吸引戦隊カービィファイブ
〜ついに、直接対決なのぉ!?〜

 


「こーんにーちはー♪」

カービィの家にカイムが入ってきます。

「あ、カイム。今日は何?」

「今日はねー・・・戦いに♪」

カービィ達5人は呆然とします。

「・・・えーと・・・つまり・・・」

「・・・あと2人そろえたら?勝ち目ないよ♪」

カイムの周りに、あの赤い物体が出現します。その物体は、カービィ達に向かって一直線に飛びました。

「きゃーっ!?」

カービィ達はよけると同時にグーイ格納庫へ向かって走り出します。

「確かに・・・ボク達5人じゃ勝てないよ・・・」

「だからといって、アドちゃんはともかく、ジョー探してる暇ないし。」

「何走ってんだ、お前ら。」

ゲームセンターへ向かう途中のナックルジョーです。

「ぅわーぁ♪ジョー♪今までで、一番都合のいい現れ方を・・・」

5人がナックルジョーに群がります。

「くっつくんじゃねーっ!離れろ!」

「うん、わかった。じゃ、カイム頼むよ。」

カービィ達は房から取れるブドウの様にナックルジョーから離れます。そして、グーイ格納庫へ向かって走り去りました。

「・・・何!?カイムだと!?」

「きゃああぁーっ♪ナックルジョー♪」

声は嬉しそうですが、しっかりあの物体を飛ばしてきます。ナックルジョーは全てきれいにかわします。

「・・・ちっ。家でおとなしくスマブラしときゃよかったぜ。」

 

カービィ達はグーイ格納庫にたどり着きました。

「あっ、カーくん。グーイの調整、今終わったんだけどね、イイ感じだと思う?」

「きゃーっ♪アドちゃんも、すっげー都合よく・・・」

「は?」

「カイムが来たの!今度は本気で攻撃してきてんの!ジョーがくい止めてるから!アドちゃん、サポートに回って!みんなぁーっ、出動だーっ!」

「乱暴にしないでよ!通路にお花飾ったんだから!」

「何で巨大ロボに装飾が必要なのさーっ!」

 

赤い物体が飛びます。しかし、ナックルジョーは攻撃パターンを完璧に見切っています。最小限の動きでかわしました。

「もー、よけないで〜♪」

カイムは「手」でナックルジョーを押さえつけようとします。

「何度も通用すると思うなよっ!」

ナックルジョーは「手」が体に触れる前につかみ取りました。

「すっごーい♪気配、ほとんどないのに〜♪」

すると、アドがグーイ格納庫から走ってきます。

「ナッシー、加勢するわよっ!」

「やっかいな『手』は押さえた。あいつに打撃攻撃はあんまり効かない。クラッコみてーな電撃とかを使う奴を描け。」

「おっけー!」

「・・・『押さえた』・・・?違うなー♪・・・攻撃目標、アドちゃんに変更!」

カイムの「手」はナックルジョーの手をすり抜け、アドに向かって飛びます。

「きゃーっ!?」

アドは勘でよけます。

「おまたせーっ!グーイだよーっ!」

グーイは舌を伸ばします。

「ビン詰めはイヤだなー♪」

カイムは跳んでかわします。

「・・・攻撃目標・・・グーイに変更♪」

グーイはいきなり、後ろへはじき飛ばされました。近くの山にめり込みます。

「いったー・・・あっ、画面に『グーイ行動不能』のメッセージが・・・」

「きゃあ!」

カービィがうつぶせに床に倒れ込みます。

「どしたの、かびりん!」

「お・・・起きあがれない〜っ!」

「えっ、立ちくらみか何か!?」

「違うよっ!何かに押さえつけられてんのっ!苦しい〜・・・」

 

「桃くんは『左手』が押さえた。普通、僕の『手』は、視界の中に写ってなきゃ動かせられないんだけどね。視界の外の『手』を動かすのは、目をつぶってラジコンを動かすのといっしょなの♪だから、『相手を押さえつける』ぐらいの単純なコトは、視界の外でも出来るんだ♪」

