吸引戦隊カービィファイブ
〜しつこいまでに戦闘〜
前回の切っても離れません的なあらすじ
やっほーぃ♪キービィだよん。
はあぁーぃ♪うめぼっちだよ。・・・ねぇねぇ、ボクらって、切っても離れないの?
ボクをカレー、うめぼっちゃんを福神漬けに見立てているんだと思うよ。
カレーと福神漬けは切っても裂いても離れないでしょ!
・・・ボクは切ったり裂いたりされるぐらいなら、とっとと離れるコトを望むなぁ・・・。
では、カレーを彩る福神漬けのような、お話をさらに楽しむためのあらすじいきまーす!
カイムは新しい敵のルートをやっつけようとしたみたいなんだけど、ダメだったみたいなんだよね。
ボクも、どんなに頑張っても、ジャガイモが影も形もなく煮え潰れて、ダメだったってコトがあったよ。
ピンチ!?と思ったけど、リボンちゃんがやって来て、クリスタルのテレポートで逃げるコトが出来たんだよね。
リボンちゃん、オイシい出番だなぁ、いいなー。
逃げた!と思ったけど、まだ逃げ切れてないみたいなんだよね。
ボクも、世界各地から色んなスパイスの原料を持って帰った時に税関でちょっと引っかかって、説明するのがめんどくて逃げたら何人か追いかけてきて・・・逃げ切るのは大変だったよ。(元ネタは外1と同じ作品です)
ソレって、マズいんじゃないの、ムーくん?
マズくないよ。選りすぐりのスパイスだよ、うめぼっちゃん。
「逃げ切れていないって、何で!?ぱーっと、テレポートしたでしょ!」
アドが身を乗り出しながら叫びます。
「同種族なせいかな。あいつがそう遠くない所にいて、だんだんこっちに近付いてくるのがわかるんだ。・・・というコトで、3人共早く逃げてよ。」
「気になってたんだけど・・・『3』人?あんたは、どーするのよ!?」
「そりゃー、ここにいて、足止め役をするに決まってるでしょ。」
「何言ってんのよ!さっき、全っ然敵わなかったクセに!足止め役なんて出来るわけないでしょ!一緒に逃げるわよ!」
アドは掌をカイムに差し伸べますが、カイムはそっと押し返しました。
「僕が、大体だけどあいつの位置を感じ取れるというのが、どういうコトだかわかる?」
「・・・?」
「相手もお前の位置がわかるってコトだろ?」
「・・・あ・・・」
「そういうコトなんだよ、アドちゃん。発信機とわかりきったモノをぶら下げて逃げるつもり?」
アドは一旦うつむきましたが、すぐに顔を上げてカイムにまっすぐ視線を向けます。
「だからと言ってね、置いていくなんて認めない。とにかく、私は絶対認めないから!」
「あ、あの・・・私も・・・1人残して逃げるというのはあまり・・・」
「・・・じゃ、戦闘アドバイザーさんの意見を聞いてみようか〜♪」
カイムがセリフを言い終わるのとほぼ同時に、アドはナックルジョーの方へ顔を向けます。
「・・・あんた・・・この期に及んで、冷然な判断を下すんじゃ・・・」
「敵に位置をバラしながら逃げるなんて真似をする気はない。」
「さ〜すが〜♪話がわかるねー♪」
「ちょっと、ナッシー!本気!?」
「当たり前だろ。正確に言えば『逃げる』んじゃなくて、『他の奴らを捜す』だ。逃げ切れなくても、全員合流出来さえすればいい。・・・この星で回収したクリスタルが全部揃えば、この星から脱出出来るんだろ?」
「はい、出来ます。惑星間ワープが可能になります。」
「手元には探知機代わりのクリスタルがあるし、あいつらも俺達を探しているという可能性もある。逃げる距離も時間も、そんなに長くならないと推測出来る。だが、こんな奴を同伴させてたら、合流して脱出する前に全滅だ。」
「・・・というコトなの♪はいはい、逃げて逃げて♪」
「だから!私は納得いかないの!ナッシー、意見変えなさいよ!」
「こいつを連れてたら、迷惑だと言っているんだ。」
「あのねぇ!あんた・・・」
「だけどな。」
「?」
「勝手に無駄死にされても迷惑だ。」
アドとカイムの顔にいぶかしげな表情が浮かびます。
