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過去ブログ(2012年1-5月)


2012年5月24日 ハーバード大学の卒業式

 今日は、ハーバード大学で卒業式がありました。アメリカの大学では、一般的に、5月のゴールデンウィークの頃に日本でいう後期の期末試験がおこなわれ、5月下旬に盛大な卒業式がおこなわれます。初夏の日差しの中で行われる卒業式はすがすがしく、さわやかでとても新鮮です(そのかわり入学式というものはありません)。
 ちなみに在校生はすでに夏休みに突入しており、私の住むアパートでも、先週ぐらいから学生が帰省(あるいは旅行やインターンシップ)を始めています。一般にアメリカの大学では、6月、7月、8月の3か月間が夏休みです。  


2012年5月7日 レイバー・ノーツ 2012年シカゴ大会



 シカゴでおこなわれたレイバー・ノーツ全国大会に参加してきました。これは、2年に一度、アメリカ中の労働組合員が、組合の垣根を越えて集まり、情報交換や意見交換をおこなうものです。今回は、海外からの参加者も含めて1500人が参加し、過去最大規模のものとなりました。私は、今回が3回目の参加です。
 ところで参加者が増加している背景のひとつに、労働組合の危機感があるように思います。アメリカでは、近年、リベラル派と保守派の対立が激化し(後者の代表がティー・パーティー運動)、保守派はリベラル派の大きな支持基盤である労働組合への批判を強めています。その一例が、ウィスコンシン州からはじまった、州公務員の団体交渉範囲を制限しようとする動きであり、また、民間労働者にユニオンショップを禁止(right to work)しようとする動きです。 
 こうした流れは、日本(や欧州)にも共通していますが、大きな違いもあります。アメリカでは、こうした動きに対し、リベラル派と労働組合が有効なカウンターをきっちり組織しているという違いです。その代表が、格差拡大に反対するオキュパイ運動であり、また、ウィスコンシン州における州上院議員と知事のリコール運動です。上の写真は、公務員の権利を制限しようとするウィスコンシン州知事の動きをいち早くキャッチし、まっさきに反対行動をおこしたウィスコンシン大学TA(ティーチング・アシスタント)組合の共同委員長パガクさんです。こうした動きは、メディアでも大きく取り上げられ、大きな成果(法案に賛成した上院議員のリコール成功など)をあげています。先に、大会が過去最大になった理由のひとつに、労働組合の危機感があると書きましたが、同時に、こうした有効なカウンター例も数多く、人々はそれに元気づけられ、またそれを学ぼうとシカゴに集まってきた面も大きいのではないかと思います。

 もうひとつ。私は、3年前の論文の中で、アメリカの完成車メーカーで賃金の2層化(新規採用者の賃金を従来の半分程度にする制度)が導入されたことの意味の大きさを指摘しました。この問題は、結局、日本ではあまり注目を集めませんでしたが、今回の大会をつうじて、UAW(全米自動車労組)でそれが非常に大きな問題になっていることを確認することができました。賃金の2層化は、同一労働同一賃金というアメリカ人一般の常識に反するだけでなく、組合基盤を脅かす可能性があると危惧されているのです。大会では、同じ仕事をしているのに高い給料をもらっている同僚や、そうした取り決めをした労働組合に、新規採用者の一部が敵意を抱いているとの指摘が新規採用者自身から聞かれました。まさに予想されていた事態です。
 この話は、非正規雇用が増えている日本と似ているところと違うところがあります。似ている点は、非正規雇用者の一部に、正社員の高い給料や雇用保障、あるいは正社員中心の労働組合に対する反感がみられるという点です。日本ではこうした意見をあまり聞かないのですが、非正規雇用者は、正社員とおなじ一票の権利を持っています。かれらが数として多数派になった時、正社員の雇用保障を否定する意見に同調したり、正社員の年金を削減する意見に同調したり、あるいは正社員中心の労働組合の権利をはく奪する意見に同調する可能性はひじょうに大きいと思います。それはある意味で合理的行為だと思います。正社員の人や正社員を中心とした労働組合は、自分たちの権利を守りたいなら、こうした事態を回避しなければなりません、つまり、非正規雇用の問題を自分たちのために解決しなければなりません。ちなみに、アメリカと日本で違っている点は、このことがしっかり自覚されているかどうかという点です。UAWの人たちは、早くから、こうしたロジックで賃金の二層化を批判してきましたし、それは多くの人の賛成を得ているようです(組合投票の結果などから判断)。しかし、日本では、非正規雇用者の問題は、あくまでそうした人たちの生活の問題としてしか理解されていないような気がしてなりません。そしてそれが、この問題に利害と関心を有する人の範囲を著しく狭いものにしているのではないかという気がしています。
 こんなことを含めて、いろいろなことを考えさせられた大会でした。


2012年4月12日  ハーバード大学に着任

 4月1日からボストンのハーバード大学に、客員研究員として滞在しています。こちらに来てから、部屋のクリーニング(入居時に終わってなかった)やらインターネットの契約やらなんやらで、どたばたしていましたが、ようやく落ち着いてきました。
 この冬、アメリカでは多くの地域が異常高温に見舞われ大きなニュースになりましたが、ボストンはまだまだ寒く、いまだ厚手のコートが手放せません。それでも、早咲きの桜があちこちで満開で、高い日差しととともに、春を感じさせてくれます。下の写真は、大学のキャンパスでみかけた桜です。
 




2012年3月23日

 卒業コンパで、みなさんから素敵な花束と色紙をいただきました。ありがとうございました。
 みなさんのますますのご活躍をお祈りしています。
  


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