「何で、カーくんを押さえんのよっ!」

「だって、ヘルパーは桃くんがいる限り、体力回復が出来るんでしょ?ずるいじゃない、そんなの♪」

「ずるいってねー・・・いきなり攻撃しかけてくる方がずるいんじゃ・・・」

ナックルジョーはいきなりアドの額を軽く叩きました。

「きゃ、いったー・・・あんたもずるい!」

「ずるい、ずるくないなんて悠長なコトを言えるほどお前は強いのか?戦闘能力が低い奴は下がってろ。」

そう言い終わると、カイムに向かって走り出します。

「きゃー♪これで、どのくらい強いか、はっきりわかるね♪」

「ファイターと戦って、無事にすむと思うなよ。」

2人が森の中に消えます。それから、数秒も経たないうちに、大量の木がなぎ倒されます。

「きゃーっ!地球に優しくない戦い〜っ!・・・地球じゃないけど・・・」

 

「あ、ポポくん、雨が降ってきたよ。」

「カビちゃ〜ん、まだ動けないのぉ?なべの底に固まってるカレー・ルーみたいだね・・・」

「変なたとえはやめてよっ!」

「変!?カレーのどこが変なのさぁぁっ!」

「きびくん、落ち着いて!カレーは変じゃない、変じゃないから!変なのはきびくんだから!」

「あ、名案!ほしりん、手伝って!」

「うん、いいよ、アッくん。何すればいいの?」

「かびりんの周りを火だるまころがりして。」

「まかせて〜♪火だるまころがりぃ!」

技名の通り、火だるまとなったうめぼっちが、カービィの周りを回ります。

「・・・とゆーコトは・・・あち、あち、あちちちちぃ!」

「かびくん、郷ひ●みの歌を歌う?」

「歌わないよ!あっついよーっ!」

「うぇー・・・回ってたら、気持ち悪くなったぁ・・・ボク、ちょっと外に行ってくる・・・」

「うん、行っといで。ありがと、ほしりん。で、ボクが・・・」

ソービィがうめぼっちが火だるまころがりした跡に沿ってこちこち吐息をします。

「さて、かびりん、色んなトコで使われてる方法です。熱したモノを急に冷やすと・・・?」

「えーと・・・もろくなって、ヒビが入って・・・きゃーっ!?」

カービィがいる所の床が抜けます。ソービィが冷やした部分にはいくつものヒビが入っていました。カービィは下に落ちたことによって、位置がずれ、「手」から逃れられました。

「ジョーの体力回復とかが出来るのはかびりんだけだよ!早く行って!ボクらは出来るだけグーイを直してみるから!」

「うん、わかった!あ、でも・・・どっから出よう・・・今落ちたトコは狭くて飛んで出られないし・・・」

「かびくん、左を見て!」

「左・・・」

カービィの左側には扉がありました。その上には「非常口」と書かれた緑の明かりが灯っています。

「・・・こ、これは・・・」

「アドちゃんが作ったの!」

「・・・あ、遊んでんなー・・・」

 

「とらえたよ!」

ナックルジョーはカイムの攻撃をよけたばかりで、体勢が整っていませんでした。カイムの右手が首に当たります。それだけでは止まらず、垂直な崖に押さえつけられました。

「いってー・・・」

「やっぱり、相手の攻撃が当たる確率が低い僕の方が少し有利かな?」

カイムの周りにまた、あの物体が出現します。

「うまく心臓に当たるといいけど。同じ殺すのなら、苦しんでもらわない方が罪悪感ないし♪」

「殺すだと・・・?」

ナックルジョーへ向かってあの物体が飛びます。

「誰に向かって、口をきいてると思ってるんだぁっ!」

首を固定されたままで、体を上げ、逆立ちの状態になります。あの物体は全て崖に突き刺さりました。

「このぉ!」

ナックルジョーは勢いをつけ、崖に向かって足を振り下ろします。あの物体が砕けた破片が下にボロボロと落ちました。カイムはナックルジョーに近づきます。

「わーぉ♪すごいねぇ♪でもさ、状況は変わってないんじゃない?」

「そう思うか?さっきからの雨でここら辺の地盤はかなりゆるんでいるはずだ。そこに衝撃を与えたら・・・」

上から、「ごごごごご・・・」という音が響いてきます。カイムは崖の上を見上げました。

「・・・え?」

土砂崩れです。さっきのナックルジョーの足での一撃によって起きたようです。

「うっそー・・・いくらなんでも、これは・・・」

カイムは後ろへ下がって崖から離れようとします。

「逃がすかぁ!」

ナックルジョーはハチマキの片方の端を引っ張ります。どういう結び方かは知りませんが、ハチマキはすぐにほどけました。そして、もう片方の端をカイムの足に向かって伸ばします。ハチマキは見事に、カイムの足に巻き付きました。