「俺も残る。」
「・・・はぁっ!?」
アドはひっくり返った声を上げます。
「2人掛かりなら、だいぶ時間が稼げ・・・」
すぱーんっ
小気味よい音を立てて、カイムがナックルジョーの後頭部を平手打ちしました。
「何しやがる!」
「前言撤回!話のわからない戦闘アドバイザーさんだなー!『3』人で逃げてって言ってるでしょ!物理攻撃専門・接近戦主体のナックルジョーは相性が悪いんだって!」
「別に倒すわけじゃねーだろ。こいつらが他の奴らと合流するまで、やられずにいればいいだけだ。少々ダメージがひどくても脱出さえしてしまえば、次の星で回復出来る。俺はヘルパーだから短時間で全回復出来るし、お前も回復用の『邪悪な物質』を持っているんだろ?」
「いいから、アドちゃん達と逃げてよ!て言うか、逃げろッ!コレはもぅ、お願いじゃないからね。『命令』だよ。」
「はぁ?ふざけ・・・」
ナックルジョーはいきなり、眼前に長細いモノを突きつけられます。
「あいにく、ふざけてないんだよね。本気なんだ♪」
「・・・モノクロ、何ソレ。割り箸みたいだけど・・・?」
「割り箸だけど、ただの割り箸じゃないよ♪先に『K』って書いてある割り箸だよ♪・・・やっぱ、オイシいモノって、後に取っておくべきだよね〜♪」
「・・・?」
「お前、まだそんなモノ持って・・・」
「2番さんに命令です!2人を連れて逃げてぇ!」
「・・・・・・・・・」
ナックルジョーは不満そうな顔をしていましたが、アドの腕とリボンの羽根をつかむと、海岸の反対側にある森へ向かって走り出しました。
「ちょっ・・・離しなさいよ、ナッシー!」
「離して下さい、ナックルジョーさんー!痛いです、痛いです!壮絶に痛いです〜!羽根が千切れますー!」
すると後方から、小さめのNOTHING−CRが飛んできます。
「ナッシー、よけて!当たる、当たるー!」
ずどんっ
直撃する前に、カイムが同程度のNOTHING−CRを当てて相殺します。ナックルジョーはアドとリボンを引っ張って、森の中へ入っていきました。
「ドコで何が役に立つかわからないな〜♪くじ運が良くてよかった♪」
カイムの前方の地面に、ルートが降り立ちます。
「そのクセ、自分から望んで貧乏くじ引いたみてぇだな。足止めねぇ・・・・・・出来んの?」
「・・・出来るか出来ないかって言うより、やるかやらないかって感じかな♪」
「離せって言ってんのよ、ナッシー!」
望み通り、ナックルジョーはアドの腕を離しました。かなりスピードの乗った状態でいきなりに。
「きゃー!」
アドは前方の木の幹に抱きつく形で停止します。
「いきなり離すなぁ!」
ナックルジョーはリボンの羽根も離します。
「お前等、他の奴らを全員探してこい。」
「・・・え?」
「あいつ1人で稼げる時間なんて、たかが知れてる。俺も足止めをしてくるから、その間にこの星から脱出出来るよう状態を整えろと言っているんだ。」
「私も行く!」
「・・・・・・はぁ?」
「誰かが戦っているのに、自分は逃げるなんて癪なのよ!私も足止めする!」
「・・・冗談はTPOを考えて言え。」
「本気よ。」
「絵の具を持っていないお前が、何の役に立つんだ?」
「スケブには、グーイがいるし・・・何とかなるわよ!いないよりはマシでしょ!」
「つまり・・・何の考えもないも同然なんだな?」
「ハイパーゾーンでもソコソコいけたんだから、今回だって何とか・・・」
突然、ナックルジョーはアドの襟元をつかんで木に押しつけ、首筋にナイフの刃を当てます。
「なっ・・・何すんのよ!」
「下手に動くと、口が1つ増えるぞ。・・・ハイパーゾーンの時と比べて、状況は遥かに悪いんだ。俺もカイムも、前の戦闘のダメージが結構残っている。どんな報酬を約束されようが、お前を守ってやる余裕はない。」
「別に、守ってもらう必要なんてないわよ!」
「じゃあ、今の状態は何だ?」
