどんっ
突然、クラッコがNOTHING−CRによって吹き飛ばされます。ナックルジョーはすぐさま振り返りましたが、NOTHING−CRは目前まで迫ってきていました。
「ちっ!」
右手でカイムの襟首を掴んでいるため、左腕1本でガードしますが当然防ぎきれず、はじき飛ばされます。
どごおっ
ナックルジョーはアドのすぐ横の岩壁に叩きつけられました。
「ちょ・・・ちょっと!大丈夫!?・・・・・・何であいつ、火傷1つないのよ・・・」
「あぁ。僕、フツーの生物とは違って、身体構成物質が有機化合物じゃねぇから。油が燃え尽きたら、ソレで終わり。」
アドは、ナックルジョーの方へ視線を戻します。
「ナッシー、どーするの!?クラッコ、倒されちゃったわよ!逃げるの無理なら、戦うしか・・・・・・あ!さっきの、ペンライトみたいなスタンガンみたいなアレは!?使えない?」
「・・・アレは市販のペンライトを改良して、スタンガンの機能をつけただけの代物だ。フェイント等で使うならともかく、単体じゃ大した戦力にはならねーぞ。」
「改良って言うより、改造って感じだけど・・・」
「お前、スケブに何か役に立つ奴を描いてないのか?」
「このスケブ、まだあまり使ってないのよ。最近描いたのと言えば・・・・・・あ!」
アドは急にスケッチブックをペラペラめくって、あるページを開き、ルートに向かって掲げます。
「・・・・・・ん?」
ずごごごごっ
突如、地面が盛り上がり、大量の木が防護壁の様にそびえ立ちました。
「茶髪の能力『絵画実体化』か。でも、たかが木。こんなの軽く・・・」
ルートは木々に向けて掌を向けてNOTHING−CRを使おうとしましたが、すぐに手を引っ込めます。
「・・・逃げた?」
先ほどの場所からある程度離れた海岸線にナックルジョー、アド、カイム、それにリボンが現れます。
「間に合って、よかったです!私が今持っているクリスタルでは、中距離テレポート1回が限度ですけど、一応アドさんの後を追ってみてよかったです!」
「ありがと。助かったわ。えーとー・・・そ言えば、まだ名前で呼びかけたコトがなかったわよね。うーん・・・じゃ、ハネッコ。」
「・・・某ゲームがお好きなんですね・・・」
「それより、ナッシー!私の機転、スゴいでしょ!風景を実体化よ!39話で描いててよかった。役に立つでしょー!」
「・・・肝心の絵の具を忘れた間抜けは、ドコのどいつだ?」
「いいじゃないの!あんたも私の筆洗油を使ったでしょ!」
すると、仰向けに地面に転がっていたカイムが目を開き、体を起こします。そして例の球体を2、3個ほど取り出し、次々に口へ放り込みました。
「・・・あんた。ちょっとは落ち着きなさいよ。通常でも、落ち着いていないも同然だけど。せめて、人の言うコトを聞くぐらいは・・・」
「3人共、すぐに逃げて。」
「・・・え?」
カイムはある方向を見据え、口を開きました。
「まだ、逃げ切れていないよ。」