「え〜っ!?」

カイムはハチマキを引きちぎります。しかし、間に合いません。2人の上に大量の土砂が降り注ぎました。

 

「ちょ・・・ちょっと、ちょっと・・・ナッシー!」

アドが「元」崖の前にかけつけます。

「あ・・・相打ちなんてコトはないわよね・・・」

「ぷはっ!」

土砂の山の頂上からナックルジョーが顔を出します。

「ナッシーっ!大丈夫〜っ!?」

「大丈夫じゃねーよ。髪が泥だらけだ。」

ナックルジョーは体中の泥をはらいながら、土砂の山を下りてきます。

「大丈夫みたいね。・・・モノクロは?」

「さあな・・・ぅわっ!?」

ナックルジョーは土砂の山から落下しました。かなりの高さから地面に激突します。

「いってー・・・」

「な・・・何!?背中押されたみたいだったけど・・・」

「押されたんだよ。」

ナックルジョーは土砂の山に目を向けます。カイムが笑顔を崩さずに立っています。頭から大量の血が流れていますが。

「けっこー効いたなー♪おっきな岩があるんだもの。割られたスイカみたいになるかと思った♪」

「これで、さっきの様な戦闘はできねーだろ?」

「お互いにね♪そっちも、さっきの地面への激突で片足折れたんじゃない?」

「ナッシー、ホント!?こっち!?こっちが折れてんの!?」

アドがナックルジョーの左足をひっつかみます。

「いってーっ!そうだ、そっちが折れてんだっ!触るなぁっ!」

「えーと、えーと・・・押すか、引っ張るかしたら治る?」

「突き指じゃねーんだぞっ!」

「今度こそ・・・よけられないね・・・」

カイムの髪の黒い部分が少しずつ減っていきます。カイムの前方に直径1メートルほどの赤い球体が出現します。

「今までの技とは違うからね!」

赤い球体が放たれます。ナックルジョーは両手を前に突き出し、押さえました。しかし、片足では支えきれず、少しずつ後ろへ下がっていきます。

「・・・」

カイムの顔から笑みが消えました。息がかなり荒くなっています。髪の毛は、ほとんど白色になっていました。

「これがダメだったら・・・つらいなー・・・」

アドは呆然と前方を見ています。

「おい、アド。」

「・・・」

「アド!」

「・・・ふぇっ、な・・・何?」

「重量級の力がある奴描け!俺1人じゃもたねぇ!」

「わ・・・わかった!」

キャンバスからアイスドラゴンが出てきます。ナックルジョーといっしょに赤い球体を押さえつけました。それでも、赤い球体の勢いは衰えません。

「こいつ1匹じゃ足りねー!他の奴は!?」

「ごめん・・・絵の具尽きた・・・」

「ジョー!」

ようやく、カービィがやってきます。

「アイスドラゴン、離れて!アドちゃん、伏せてぇ!」

カービィはナックルジョーの横にいきました。

「すっぴん・・・ビームぅ!」

カービィの左右から青い光が出ます。一瞬にしてナックルジョーは能力アイテムのグローブになりました。押さえを失った赤い球体はそのまま飛んでいき、近くの山にぶつかります。

ずがぁぁんっ

山の半分ほどが吹き飛ばされました。

「ひぇー・・・あ、驚いてる場合じゃない。」

カービィはグローブを飲み込みます。そして、能力をヘルパーに変換します。

「てめー、遅すぎるんだよっ!このノロ餅がぁ!」

「ひー・・・活用形が増えたぁ・・・」

「・・・やっぱり・・・」

カイムがとぎれとぎれに言います。

「・・・殺せ・・・なかった、なぁ・・・」

そして、前のめりに倒れました。

「・・・ボクの実力を見たかぁ!」

「お前、すっぴんビームぐらいしかしてねーじゃねーか。」

「カーくん、お約束してんじゃないわよっ!」

カービィは、ナックルジョーとアドに殴りつけられました。


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