「・・・い、いきなりだったから、ちょっと油断しただけよ。」
「こんな攻撃も避けられないぐらい油断する奴は、いない方がマシだ。」
「・・・・・・だって・・・」
「誰かが戦っているのに、自分は逃げるなんて癪だ?戦うだけが戦闘じゃない。今の自分に向いた役割を考えろ。」
ナックルジョーはアドから離れると、来た道を戻っていきました。
「・・・アドさん。確かに、私達は加勢するより、カービィさん達を探した方が・・・」
「・・・わかってるわよ。ナッシーが言ってるコトがもっともだってコトは。」
「じゃあ・・・」
「だから、余計にムカつくー!」
アドは天を仰ぎ、大声を吐き出します。
「あ、あの・・・」
「あいつがどんなに理論武装しようが、もぅ知ったこっちゃないわ!何が何でも、戦闘に参加してやるんだから!」
「あ、アドさん・・・ソレは・・・」
「ハネッコ!」
「は、はい?」
「力の限り、カーくん達を探して!急いで!」
「・・・わ、わかりました!」
説得はもう無理だろうと思ったリボンは、上昇して森から飛び出し、クリスタルの光を頼りに飛んでいきました。
「・・・よし!じゃあ、加勢に・・・・・・・・・」
草木が鬱蒼と茂る空間の中、アドはポツンと立ちつくします。
「えーとー・・・・・・・・・どっちから来たんだったっけ・・・」
「わぁっ!」
ルートの攻撃によって吹き飛ばされたカイムは、森の端にある木の幹に叩きつけられました。
「やっぱ、無理があるんじゃねぇの?」
「・・・・・・」
カイムは立ち上がると、攻撃・回避等が即座に行えるよう身構えます。
「・・・代わりに笑えると思ってんの?」
「え?」
ルートは顔を傾けて、上目遣いに笑います。
「所詮、戦闘道具が本当に出来るコトなんて、戦闘だけだ。感情を得て笑おうが何をしようが、表面上のコトでしかないんだよ。」
「・・・・・・違う!」
カイムはNOTHING−CRの攻撃態勢に入ります。
「お前の笑いは、偽物だ。」
「・・・偽物なんかじゃないっ!」
ルートはカイムがNOTHING−CRの攻撃キャンセルを出来なくなった頃を見計らい、カイムに向かって突進しました。
「ほんっと、簡単に挑発に乗るなぁ。・・・威力調整が出来るようになっても、攻撃前に動けないのは変わってねぇんだろ?」
ルートはカイムの横側に回り込み、小振りのNOTHING−CRを発生させます。
「コレで足止め終了だ!」
NOTHING−CRがカイムに向けて放たれました。しかし・・・
ひゅっ
当たる寸前、カイムの姿は森の中に消えます。目標を失ったNOTHING−CRは海の中に突っ込み、大きな水飛沫を上げました。
どごおぉっ
木々をなぎ倒し、森の中からNOTHING−CRが飛び出してきます。まともに喰らったルートは、吹き飛ばされ、海面に叩きつけられました。なぎ倒された木の向こうに、カイムと、カイムの襟首をつかんだナックルジョーがいます。
「久しぶりの二人羽織砲〜♪・・・って、逃げてって命令したじゃない!」
「・・・お前、『逃げ切れ』とは言わなかっただろ?」
「そんな揚げ足取られても〜!じゃ、もう一回!」
カイムは再び、例の割り箸を取り出します。
「2番さんに命令!さっさと逃げ・・・」
ばきぃっ
ナックルジョーは手の甲で払うようにして割り箸を折ります。折れた破片は狙ったかのようにカイムの眉間にクリーンヒットしました。
「痛ぃー!当たった、当たった!トゲ刺さったー!毛抜き持ってない!?」
「2度もお前なんかの言うコトを聞いてたまるか。」
「・・・・・・・・・」
カイムはきょとんとした表情を浮かべていましたが、いつもの顔に戻りました。
ざばぁっ
海の中からルートが出てきます。海水でぐしょぐしょになった髪を掻き上げながら、やはり上目遣いで笑いました。
「探す手間が省けたなぁ。タッグでも何でも、好きなようにしたら?」
「ただのタッグと思うなよ。」
「吸引戦隊カービィファイブ最強コンビなんだ♪」